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本編
エル達の街での話2
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「エル、どうした?食べながらボーっとして。」
ロドリーが話しかけてくれて、意識を戻す。
「いや、ジーク狡いなぁって。」
「狡いって。俺がジークだったら、エルの方が狡いと思うぞ。」
「えっ、そうなの?」
「何かあれば真っ先にユーリはエルに確認しに行くし、食事もエルのリクエストが採用される率が高い。ジークは時々しょんぼりしているよ。」
「そうなんだ。」
「まぁ、ユーリは無意識だと思うけどな。あれは人の役割をわかってやっているな。人を指示した事があるから、人の能力を見極めて、役割を与えているよ。」
「ロドリーは観るところが違うね。」
「おう。団長目指しているからな!」
「……でもやっぱり狡いな。ユーリはなんだかんだ言いながら、ジークには甘いもん。」
「…そこはユーリと話し合えよ。ジークだってやっと2人きりになれたんだ。」
「そうする。リリー、まだ食べれそう?」
「ううん。もうお腹いっぱい。」
「じゃあ残りはロドリーと食べるよ?」
「うん。」
リリーにコップに水を入れて渡す。ユーリの魔法の水で大分傷も癒えてきている。
傷を診る度に早く見つけられて良かったことと、前回黒い霧から守れなかった後悔が入り混じる。
ユーリは『後悔したって役に立たない。この先どうすれば最善かを考えた方がまだ役に立つ』なんて言っていた。
それでも僕は後悔してしまう。
ユーリのからあげがいつもより塩辛く感じた。
食べ終わったあとリリーは眠くなってしまったので、医務室のベッドを借り寝かせる。
僕とロドリーは、騎士団の副団長に進捗状況を聞いていた。
「そう言えば、リリーに冒険者の特徴を聞いていたけど、あれって?」
「…ここだけの話にしてください。高位貴族の子息が冒険者って聞きましたか?確実にいたことの証言が欲しかったのですが、調べていってわかったのが、彼はちょっと特殊な性癖あったってことです。」
「ああ、だからか。」
「まだ貴族だった頃にも問題を起こしていたらしいのですが、お金で揉み消していたようで。」
「で、成人して家から追い出されたのか。」
「そうなんです。でも行く先々でやっぱり問題を起こして。実家からの手切れ金で黙らせていたらしくて。」
「平民になったなら、反対にやられても仕方なくない?」
「そこは冒険者として死んだならまだしも、金欲しさに殺されたなら、家の名誉に傷が付くと。」
「はぁ。子が子なら、親も親だな。」
「貴族なんてそんなもんでしょ。」
「皇族様が何を言っているのか。」
「身分だけだよ。権力なんて振り翳したら、ユーリに嫌われるよ。」
「そりゃ違いねぇ。」
ハハハッとロドリーは笑う。
「で、リリーはこれからどうしますか?」
と、副団長に聞かれる。
「リリーは連れて行きます。やっと会えた仲間ですし、ユーリに懐いているから、離したらリリーもユーリも泣くと思う。」
うんうんと頷くロドリー。
「そうですか。リリーは仲間でしたか。ちなみにユーリさんとは?」
「うちの大事な料理人です。彼がいなければ、リリーも助けられなかった。」
「そうですか。…ちなみに食堂で食べていた料理はその彼が?」
「ええ。」
「騎士達の間で話題になっています。貴方方が見たことのない料理を美味しそうに食べていたので。」
「おう、美味しかったぜ!ユーリの料理は最高に美味い!」
「はぁ、どんなものか食べてみたいですね。」
「ロドリーの国の王様も絶賛していたしね。」
「そうなのか!」
「そうなんですか!」
2人の思いがけない大声で、僕はびっくりする。あれ?ロドリーに言ってなかった?
