【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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本編

俺がリリーに会う話

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翌日は会頭のお屋敷を早々に出た。
お礼とお詫びで、これから北の国に向かう俺たちに高級なコートと手袋をくれた。
保温バッチリな上に軽い。魔石を織り込んであるらしい。
買ったら、俺の給金何年分もするやつだったので、俺たちは有り難く受け取った。



「職人の街って、主に布製品だったね。新しい調理器具なんてなかったよ。」

市場に寄り食材を買い、職人の街はどんなものがあるか見て回ってみた。せめてミンサーくらいあるかと思っていたら、何もなかった。布製品でも主に服ばかりだったし。下着は追加したけど。

「鍛治職人の方に行けばあるんじゃない?」

「そろっと包丁も研ぎたいな。砥石が売ってないから、自分でできないし。」

「俺もそろっと剣の手入れをしてもらいたい。」

「なら、ドワーフの村に行くか?」

「行く!ありがとう!」

少し遠回りになるが、ドワーフの村を目指した。


魔馬達に乗り街を出る。切る風が冷たくなってきているから、北に近づいてきているのがわかる。
ある場所まで来ると、向こうに見える山に既視感を覚える。なんだっけ?こっちに来るのは初めてなんだけど、俺は知っている。

途中、寂れた村が見えてきた。
見た瞬間俺は口に出していた。

「リリー。」

リリーの住んでいる村だ。バトルシーンさか興味がなかったが、リリーが親に売られていく挿絵があった。
魔法が使えないが、女性が少ない世界なので、女衒に高く買ってもらえると知った両親が泣き喚くリリーを無理矢理売るんだ。
今は毎日ごはんが食べられるけど、魔王が北の国を占領してからは、寒さから段々と作物が実らなくなっていく。
そんな時に売られてしまうんだ。

「ユーリ?」

後のエルが不思議そうに聞いてくる。

「この村、リリー、リンクがいる。」

「本当?!」

俺は頷く。
エルは手綱を引き、馬を停まらせる。
それに気付いたジーク達も停まる。

「どうした?」

「ユーリがあの村にリンクがいるって。」

「何、本当か?」

「うん。…多分だけど。」

「なら、行ってみるか?」

と、俺たちは村に立ち寄ることにした。
挿絵をなんで覚えていたのか?多分、父親がリリーの髪を引っ張って、母親が女衒から金を受け取っているシーンだったから。
時代劇ドラマで、遊郭に娘を売るシーンは見たことあったが、あれは両親が泣きながら娘に謝っていた。年貢を納めるため、生活のために、仕方がないことだと分かる。
でも、リリーの両親は違ったから。元からいらない子のように扱っていたから。


寂れた感じはあるが、挿絵で見た程酷くはなかった。
ジークが村人に話しかけて、『今晩何処か泊めてほしい』とお願いしていた。
村と言って50人くらいはいるから、すぐに見つかる訳がない。
村人は『村長に聞いてくる』と言ってくれて、村長宅へ案内してくれた。

村長は空いている家を貸す代わりに、毎夜村の近くに出る魔物を倒して欲しいとお願いしてきた。
一晩中哭いて煩いらしい。発情期のにゃんこか?

「身の回りの世話に娘をつけますよ。好きなように使ってください。」

と、紹介されたのがリリーだった。
リリーは村長の娘だったみたい。
まだ10歳くらいなのに、栄養が足りてないのか7、8歳くらいにしか見えなかった。
俺はエル達に頷く。エル達もわかってくれたようで、頷き返した。
リリーが空き家を案内してくれた。



「名前は何?」

案内がてら、エルが優しく聞く。

「リリー、です。よろしく、お願い、します。」

リリーはおどおどと答える。

「僕はエルだよ。1番ゴツいのがロドリー、2番目にゴツいのがジーク、ひょろいのがユーリだよ!」

『ひょろいって何?!俺は標準だ!』とエルの変な自己紹介で俺はぷんすこして、ジークに宥められてしまう。

俺は普通なの!お前らがマッチョなだけ!


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