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天使のような

天使

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最初は、天使だと思った。

何もかもが白い身体。
文字通りてっぺんから下まで白い。

閉じた瞼から生える睫毛も、着ている服も白い。

あまりに白くて綺麗で思わず見惚れた。


見惚れた、けど、待ってくれ。

ここは俺の部屋だ。

今俺は学校から帰ってきたばかりで、いつも通りの一日を終えるつもりだったんだ。

けど、部屋に入るといつも通りじゃなかった。
白いのが寝ていた。
まだ幼い。小学生ぐらいか?

玄関には鍵がかかっていた。窓も全て閉めていた筈だ。
こいつはどこからどうやって入って来たんだ。
そもそも、いつからいるんだ。
というか、生きているのか。

呼吸しているのか確かめようと、俺は手を伸ばす。


思えば、この時起こさずにまずは警察を呼ぶのが普通なんだ。
けど俺は、その白い子供が気になった。
さっきの違和感は、きっとこの子供だと、どこかでそう確信していた。
その時、


ーー天使の目が開いた。

目の色も、白だ。


反射的に俺の身体は固まってしまった。
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