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7.水面下での話
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「それに、王族だったとしても少し融通を効かせるだけで、学生たちに直接声をかけることはしないはずよ」
実際、自国の王族が同じ学校に留学してくるとなれば、教師が頼まなくても学生たちが自主的に動く。
王族に顔を覚えてもらえれば、出世に繋がるからだ。
「それになのに、ただの貴族を優遇するとは……何かありそうだね」
にっこりとカイゼンが微笑む。
その姿に魅了される女子は少なくない。
今も、こっそりこちらを眺めている女子が、真っ赤になってうつむいたのを、アメルは視界の隅に捉えていた。
しかし、アメルから見れば、何かたくらんでいそうな笑みで、安易に女子たちに共感ができない。
「リンデルス伯爵は何も言ってこないのか?」
「昨日手紙が届いたの」
「昨日? リンデルス伯爵にしてはずいぶんと遅いんじゃないか?」
留学に関してはずいぶん前から決まっていそうなものだが、父親からの手紙は昨日届いた。
なんでも船が遅れに遅れたらしい。
「留学に来るのは、従姉だけではないみたい。もともとの発端は、第一皇子殿下が、ルングレム王国を田舎だと貶めたことが発端だと書かれていたわ」
父親からの手紙によれば、些細な喧嘩でアーバント帝国の第一皇子がルングレム王国を田舎だと言ったことが発端だとか。
実際、アメルから見てもルングレム王国はアーバント帝国に比べたら、技術も生活様式も遅れているのは事実。
帝都で生まれて何不自由なく育った皇子殿下にしてみれば、ルングレム王国はずいぶん旧式な生活だっただろう。
「それで、アーバント帝国に興味を持ったリディアが言ってみたいと言い出したみたい」
リディアの信奉者であるアーバント帝国の皇子殿下の贈り物は、ルングレム王国出身者の信奉者よりも質がだいぶ高いものばかり。
そのため、ルングレム王国の王都を田舎と言った彼の言葉は真実かもしれないと考えた。
そして、そこまで言うのなら、華やかで豊かな国を見てみたいと言い出した。
もちろん、リディアだけでなく、その場にいた王太子や他の信奉者もリディアが行くとなれば、付き従うようにやってくる。
そのときリディアは、アメルがどんな経緯かしらないがアーバント帝国にいることを突き止め、彼女に自分の世話係にさせればいいと言ったらしい。
「知っていたが、典型的な自分優位な女だな」
嫌そうにデリックが顔を歪めた。
実はデリックはまだ子供の頃に、リディアを見たことがある。
その時にアメルを使用人みたいに扱っていた姿を見た時から、リディアの事が好きではない。
「これは、帝室のコネを使った可能性があるね。実力主義を謳っていても、結局帝室のお方の言葉には、多少なりとも忖度するものだし」
「わたしがいるからこの学校に来ることになったのかも」
「我儘女の言葉が通ったのなら、そうなるな」
「ちなみに、お勉強の方はどうなの? 本当のところは、ものすごく頭がいいとか?」
「隠していないのなら、勉強はそこまでできないと思う。それに、大陸共通語だって話せるか怪しいわ。さすがに、リディアと一緒に来るだろう王太子殿下や他の信奉者はそれなりに話せるでしょうけど」
それに、リディア以外の者はみな優秀なので、おそらく全員留学試験は通るとはずだと、アメルは伝えた。
「それで、その彼女たちはいつ来るの?」
「半月後だそうよ。かなり急なことで、学校側も戸惑っているみたいだった」
おそらく、リディアだけが試験に通らなかったが、ルングレム王国にいた第一皇子殿下がごり押ししたのだろう。
その結果、絶対に学校生活に支障をきたすだろうリディアのお世話係として、アメルに声をかけたのだ。
これも、リディアの言葉を尊重した形だと思われた。
「ところで、一番肝心なところだが、アメルはなんて答えたんだ?」
「もちろん、お断りしたに決まってるでしょう?」
あっさりとアメルは答えた。
なぜアーバント帝国でもリディアの我儘に付き合わせられなければいけないのか。
「でも、お国事情的にないがしろにしたら、ご実家が大変なんじゃないのかしら?」
それはリディアと王太子の関係を暗に示していた。
もしリディアが王太子妃となった場合、アメルの反抗的な態度はリンデルス伯爵家を窮地に立たせることになるのではないかと。
「それが、今水面下ではリディアを婚約者にするのなら、王太子の第一継承権を弟君に移すと動いているらしいの」
まだ確定ではないし、この先どうなるのか分からないが、王太子がもしこのまま王位についたとしたら、どちらにしてもリンデルス伯爵家に未来はない。
もしアメルの態度次第でリンデルス伯爵家が救われるのなら、リディアに従ったかもしれないが、このままではアメルが唯々諾々と従ったところで、救われることはないと思っている。
むしろ、余計にリディアが――というよりも貴族派がリンデルス伯爵家を攻撃する材料にしそうだ。
戦わずして奴隷のように扱われるくらいなら、堂々と戦った方がましだと思う。
「他国の人間に、そんな重要情報流していいのかな?」
「自国を悪く言うのも気が引けるけど、技術や諜報活動において、この国に敵わない。知ろうと思えば、容易に知ることができると思う。それに、みんなは口は堅いでしょう?」
重要な話ではあるが、隠していたところでアーバント帝国に隠し通せるとは思っていなかった。
それに、弟君である第二王子が国王陛下になった方が、海を挟んだアーバント帝国だって良き隣人として喜んでくれそうだ。
王太子は勉強はできるが、考え方が貴族派に染まっているので、簡単に彼らの言葉を聞いてしまう。
