(完)私の恋人を奪う人妻の姉

青空一夏

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ハチャメチャ裁判その2(イザベラ視点)

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「ち、違います! そのアーロンは妹のジェネシスの恋人で会ったばかりです! 不貞なんてしてないわよ! まだ、最後までしてなかったんだから!」

 皆が一斉にこっちを見た。あら、なんか変なことを言ったかしら?

「え? そんなことをする時間など、あったか?」

お父様は、びっくりしているし、お母様は舌打ちをした。

「え? お父様が離婚届けをワトソン家に渡しに行った間よ!」

 あ、しまった・・・・・・離婚届けを渡しに行ったことをしゃべっちゃった。お母様はまた舌打ちをした。だって、お父様はいつしたんだ?って聞くからつい言っちゃったのよ。


「まだ? まだとは・・・・・・どこまでを言うのでしょう? ぜひ、教えていただきたいものですねぇ」

 裁判官が眼鏡越しに私を睨み付けた。はぁ? そんなこともわからないの? だったら、教えてあげるわよ!

「最後までは、最後までよ! 挿入することを言います。決まっているでしょう? そこまでしたら不貞行為なんでしょう?」

「よく、わかっていらっしゃいますね? やはり、そういう類いのことをやらかす人はよく知っているものなんですねぇ」

 なに、この裁判官、意味わかんないこと言っているのよ?

「妹の恋人の会ったばかりの男と結婚していながら、不貞行為手前までする女性の言うことは信用できませんね?全く、こんな馬鹿らしい話は初めて聞いたわ!」

 なによ! この世には会ったばかりで恋に落ちるカップルだって多いじゃないよ!

「なんでよ! 結婚してたって人を好きになることだってあるでしょう? 小説だって歌劇だって、そんな場面があるからこそ、盛り上げるんじゃないよ! 貴女みたいな男性に相手にもされない女にはわからないわよ!」

 私は、その赤いフレームの眼鏡の女を見た。髪はひっつめて、薄い口紅をさしただけだ。頬紅だって塗っていない!こんな女にはモテる女の気持ちなんかわからないわよ!

 「はい、わかりませんね。狂った方達の気持ちはわかりたくもありませんのでちょうど良かったです。それで、あとは、何を申し立てるおつもりですか?」

「え? だから伯爵夫人になれないなら、私の心の痛みに対する慰謝料よ! 決まっているわ!」

「それは、無理ですね。だって、あなたにはすでに不貞寸前の恋人がいたのでしょう? 心の痛みなんてあるわけがないでしょう? 慰謝料なんて請求できません! ただ、財産分与ということで、2年間連れ添っていたぶんは考慮されると思いますけれど、あなたは実際のところ一銭も、もらえないでしょうね」

「おかしいじゃない! そんなの絶対おかしいわ! 」

 この世界の法律が間違っているのよ! 

「いいですか? 財産分与というのはですね・・・・・・『夫婦が婚姻生活で作り上げてきた共同財産を清算する』
『離婚後における一方側の扶養目的として支払う』『離婚慰謝料の意味を含めて、財産分与で配分する』がありまして、あなたはどれにもあてはまりません」

「はぁーー? なに、難しい言葉並べて誤魔化そうとしているのよ? だいたい、法律家ってなんで固い言葉ばかり使うのよ!」

あぁ、頭にくるわ!

「では、貴女の溶けそうな頭にも理解できるように言いましょうか? アーシャさんの財産はイザベラさんの協力は一切なく作られたものなので、イザベラさんには分け前はいきません!」

「そんなはずはないわ! アーシャが風邪を引いた時に、一度だけお粥を作ってあげたことがあります! あぁ、あとは・・・・・・なにをしたっけ? 思い出せないわ・・・・・・んーー、あぁ、えっと、アーシャにしてもらったことしか思い浮かばない・・・・・・わ」

 だって、料理を作るのはお手伝いさんに来てもらっていた。アーシャは爵位はないけれど大臣の秘書でお給料はかなり良かったし・・・・・・私がなにもしなくても良かったんだもの。

 私は暇な時間は実家に入り浸ってお母様と楽しくおしゃべりして、たまには友人とお茶をして、そしてたまには男性のお友達と少しだけスキンシップしていただけよ? スキンシップしていたなんて、ばれっこないし・・・・・・

「さて、ではワトソン家から慰謝料を請求させてもらいますよ!」

 バサッと音がして、分厚いノートが机に叩きつけられた。

 私は、ビクッとし、我に返って前を見ると、メーガン・ワトソン前伯爵夫人が不気味に笑っていたのだった。



 
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