（完）妹の婚約者を誘惑したと言うけれど、その彼にそんな価値がありますか？

ジョセフィーヌの恋の行方

サミュエル様は国外追放？ その3

「いきなり？　妻なの？」

　私は、面食らって驚きの声をあげた。こんな、よくわからない国は、初めてだ。

「あぁ、そうだよ？　嫌？」

　綺麗な琥珀色の瞳に吸い込まれた。その声は、甘くて深みのある耳障りのいいメロディー。一緒に酒を飲んで、そのまま、その男の家に着いていった。そこからは、なんの記憶もない。
朝、目覚めると、部屋にはたくさんの男が寝ていた。

「やぁ、起きたかい？　僕の奥様達。さぁ、働いて？　ご飯の支度は、そこの君と、あっちの緑の髪の子だな。掃除は、･･････終わったら、今日は天気が良いから、外で皆で農作業を暗くなるまでしてね？」

　蕩けるような笑顔で言うその男に、男達は逆らうことなく機嫌よく従っていた。

「嫌だな。私は失礼するよ。帰りたい！」

　私は、憮然と言い放ち、帰ろうとすると、その男は平手で私の頬を叩いた。

「この国では、結婚すると3年は離婚できないよ？　もう、僕は早朝に婚姻届を出してきた。君は、すでに僕の所有物だよ？　この国は、何人とでも結婚できる。夫は妻（男）を何人も、持てて働かせる権利があるんだ。知らなかったの？」