（完）美貌の王に恋するお姫様（前７話）

３ タキスと王妃イマニ（タキス視点）その１

ーーアイヤナがアパートから出て行った翌日のことーー


「ごめんなさいね。貴方にはひどい男の役をやらせてしまいましたね。ですが、アイヤナには、こういった経験は必要だったと思います。身分差がある恋をすると痛い目に遭うということを学ぶべきなのです。そうすれば、二度と好きになってはいけない男性を愛することはないでしょう。」

「あぁ、そうだな。じゃぁ、俺は帰るよ」

俺は、エステファニア王国の王宮を出て、そのまま国境まで馬を走らせた。国境を守る衛兵が、私に敬礼しそれに答えながら私は我が国のオタリス王国に足を踏み入れた。

「タキス王様、ずいぶんと今回の調査は時間がかかりましたね？」

「ん？　あぁ。いろいろあってな」


*:ﾟ+｡.☆.+*✩⡱:ﾟ


そう、私はこのオタリス王国の王だ。エステファニア王国には、ちょっと調べたいことがあって、王宮に忍び込んでいた。それは、我が国の犯罪者が、エステファニア王国の王宮で働いていると聞いたからだ。まんまと、庭師になっていたそいつは、我が国で数々の事件を起こしていた。

すぐに、その男を拘束してオタリス王国に連れて帰るつもりだった。ところが、部下３人とそいつを捕まえて帰ろうとしたら、侍女に呼び止められた。

着いたその日に話しかけられて、その後は王妃に呼ばれた。

「アイヤナ姫と駆け落ちをしてください。」

王妃は、わけのわからんことを俺に言ってきたのだった。