君の隣は

ゆい

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本編

57

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「江波ちゃ~ん。メシ足らねぇ。」

と、上村。

「おかずも少ないよ。」

と、瀬下。

「お前ら、朝からどのくらい食べんだ!」

と、また朝から江波に怒られていた。
他の先生も、朝からこの2人の食べる量には呆れていた。
もうほとんどが残り物処理係だ。
廃棄がなくて何よりだけど、ホテルの人も驚くくらいに綺麗に食べ切っていた。


支度を終えてロビーに行く。
指定されたタクシーに乗り込み、最初は北野天満宮を目指す。

「なんや、えらいええ男ばっかりやなぁ。」

と、運転手に言われた。
父さんより年上の運転手さんから見ても、イケメン揃いと言われた。
助手席に座った上村が、

「よぉ、言われますぅ。」

と、似非京都弁で話す。
運転手さんは大笑いをした。運転大丈夫かな?
上村と運転手さんが気が合ったのか、2人で話が盛り上がっている。
渡辺と僕は、何処で何を観るか話して、瀬下は生八ツ橋を食べながら、僕達の話を聞いている。
また食べているし!

運転手がガイドも兼ねてくれるので、話を聞きながら見学をする。
みんなでお揃いの御守りと愛莉に御守りを買った。
撫で牛を頭が良くなるようにと、頭を撫でた。
声に出していたみたいで、みんなが笑いを噛み締めて肩を振るわせていたのには、気が付かなかった。

次は、映画村、嵐山、天龍寺と周る。
映画村で、時代劇セットやからくり屋敷、おばけ屋敷と遊んだ。
丸一日いるなら、和装のレンタルして周るのも楽しいよと、運転手さんが教えてくれた。
顔出し看板で写真を撮るだけでも楽しかった。
ちょっと、侍な瀬下が見たかったなって思った。
そしたら、瀬下が『瑞樹は町娘な』と言われた。
声に出したいたみたい。恥ずかしい!

嵐山や天龍寺は、まだ紅葉が見頃で、遅めの紅葉を楽しんだ。
渡月橋を見て、竹林の小径を歩く。
自然に瀬下と手を繋いで歩いてしまったけど、上村も渡辺も何も言わなかった。
僕は最後まで気が付かないで、普通に瀬下と話をしながら歩いた。

天龍寺の『八方睨み龍』で、上村と渡辺が堂内の真ん中から端を行ったり来たりして、龍と睨めっこして遊んでいた。
高校生の行動じゃないよ。

途中の遅めの昼食は、運転手さんのオススメのお店だった。
おばんざいランチで、母さんとの味付けの違いに感動した。
薄味なのに、出汁がきいて美味しかった。

最後は、渡辺希望のねりきりとお手前の体験だ。
約1時間のコースだが、初めての和菓子作りは面白かった。

「瑞樹、綺麗にできたね。」

「なべちゃんも上手だよ。」

「あっくんのやべぇ!」

「どうせ食べるんだから。」

と、瀬下のある意味芸術的なねりきりは、一口で消えた。
黒文字の存在意義は?

ホテルに戻り、運転手さんにお礼を言う。
運転手さんも『楽しかった』と言ってくれた。お世辞でも嬉しい。
僕達は最後の方だったらしく、先生に戻った報告をしたら、そのまま夕食となった。

「もう、明日帰るのか。」

と、僕が言うと、

「瑞樹、京都気に入った?」

と、渡辺に聞かれた。

「みんなといるのが楽しくて、いつまでも一緒にいたいなって思ったの。」

と、素直な気持ちを言うと、3人が撃沈していた。なんで?

「瑞樹の素直さがツライ。」

「父ちゃんと母ちゃんの育て方が知りたい。」

「純粋培養が過ぎる。」

と、意味不明なことを言っていた。




翌朝もいつもの時間に起き、永井達と合流して、ランニングに付き合った。
初冬の朝のランニング。朝の空気は冷たいけど、ランニングで少し火照る身体には、気持ちが良かった。
昨日は、ただ付いて行くことだけに集中していたけど、今朝は、京都の街並みを走れることを、楽しむ余裕があった。




午前中は金閣寺、龍安寺を巡って、修学旅行が終わる。
帰りは新幹線で、東京駅で乗り換えて帰る。
でも、やっぱり帰りの新幹線も寝てしまった。隣に座った瀬下と一緒に。

「こいつら、よく寝るな。」

「瑞樹とトランプできない!」

と、上村と渡辺。

「夜中、2人で遊んでいたのか?」

と山本が上村と渡辺に聞く。

「この2人、速攻で寝ていた。」

「写メの交換もしないうちに寝ていたね。」

「お子様か?」

と、永井が言う。

「瑞樹はともかく、あっくんは成長期終わったよ。」

「あっくんのどこが、これ以上成長すんだよ。」

「……お腹?」

と、山本。

「「「ぶはっ!!」」」

と、4人は大爆笑をする。
笑いのネタにされた瀬下は、瞼を閉じていただけだが、起きる気にはならず、後で山本を殴ろうと、瀬下は心に誓った。

ブランケットで隠れていたけど、行きも帰りも瀬下はずっと僕の手を繋いでいたらしい。
その話を聞いたのは、だいぶ後になってからのこと。


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