国の長が、そんな様子ではアーバント帝国も安心できない。
言葉や意思が通じない相手程、やっかいなものはないのだから。
実際、自国の王族が同じ学校に留学してくるとなれば、教師が頼まなくても学生たちが自主的に動く。
王族に顔を覚えてもらえれば、出世に繋がるからだ。
「それになのに、ただの貴族を優遇するとは……何かありそうだね」
にっこりとカイゼンが微笑む。
その姿に魅了される女子は少なくない。
今も、こっそりこちらを眺めている女子が、真っ赤になってうつむいたのを、アメルは視界の隅に捉えていた。
しかし、アメルから見れば、何かたくらんでいそうな笑みで、安易に女子たちに共感ができない。
「リンデルス伯爵は何も言ってこないのか?」
「昨日手紙が届いたの」
「昨日? リンデルス伯爵にしてはずいぶんと遅いんじゃないか?」
留学に関してはずいぶん前から決まっていそうなものだが、父親からの手紙は昨日届いた。
なんでも船が遅れに遅れたらしい。
「留学に来るのは、従姉だけではないみたい。もともとの発端は、第一皇子殿下が、ルングレム王国を田舎だと貶めたことが発端だと書かれていたわ」
父親からの手紙によれば、些細な喧嘩でアーバント帝国の第一皇子がルングレム王国を田舎だと言ったことが発端だとか。
実際、アメルから見てもルングレム王国はアーバント帝国に比べたら、技術も生活様式も遅れているのは事実。
帝都で生まれて何不自由なく育った皇子殿下にしてみれば、ルングレム王国はずいぶん旧式な生活だっただろう。
「それで、アーバント帝国に興味を持ったリディアが言ってみたいと言い出したみたい」
リディアの信奉者であるアーバント帝国の皇子殿下の贈り物は、ルングレム王国出身者の信奉者よりも質がだいぶ高いものばかり。
そのため、ルングレム王国の王都を田舎と言った彼の言葉は真実かもしれないと考えた。
そして、そこまで言うのなら、華やかで豊かな国を見てみたいと言い出した。
もちろん、リディアだけでなく、その場にいた王太子や他の信奉者もリディアが行くとなれば、付き従うようにやってくる。
そのときリディアは、アメルがどんな経緯かしらないがアーバント帝国にいることを突き止め、彼女に自分の世話係にさせればいいと言ったらしい。
「知っていたが、典型的な自分優位な女だな」
嫌そうにデリックが顔を歪めた。
実はデリックはまだ子供の頃に、リディアを見たことがある。
その時にアメルを使用人みたいに扱っていた姿を見た時から、リディアの事が好きではない。
「これは、帝室のコネを使った可能性があるね。実力主義を謳っていても、結局帝室のお方の言葉には、多少なりとも忖度するものだし」
「わたしがいるからこの学校に来ることになったのかも」
「我儘女の言葉が通ったのなら、そうなるな」
「ちなみに、お勉強の方はどうなの? 本当のところは、ものすごく頭がいいとか?」
「隠していないのなら、勉強はそこまでできないと思う。それに、大陸共通語だって話せるか怪しいわ。さすがに、リディアと一緒に来るだろう王太子殿下や他の信奉者はそれなりに話せるでしょうけど」
それに、リディア以外の者はみな優秀なので、おそらく全員留学試験は通るとはずだと、アメルは伝えた。
「それで、その彼女たちはいつ来るの?」
「半月後だそうよ。かなり急なことで、学校側も戸惑っているみたいだった」
おそらく、リディアだけが試験に通らなかったが、ルングレム王国にいた第一皇子殿下がごり押ししたのだろう。
その結果、絶対に学校生活に支障をきたすだろうリディアのお世話係として、アメルに声をかけたのだ。
これも、リディアの言葉を尊重した形だと思われた。
「ところで、一番肝心なところだが、アメルはなんて答えたんだ?」
「もちろん、お断りしたに決まってるでしょう?」
あっさりとアメルは答えた。
なぜアーバント帝国でもリディアの我儘に付き合わせられなければいけないのか。
「でも、お国事情的にないがしろにしたら、ご実家が大変なんじゃないのかしら?」
それはリディアと王太子の関係を暗に示していた。
もしリディアが王太子妃となった場合、アメルの反抗的な態度はリンデルス伯爵家を窮地に立たせることになるのではないかと。
「それが、今水面下ではリディアを婚約者にするのなら、王太子の第一継承権を弟君に移すと動いているらしいの」
まだ確定ではないし、この先どうなるのか分からないが、王太子がもしこのまま王位についたとしたら、どちらにしてもリンデルス伯爵家に未来はない。
もしアメルの態度次第でリンデルス伯爵家が救われるのなら、リディアに従ったかもしれないが、このままではアメルが唯々諾々と従ったところで、救われることはないと思っている。
むしろ、余計にリディアが――というよりも貴族派がリンデルス伯爵家を攻撃する材料にしそうだ。
戦わずして奴隷のように扱われるくらいなら、堂々と戦った方がましだと思う。
「他国の人間に、そんな重要情報流していいのかな?」
「自国を悪く言うのも気が引けるけど、技術や諜報活動において、この国に敵わない。知ろうと思えば、容易に知ることができると思う。それに、みんなは口は堅いでしょう?」
重要な話ではあるが、隠していたところでアーバント帝国に隠し通せるとは思っていなかった。
それに、弟君である第二王子が国王陛下になった方が、海を挟んだアーバント帝国だって良き隣人として喜んでくれそうだ。
王太子は勉強はできるが、考え方が貴族派に染まっているので、簡単に彼らの言葉を聞いてしまう。
国の長が、そんな様子ではアーバント帝国も安心できない。
言葉や意思が通じない相手程、やっかいなものはないのだから。
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