【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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本編

俺の魔力の話Part2-2

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唇が離れた時は、俺は息も絶え絶えだった。
くったりとなった俺をジークが俺の肩を抱き、胸元に寄せて凭れかからせてくれた。

「わかったのか?」

「ユーリからのキスが原因だな。舌を絡め合ってから、ユーリからジークに大量の魔力が流れ出した。」

「…ユーリから、か。」

「何が違うんだ?僕も試したいけど、ユーリの魔力量はカラに近いし。」

確かにこの状態でエルとキスしたら、魔力がなくなってまた倒れる。
でも、俺からのキスなんだろ。
そんなん決まっているじゃん。

「俺、お前らが大事だから。ケガとかして欲しくないから。」

怠いので、言葉は少し乱暴だけど、意味はわかって欲しい。
2人は、目を見開く。

「…ユーリの気持ちが魔力にも影響したってこと、なのかな。」

「…そうみたいだな。」

「…ごめん、寝かせて。めっちゃ、ダル…。」

と、俺はジークに凭れかかったまま寝てしまった。






『この最後さ、【エルとジークは、手を掲げて天を仰いだ。】って終わっているじゃん。なんか、やっと全て終わったぜって感じじゃないよね。なんか、救いを求めているって感じだよね。』

『私も思った!まだ知られていない背景があるかのように終わっているよね。』

『目的が達成しても、達成感が得られないって、なんかヤダな。』

『もう、心も身体も疲れ切っていたんだろうね。魔王倒しても、人の脅威は魔王からエル達に代わって、居場所がどこにもないって意味で捉えられるって、ネットでの感想にもあったよ。』

『エル達に救いがないじゃん。』

『エル達が仲間以外は頼らないから。今までも、これからも。』

『頼らなくても、支えなくても、それでも受け入れてくれる人がいるだけでも、違うんだけどな。』

『そんな人がいたら、エル達も救われるんだろうね。』




前世で、小説の最後を母ちゃんと語り合った。母ちゃんも最後は納得してないみたいな言い方だった。

目が覚めたが、身体が怠いのか、あまりよく見えていなかった。
夢の続きとばかりに、目の前の人物に話しかけた。

「俺は、エル達を救いたいとか、支えたいとか、そんな仰々しいこと考えていないんだ。ただ倒した後は、笑顔で過ごして欲しいんだよ。小説の中では、2人が笑っているシーンなんて、なかった、から…。」

俺はまたすーっと眠ってしまった。

人間て、美味しいモノを食べると、口角が上がり、自然と笑顔になるんだ。
もし小説の世界に行けたら、エル達に会えたなら、美味しいモノを食べさせて、笑顔にしたいな。
笑うって大事だよね、母ちゃん。




「ユーリ、…寝ぼけていた?」

「だな。」

「僕もジークも笑ったことないって。」

「…ユーリと出会う前、笑うことあったか?」

「…なかったね。」

2人無言になり、ユーリを見つめる。
ジークがユーリの頭を撫でる。

「……俺、エルが大事だ。でもユーリも大事なんだ。俺は、どちらかなんて選べない。狡いかもしれない。」

「僕もだよ。ジークを信用、信頼している。でも、弱いところはジークには見せたくないんだ。でも、ユーリは丸ごとの僕がいいって言ってくれた。ユーリはさ、ジークが僕が大事だという部分を含めて受け入れてくれたんだよ。僕達が狡いのを承知して、受け入れてくれたんだ。」

「ああ。…笑顔か。もうずっと笑っていないな。」

「そう?ユーリが作ってくれたごはんの時だけは、笑っているよ。気付いてない?」

ジークは驚き、固まった。本人無自覚だった。

「なら、笑顔、練習しないとだね。」

と、謎の笑顔の練習が始まった。
俺が聞いて見ていたら、盛大に笑っていただろう。







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