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天使のような

人間じゃない

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「………」

目を開いた天使と数秒見つめ合う。
俺の伸ばしかけた手は居場所を失った。

「……なぁ」

ウワ、こいつ喋った。

「あんた、ここのひと?」

しかも生意気そう。

「……警察、呼ぶからお前そこにいろ」

なんだ。
こいつは只の子供か。
先程まで感じていた高揚感は消え失せた。

まぁ、なんで白いのかとか、どうしてここにいるのかとか、聞きたいことはあるが、とりあえず通報しておこう。

「けいさつはやめたほうがいいよ」
「は?」

何だこいつ。
不法侵入だって分かってないのか?

「おれ、ほかのひとにはみえないから」
「……は?」

今の子供の間で流行ってる冗談か?
いや、警察を呼ばれて親から叱られるのが嫌なだけか。

「…警察呼ばれたくないならそう言え。その代わりに親御さんの連絡先分かるか?」
「おやはいないよ」

こいつ、どこまでふざけるんだ?

「いい加減にしろ。お前は人の家に勝手に入ったんだ。ダメなことだぞ。犯罪なんだ」

なるべく怒らず、言い聞かせるように伝える。
俺は子供の相手は好きじゃない。
なるべく早く帰ってくれ。

「おれにほうりつはてきようされない」
「法律は適用されない?」
「そう。おれはにんげんじゃないから」
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