【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

文字の大きさ
4 / 120
本編

俺が前世を思い出すキッカケになった話

しおりを挟む
あれよあれよという間に宿の主人と女将さんにも話がいき、俺は彼らと宿を出ることになった。
退職金は出なかった。悲しい。
しかし、女将さんからこっそりと心付けをいただいた。女将さん最高!
料理長もこっそりと弁当を作ってくれた。料理長尊敬してます!


神々しい美形はエル、背が高く無口な美形はジークと名乗った。
エルは魔法を使い、ジークは剣で道中の魔物を倒す。
俺はエルの結界が張られた幌馬車で見守るだけ。
一緒に戦うって、無理だから。
平民だけど、王都生まれの王都育ちなんだから!
箱入りではないけど、魔物を知らない生活を送ってきたんだから!
魔物も怖いけど、ばったばったと倒す2人も怖いから!
俺は馬車の中で、ガクブルと震えてるだけだった。
血塗れ(魔物の返り血)で戻ってきたジークを見て俺は卒倒した。
これは思い出しても恥ずかしい。
料理人見習いだったから血には慣れているはずだけど、流石に全身血塗れを見れば、誰でも倒れるって!

俺は王都から出て3日経って、町の宿で宿泊となった時にやっとこの旅の目的を聞いた。
久しぶりのベッドに座った時に思い出したかのように聞いた。

「おまえ、今頃になって聞く?」

「エル、話していなかったのか?」

「だって、聞ける雰囲気でなかったし。」

野宿で、魔物に注意を払う中、雑談なんてできる雰囲気でもなかった。
俺は足手纏いなりに簡単な料理しか出来なかったし。
しかも俺だけ馬車でぐーすか寝て、2人は交代で見張りをしてくれたわけで、そんな状況下で聞けるわけはなかった。

「俺達は仲間を探して、魔王を倒しに行くんだ。」

「それはすごいな!魔王を倒すのかぁ……って魔王?!」

「魔王だな。」

「………。」

絶句とはこのことだろう。
開いた口が塞がらない。

「ユーリ?どうした?」

「はっ?魔王?!な、なぁ、それ、俺、要らなくない?いや、要らないでしょ!」

「要るから連れてきたんだよ。」

「要るな。」

「いや要らないって!俺邪魔じゃん!」

「ユーリ、落ち着け。ユーリが必要だから、誘ったんだから。」

「いや、俺は王都に戻る!無理だ!」

ベッドから立ち上がり、部屋を出ようとする俺をエルは止めようと手首を掴み、壁へと追い込む。
ジークは逃がさないとばかりに、ドアの前を陣取る。
2人の戦闘能力を見てきたから、2人相手では逃げられないのは分かっている。
しかし、怖い。今は魔王よりも確実に2人の方が怖い。
死ぬかもしれないって思ったら、色々な記憶が頭の中で蘇る。
宿の仕事、学校に通っていた頃、兄と姉でお使いに行ったこと、父さん達が高い食堂に連れて行ってくれたこと、母ちゃんがBLゲームを勧めてきたこと、母ちゃんがラノベかと思いきや、BL小説をリビングに仕掛けたこと、……母ちゃん?……母ちゃん!



しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました

未希かずは(Miki)
BL
第13回BL大賞 奨励賞 受賞しました。 皆さまありがとうございます。 「ねえ、私だけを見て」 これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。 エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。まだ付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。 「この恋、早く諦めなくちゃ……」 本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。 この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。 番外編。 リナルド×ガルディア。王族と近衞騎士の恋。 ――忠誠を誓った相手を、愛してはいけないと思っていた。切ない身分差、年の差の恋。恋の自覚は、相手が成人してからになります。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

処理中です...