(完)妹の婚約者を誘惑したと言うけれど、その彼にそんな価値がありますか?

青空一夏

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ジョセフィーヌの恋の行方

ジョセフィーヌの恋 その2

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「セオドア王子様が今日はいらっしゃるから、髪をちょっとカールさせて、ここに白い薔薇をつけて?」

 私は、侍女にお願いしています。あぁ、ちょっと、この口紅が似合わない感じだわ。
なんでかしら? あの方がいらっしゃるようになってから、とても髪型や口紅の色が気になります。

「ねぇ、どうかしら? どこも、おかしくないわよね?」

 何度も、侍女に尋ねるので、皆は苦笑いすらしています。

「これで、15回目です。とても、すごく、大層、お綺麗でいらっしゃいます!」

 あぁ、はい、はい。私が悪かったようですね。15回も聞いていたなんて、気がつきませんでしたよ。

 王家の侍従が『今、お着きになりました。これから、セオドア王子様がいらっしゃいます』と伝えに来ると、きっかり10分後に姿を現す。

「やぁ、元気だった? ジョセ。今日も、とても綺麗だね」

 落ち着いた優しい声で、おっしゃるセオドア様は、今日もエラのパンを持っています。エラは、あの事件以来、あのお店に迷惑がまたかかってはいけないと辞めてしまったのです。

 そうして、今は、王宮の厨房でパンの他にも、いろいろなお料理を習っているのです。私の妹は、とても頑張り屋さんです。

 今日は、王宮の厨房で焼いたパンとエラが作ったという料理を、庭園に敷物を広げてピクニック気分です。
ワインやフルーツは、ルドレア候爵家で用意してあります。
二人で、また本を広げて語り合いましたよ。
私は、有名な詩人の話をし、その一節を口ずさみました。
悲しいけれど美しい恋の詩です。

「その気持ちは、私には、とてもよくわかるよ」

 静かに、微笑んでいらっしゃるセオドア様に、私はにっこりしました。

「悲しい恋の詩は、とても好きですけれど、その気持ちをまだ経験していないので・・・・・・でも、きっと、きゅんとするような甘酸っぱい気持ちなのでしょうね?」

 私は、暢気に、そんなことを言ったのでした。

「・・・・・・どうかな。そんなに素敵なものかは、わからないな。実らない悲しい恋より、思い合って添い遂げる楽しい恋のほうが素敵だとは思うよ」

 セオドア様は、そう、おっしゃってお笑いになったのでした。

 お帰りになるときに、お母様がセオドア様に尋ねました。

「セオドア様が、こうして当家に来られるのも、もう数回でしょうね? あのお話が決まれば、こうしてお話もできなくなりますね」

 え? どういうこと? 

「お母様、セオドア様、あのお話ってなにかしら?」

「あら、知らなかったのですか? セオドア様はダルメシアン候爵家のお嬢様に求婚されているのですよ?」

 その時、私の胸が、なぜでしょう。病気でもないのに、ズキズキと痛んだのでした。
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