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お姉様に会いたい
しおりを挟む「ばかだね! そんないい世界なわけないだろ? あのコーラ・パー○だって、いろいろあったはずさ。だから、娼婦っていうんじゃないか?」
私は、そんな先輩娼婦の言葉にショックを受けた。あの憧れる高級娼婦もこんなことをしていたのか!
そうして、私は、がむしゃらに働いた。けれど、なにかが違う。頑張れば頑張るほど、下に見られ酷い扱いを受けた。
「ばかだね。ここは、いいパトロンが付いてこその楽園なんだよ? まずはあの担当を決める婆さんがいるだろ? あれにごまをすって、できるだけ売れっ子の先輩とセットにしてもらうんだよ。売れっ子の客は上客が多いのさ。娼婦の見習いだって頭を使って考えなきゃ、上にはいけないよ!」
ここで、上位の売り上げを誇る先輩娼婦に教えられた。売れっ子の先輩をよく観察して、真似もした。売れっ子の先輩にお茶を入れ、身の回りの用事を手伝い、かわいがられるようになると、一緒に接待させてくれるようになった。客層が全然違った。いわゆる、金払いの良い、変態ではない客だ。
同じ娼館でも、客層がこんなに違うとは思わなかった。そこでは、会話を楽しみ、外での食事にも連れ出してくれる上客がいた。
そのなかの一人を心から好きになったときに、私は自分の立場を思い知った。私の素直な気持ちを伝えるとその紳士は笑ったのだ。
「だって、君は娼婦だろう? その好きには永遠に答えられない。私と君では住む世界が違うのだ」
そんなこと考えてなかった。高級娼婦は恋人や妻にはなれない。いくら寵愛を受けようと正妻には敵わない。二番手の女なんだ。
売れっ子の先輩娼婦は笑った。
「娼婦はどうあがいても娼婦なのさ。客に惚れるんじゃないよっ!」
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今頃、お姉様はどうしているのだろうか? 後からお父様が、どんなことをしでかしたか聞いた時に恐ろしさで身が震えた。お父様は亡くなる前に全てを白状したらしい。
私は、娼館のオーナーにお願いした。
「一目でいいのです。お姉様に謝りたい」
あれから、3年の歳月が流れていたのだった。
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