「ロドリーを待っている間、王様が宿まで食べに来てくれたんだよ。それからユーリと王様が仲良くなっていたよ。」
「知らなかった。」
「凄いですね。王も虜にする料理ですか。是非食べてみたいですね。」
「なら、食べる?リリーがまだごはんの食べる量が少ないから、間食用の料理があるよ。ロドリー、リリーを連れて来てよ。」
と、ロドリーは部屋から出ていく。
僕はパンケーキを出して、食べる準備をする。僕達の分もある。でも多めに渡されているから、副団長分くらいはある。
ロドリーとリリーが来て、パンケーキを食べる。
「ふわふわ。」
と、笑顔のリリー。リリーにはハチミツもかけてあり、甘く食べやすくなっている。
ハチミツには滋養もあるって言っていたから栄養不足のリリーにはピッタリだ。
僕とロドリーにはベリーソースで酸味が効いていて、さっぱりと食べれる。
「美味しい。」
副団長は一口食べてそう言うと、あとは夢中になって食べだした。
ユーリの料理を初めて食べた人は大体そうなる。そして食べ終わったあと、もう少し味わって食べれば良かったと思うのである。
副団長も食べ終えると、やっぱりそんな顔をしていた。
「美味しかったです。私の分もありがとうございます。」
「いえ、今日は余分があったので。」
「でも、毎日こんな美味しい料理をいただけるなんて、羨ましいです。」
ああ、またやってしまった。僕は、ユーリの信奉者を増やしてしまったようだ。
ユーリの料理は美味いもんなぁ。自慢したいけど独占もしたい。
エルの葛藤がまだまだ続く。
ロドリーが話しかけてくれて、意識を戻す。
「いや、ジーク狡いなぁって。」
「狡いって。俺がジークだったら、エルの方が狡いと思うぞ。」
「えっ、そうなの?」
「何かあれば真っ先にユーリはエルに確認しに行くし、食事もエルのリクエストが採用される率が高い。ジークは時々しょんぼりしているよ。」
「そうなんだ。」
「まぁ、ユーリは無意識だと思うけどな。あれは人の役割をわかってやっているな。人を指示した事があるから、人の能力を見極めて、役割を与えているよ。」
「ロドリーは観るところが違うね。」
「おう。団長目指しているからな!」
「……でもやっぱり狡いな。ユーリはなんだかんだ言いながら、ジークには甘いもん。」
「…そこはユーリと話し合えよ。ジークだってやっと2人きりになれたんだ。」
「そうする。リリー、まだ食べれそう?」
「ううん。もうお腹いっぱい。」
「じゃあ残りはロドリーと食べるよ?」
「うん。」
リリーにコップに水を入れて渡す。ユーリの魔法の水で大分傷も癒えてきている。
傷を診る度に早く見つけられて良かったことと、前回黒い霧から守れなかった後悔が入り混じる。
ユーリは『後悔したって役に立たない。この先どうすれば最善かを考えた方がまだ役に立つ』なんて言っていた。
それでも僕は後悔してしまう。
ユーリのからあげがいつもより塩辛く感じた。
食べ終わったあとリリーは眠くなってしまったので、医務室のベッドを借り寝かせる。
僕とロドリーは、騎士団の副団長に進捗状況を聞いていた。
「そう言えば、リリーに冒険者の特徴を聞いていたけど、あれって?」
「…ここだけの話にしてください。高位貴族の子息が冒険者って聞きましたか?確実にいたことの証言が欲しかったのですが、調べていってわかったのが、彼はちょっと特殊な性癖あったってことです。」
「ああ、だからか。」
「まだ貴族だった頃にも問題を起こしていたらしいのですが、お金で揉み消していたようで。」
「で、成人して家から追い出されたのか。」
「そうなんです。でも行く先々でやっぱり問題を起こして。実家からの手切れ金で黙らせていたらしくて。」
「平民になったなら、反対にやられても仕方なくない?」
「そこは冒険者として死んだならまだしも、金欲しさに殺されたなら、家の名誉に傷が付くと。」
「はぁ。子が子なら、親も親だな。」
「貴族なんてそんなもんでしょ。」
「皇族様が何を言っているのか。」
「身分だけだよ。権力なんて振り翳したら、ユーリに嫌われるよ。」
「そりゃ違いねぇ。」
ハハハッとロドリーは笑う。
「で、リリーはこれからどうしますか?」
と、副団長に聞かれる。
「リリーは連れて行きます。やっと会えた仲間ですし、ユーリに懐いているから、離したらリリーもユーリも泣くと思う。」
うんうんと頷くロドリー。
「そうですか。リリーは仲間でしたか。ちなみにユーリさんとは?」
「うちの大事な料理人です。彼がいなければ、リリーも助けられなかった。」
「そうですか。…ちなみに食堂で食べていた料理はその彼が?」
「ええ。」
「騎士達の間で話題になっています。貴方方が見たことのない料理を美味しそうに食べていたので。」
「おう、美味しかったぜ!ユーリの料理は最高に美味い!」
「はぁ、どんなものか食べてみたいですね。」
「ロドリーの国の王様も絶賛していたしね。」
「そうなのか!」
「そうなんですか!」
2人の思いがけない大声で、僕はびっくりする。あれ?ロドリーに言ってなかった?
「ロドリーを待っている間、王様が宿まで食べに来てくれたんだよ。それからユーリと王様が仲良くなっていたよ。」
「知らなかった。」
「凄いですね。王も虜にする料理ですか。是非食べてみたいですね。」
「なら、食べる?リリーがまだごはんの食べる量が少ないから、間食用の料理があるよ。ロドリー、リリーを連れて来てよ。」
と、ロドリーは部屋から出ていく。
僕はパンケーキを出して、食べる準備をする。僕達の分もある。でも多めに渡されているから、副団長分くらいはある。
ロドリーとリリーが来て、パンケーキを食べる。
「ふわふわ。」
と、笑顔のリリー。リリーにはハチミツもかけてあり、甘く食べやすくなっている。
ハチミツには滋養もあるって言っていたから栄養不足のリリーにはピッタリだ。
僕とロドリーにはベリーソースで酸味が効いていて、さっぱりと食べれる。
「美味しい。」
副団長は一口食べてそう言うと、あとは夢中になって食べだした。
ユーリの料理を初めて食べた人は大体そうなる。そして食べ終わったあと、もう少し味わって食べれば良かったと思うのである。
副団長も食べ終えると、やっぱりそんな顔をしていた。
「美味しかったです。私の分もありがとうございます。」
「いえ、今日は余分があったので。」
「でも、毎日こんな美味しい料理をいただけるなんて、羨ましいです。」
ああ、またやってしまった。僕は、ユーリの信奉者を増やしてしまったようだ。
ユーリの料理は美味いもんなぁ。自慢したいけど独占もしたい。
エルの葛藤がまだまだ続く。
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