【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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本編

俺が無駄に悩む話2

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『あんた、また料理の腕上げたわね。』

『そりゃ毎日作っていれば。』

『私より上手くなってない?』

『ホント?』

『あんた料理人になりたいの?』

『…専門学校、高いじゃん。どこか修業しながら調理師免許取れればいいなって思っている。』

『父ちゃんの保険金もまだ手つかずであるから、大丈夫だよ。子供は気にせず、やりたいことを頑張れば、親はそれで満足なんだから。』

『母ちゃん。』

『まあ、偶には私の趣味に付き合ってくれたら万々歳!』

『それとこれとは違う。絶対付き合わないから。』

でも、母ちゃんが無理をしていたのも知っていた。だからって、母ちゃんまであんなに早く逝くとは思わなかった。



「かあちゃん。」

自分の寝言で目が覚めた。
前世の母ちゃんのやり取りをまた思い出した。
目尻からこめかみに涙が伝う。
流れた涙を誰かが拭ってくれた。暗闇でどちらかなんてわからなかった。
ただそのあと俺を抱きしめて、耳元で

「ぐだぐだ考えずに寝ろ。」

と、優しく命令される。
人肌の温かさでまた瞼がとろんと下がる。
久しぶりの人肌を感じ、あとは夢も見ずぐっすり寝た。


朝日が出る前に起きると3人でベッドに寝ていた。2台のベットをくっつけて。
ジークは後ろから俺の腰に手をまわして、エルは俺の右手を握って。
ご飯も食べずに寝た俺を心配してくれたのだろう。
モソモソと起こさないようにベッドから這い出る。
部屋を出て、厨房に行く。俺は俺の仕事をするんだ!



「ジーク、ジーク!」

エルがべしべしとジークをたたき起こす。

「…朝か。」

「ユーリがいない!」

ジークがガバッと起き上がる。

「いつから?」

「僕が起きた時にはもういなかった。部屋から出たみたいだけど、宿の中にまだいる気配はする。」

「なら、大丈夫だろう。はぁ、今度位置がわかる魔道具つけさせるか。」

「…ジーク、ユーリのこと気に入ったの?」

「…エル、妬いているのか?」

「ユーリに?それともジークに?」

「…どちらだろうな。」

ジークの伸ばした手は、エルの頬を撫でる。何も言わず唇を合わせる。
ただ唇を合わせるだけの行為。そこに感情というものは存在しない。唯一あるとしたら『傷の舐めあい』に近かった。

ドアが突然開き、

「おっはよう!朝ごはんつくってき……。」

カートを押しながら入ってきたユーリは、運悪く2人がキスしているの見てしまったわけで、一瞬固まった後、カートを引きながら、『お邪魔しました』と言って部屋を出て行こうとした。

そんな俺を2人が引き留めて、朝ごはんを食べる。
オムレツに鳥?の香草焼き、ポタージュ、サラダにパン。デザートにリンゴをウサギさんにした。
俺の完璧洋風朝食!2人はガツガツと食べる。最近ガツガツ食べるのが、デフォルトになってきている気がする。


「俺、やっぱり別の宿に移ろうか?」

「お前はここにいろ。」

「でも…。やっぱり恋人の仲を邪魔をしちゃいけないと思うんだ。」

「「ちっがう!」」

「…違うの?キスしていたじゃない。」

「ユーリともキスしているよね?」

「あれは治癒行為でしょ?」

「…詳しい話は夜しよう。食べたら、探しに行くぞ。」

と、一旦この会話を打ち切られてしまった。

俺が気を使って言っているのに、何が違うんだろ?とまた無駄に悩んでしまった。


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