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7 シルヴェスター視点
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(シルヴェスター視点)
「王女でないならメイドの部屋にでも引っ込んでいなさいよ。明日から使用人に混じって働くといいわ。だってこんな汚い髪色の貴族なんて見たことないもの。まさか奴隷の娘じゃないわよね? きったなぁーーい。さっきからどうも臭いと思ったわ」
鼻をつまんで、まるで動物を追い払うような仕草をしたエレアノールには嫌悪感しか感じない。
(これがムーアクラフト王国の筆頭公爵家令嬢とは、我が国の恥を晒しているようでいたたまれないな)
エレアノールにビシッと言い部屋から追い出そうと口を開こうとしたが、それより前にリリィがすっと背筋を伸ばしエレアノールに向かって言った言葉にびっくりした。
「幼稚な嫌がらせをするのがブルジェ公爵家のやり方ですか? そのような真似をして恥ずかしいとは思わないのですか? 筆頭公爵家のご令嬢なら恥を知りなさい」
まさにわたしが言いたかった言葉だった。リリィの気高い姿と的確な指摘は、側に控えていたメイドや侍女達に多くの尊敬の念を抱かせた。
特に侍女長のアニタは以前から図々しいエレアノールを嫌っていたようだ。にっこり笑って満足そうに頷いたのだった。
翌日からは王宮の門番に、エレアノールを顔パスで宮殿に入れないように厳命する。
「そのようなことをしたらブルジェ公爵閣下からなにをされるか・・・・・・それに公爵令嬢を閉め出すなんて怖くてできないです。身体に触ったらこちらが乱暴したと言われます」
門番が情けないことを言ってくるので、腕の立つ護衛女性騎士を交代で門番の横に待機させることにした。もっと前からこうするべきだったのだ。
「国王陛下、なぜ我が娘が宮殿から閉め出されるのですか? ゆくゆくはあなたの正妃になる女性ですよ。大事にしていただけないなら、こちらにも考えがありますよ」
ブルジェ公爵が早速抗議にやって来た。
「考えとはなんだ? そもそもわたしは一度たりともエレアノールを妃にするなどと言った覚えはない」
「威勢がいいのも今だけですよ。陛下はわたしには逆らえない宿命です」
私はその脅しを軽く考えていた。娘可愛さの理不尽な怒りが言わせたのだと、そう思っていたのだ。
一方、リリィはお爺さん庭師達にすっかり気に入られて、裏庭の薬草を一緒に摘みながら、なにやら一生懸命作るのが日課になっていた。
できたのは手荒れや傷を治す一般的な塗り薬で、それを侍女やメイドに分け与える。また、読み書きのできない洗濯メイドの子供達に字を教える姿も見かけた。
「使用人達とすぐに打ち解けてしまったね。すっかり子供達にも懐かれている」
「子供は可愛いですから大好きですよ。それにあの子達も字が読めたら世界が広がりますからね」
リリィといると気持ちが落ち着く。自然体でいられるのは心地良かった。
「リリィさえ良かったら、わたしの妃になってくれないか?」
そんな言葉を思わず口にしていたが、その返事は予想していたような言葉だった。
「私はシルヴェスター様に相応しくありません」
「リリィが王女でなくても構わない。王であるわたしが好きになった女性だから妻に迎えたいだけだ。誰にも文句は言わせないよ」
私達の会話を数人の使用人が聞いていた。
その翌日ことだ。
「そのリリィという女を妃に迎えるなど許しませんよ。娼婦の子がこのムーアクラフト王国の王になれると思っているのですか? あなたを産んだ女をわたしは見つけたましたよ。わたしの屋敷にいますがね、あなたにそっくりです。首を切って持って来ましょうか?」
ブルジェ公爵はニヤリと私に笑いかけたのだった。
使用人の中にスパイがいると確信した瞬間だった。
「王女でないならメイドの部屋にでも引っ込んでいなさいよ。明日から使用人に混じって働くといいわ。だってこんな汚い髪色の貴族なんて見たことないもの。まさか奴隷の娘じゃないわよね? きったなぁーーい。さっきからどうも臭いと思ったわ」
鼻をつまんで、まるで動物を追い払うような仕草をしたエレアノールには嫌悪感しか感じない。
(これがムーアクラフト王国の筆頭公爵家令嬢とは、我が国の恥を晒しているようでいたたまれないな)
エレアノールにビシッと言い部屋から追い出そうと口を開こうとしたが、それより前にリリィがすっと背筋を伸ばしエレアノールに向かって言った言葉にびっくりした。
「幼稚な嫌がらせをするのがブルジェ公爵家のやり方ですか? そのような真似をして恥ずかしいとは思わないのですか? 筆頭公爵家のご令嬢なら恥を知りなさい」
まさにわたしが言いたかった言葉だった。リリィの気高い姿と的確な指摘は、側に控えていたメイドや侍女達に多くの尊敬の念を抱かせた。
特に侍女長のアニタは以前から図々しいエレアノールを嫌っていたようだ。にっこり笑って満足そうに頷いたのだった。
翌日からは王宮の門番に、エレアノールを顔パスで宮殿に入れないように厳命する。
「そのようなことをしたらブルジェ公爵閣下からなにをされるか・・・・・・それに公爵令嬢を閉め出すなんて怖くてできないです。身体に触ったらこちらが乱暴したと言われます」
門番が情けないことを言ってくるので、腕の立つ護衛女性騎士を交代で門番の横に待機させることにした。もっと前からこうするべきだったのだ。
「国王陛下、なぜ我が娘が宮殿から閉め出されるのですか? ゆくゆくはあなたの正妃になる女性ですよ。大事にしていただけないなら、こちらにも考えがありますよ」
ブルジェ公爵が早速抗議にやって来た。
「考えとはなんだ? そもそもわたしは一度たりともエレアノールを妃にするなどと言った覚えはない」
「威勢がいいのも今だけですよ。陛下はわたしには逆らえない宿命です」
私はその脅しを軽く考えていた。娘可愛さの理不尽な怒りが言わせたのだと、そう思っていたのだ。
一方、リリィはお爺さん庭師達にすっかり気に入られて、裏庭の薬草を一緒に摘みながら、なにやら一生懸命作るのが日課になっていた。
できたのは手荒れや傷を治す一般的な塗り薬で、それを侍女やメイドに分け与える。また、読み書きのできない洗濯メイドの子供達に字を教える姿も見かけた。
「使用人達とすぐに打ち解けてしまったね。すっかり子供達にも懐かれている」
「子供は可愛いですから大好きですよ。それにあの子達も字が読めたら世界が広がりますからね」
リリィといると気持ちが落ち着く。自然体でいられるのは心地良かった。
「リリィさえ良かったら、わたしの妃になってくれないか?」
そんな言葉を思わず口にしていたが、その返事は予想していたような言葉だった。
「私はシルヴェスター様に相応しくありません」
「リリィが王女でなくても構わない。王であるわたしが好きになった女性だから妻に迎えたいだけだ。誰にも文句は言わせないよ」
私達の会話を数人の使用人が聞いていた。
その翌日ことだ。
「そのリリィという女を妃に迎えるなど許しませんよ。娼婦の子がこのムーアクラフト王国の王になれると思っているのですか? あなたを産んだ女をわたしは見つけたましたよ。わたしの屋敷にいますがね、あなたにそっくりです。首を切って持って来ましょうか?」
ブルジェ公爵はニヤリと私に笑いかけたのだった。
使用人の中にスパイがいると確信した瞬間だった。
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