（完）親友なんて大嫌い！ーあなたは敵なの？ 味方なの？ （全5話）

おまけ その2 オスカー・ランドルの末路 ※残酷ではないけれど？ 厳しい生活になりそうです

オスカー・ランドル侯爵嫡男の末路　　※少し残酷かも（個人差あり）

僕は廃嫡され貴族籍からも名前は消された。頼みのマヌーバー殿下はなんと奴隷になってしまった。母親の側妃と伯父の悪事がバレたことによる処置だった。それでも命が助かったのは極めて異例だった。このような場合、マヌーバー殿下の立場の者は死罪になることが通常だからだ。

僕は平民となったがそのままランドル候爵家で雇われることになった。
「お前のような者を市井に放り出しても犯罪者になるだけだろう。そんなことになれば、ますます家名が汚れる。ここでおとなしく弟の侍従として仕えよ！」
父上は吐き捨てるように僕を見ることもなく去って行く。

「お前のせいでランドル候爵家は破滅よ！　アレクサンダー・ベルルーク・アーバスノット殿下が王位に就いたら当家はきっと候爵家でいられないわよ！　このマヌケめ！」
母上は二大公爵家（シクラメル公爵家とフィルム公爵家）と王太子を敵に回した息子の僕を汚いものを見るような眼差しで睨みながら舌打ちをした。

「そんなぁ～～。母上、助けてください！！」
「お前はもう息子ではありません！」
とても母親とは思えない言葉だけれど、貴族の場合は家を守るのが最優先。親子の情などそもそもあまり存在しない。

――これは僕には地獄の日々だよ～～。これなら、まだ気ままに市井で乞食でもしていたほうがいい！

だって、弟とはとても仲が悪かったんだ。というか、僕は弟をいつもいびって楽しんでいたから･･････今度は僕がやられる番だ･･････

「兄さん！　いや、オスカー！　私の外套を持って一緒に来てくれ。そのカバンと荷物も持てよな。グズグズするな！　ノロマめ！」
弟があざ笑いながら私に命令する。

かつて僕は弟を能なしと罵りバカにしていた。嫡男で爵位が確実に継げる僕にとって次男の弟は僕の影だった。僕がいる限り日の当たる場所には出られない存在が弟。次男は高位貴族の間では嫡男のスペアとして家に置いてもらえるが、待遇はあくまで使用人よりマシなレベルでしかない。なにかにつけてバカにし、むしゃくしゃした日には意味もなく殴りつけることさえしていた。

そして･･････今、僕はまさに殴られている。平民になった僕には誰も守ってくれる人はいない。弟は僕を見てつぶやいた。

「オスカー！　お前はただの平民さ。死んでも誰も悲しまない。一生僕のサンドバッグでいてくれよ！　ねぇ、素敵な因果応報だよね？」