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本編
俺とジークが二人きりになったらの話
しおりを挟む「リリー、痛くない?」
「うん。」
翌朝、エルとロドリーがリリーを連れて街に行く。リリーの傷も大分癒えてきたが、それでも俺は心配する。
馬で駆けると身体が冷えるので、寒さ対策に4人の中で一番背の低い俺のコートを着させた。
リリーの着ている服も古着で継ぎ接ぎだらけだから、そのままの格好で街に行けば悪目立ちするだろうし。
「何かイヤなことがあったら、エルかロドリーさんに助けを求めてね。絶対我慢しちゃダメだよ?あと、お腹が空いたら、エルに言うんだよ?」
「うん。」
「ユーリママは心配症だね。」
「エルはちゃんとお弁当と水は持った?」
「持ったよ。じゃあ明日の夕方までには戻るよ。」
エルの頬にいってらっしゃいのキスをする。いつものキスは、さっき隠れてしてあげたよ。
「ジーク、討伐隊の方を頼むな。」
「ああ。」
2人は魔馬に跨がり、リリーはジークに抱っこをされ、ロドリーに渡される。
「いってらっしゃい!気をつけてね!」
俺はぶんぶんと手を振り見送る。
ジークは討伐隊の手伝いに行き、家には俺一人。
誰もいないならと、気兼ねなく揚げ物をすることにした。
前世好きだった歌を口遊みながら、ベニエ(ドーナツみたいなお菓子)を揚げ、粉砂糖をまぶす。
次はフリチュール、コロッケ、カツレツ、からあげと揚げていく。
ベニエはリリーの為に。デセールはあまり得意ではないから、簡単なものしか作れない。
出来た料理からアイテムボックスに入れていく。
オーブンとチーズがあったら、グラタンも作ってあげたい。
リリーが毎回『美味しい』って笑顔で食べてくれるのが嬉しい。
「ユーリ、ただいま。」
揚げ物が終わり、後片付けで洗い物をしていたら、ジークが後ろから抱きついてきた。昼過ぎに戻って来た。
「おかえり。」
と、構わず洗い物をする俺。
「油の匂いがする。」
俺の頭の匂いを嗅ぐジーク。
「作り溜めしておいたんだよ。昨日みたいに目の前で作ると、つまみ食いばかりする奴らがいなかったから。」
「酷い言われようだな。」
俺の頭の上に顔を乗せて、クスクスと笑う。
「今日はご機嫌だね。良い事あった?」
「ユーリを独り占めできるから。」
ジークにしては甘ったるい言葉を言う。
「この後は?討伐隊にまた行く?」
「いや、明日まで一緒にいられる。」
「……まだ、外明るいけど。」
「大丈夫。結界張ったから誰も来ないよ。」
と、俺の顎を掴み後ろを向かせて、キスをする。
唇を合わせながら、舌が入ってくる。
ジークはもうスイッチが入っているようで、口の中が熱い。
俺はジークの胸を一旦止めてくれるようにトントン叩く。
「ユーリ?」
「ちゃんとしたいから、片付けさせて。あと、油の匂いが酷いから、…風呂に入りたい。」
「ん。風呂の準備するよ。」
わしゃわしゃとジークに頭を洗われる。
米糠とふくらまし粉で作った石鹸で洗ってもらっている。米糠の匂いが気になるから、香油も足してある。
「浄化魔法を使えばすぐなのに。」
「ふふっ、ジークと入りたかったんだよ。ここまで言ってもわからない?」
「…今わかった。流すぞ。」
と、石鹸を流してもらう。
2人湯船に浸かる。ジークが後ろから抱きしめて離さない。
「こうして密着しているだけでも気持ちいいよ。」
「俺も。…この前、4人で入った時はあまり俺の方を見てなかったよな。」
「あれは、だって、…恥ずかしかった、から。その、思い出しちゃう、から。」
「なら、仕方ない。みんなの前でそんな色っぽい顔は見せられないからな。」
「?」
俺のどこが色っぽいのだろう?
「白い肌が薄ら朱くなって、潤んだ瞳が誘っている。」
「っ!!…ジークのバカ。」
「俺の前だけにしてくれ。」
と、キスをする。
「ん。ジークだけ。」
舌でペロッとジークの唇を舐める。
色々と逆上せてしまいそうなので、身体が温まったから、早々に風呂から出ることにした。
今回はエルとロドリーの気遣いだろう。
そうでなければ、まず2人っきりなんて無理だし。
3人が帰ってきたら、オムライスとからあげを作ってあげよう。
早くリリーの好きな料理、知りたいな。
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