変態紳士と婚約者、またはその妻

チカフジ ユキ

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公爵令息ギルバート

リリアーヌ1

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 リリアーヌは物凄く困っていた。
 混乱していると言っても良い。
 それは大好きな婚約者であるギルバートがリリアーヌの隠し事を見抜いていて、追及してきたのだ。
 
 それは仕方がないと思う。

 ここ最近のリリアーヌの言動は、かなりおかしかったし自覚もあった。
 顔を見れば視線は外し、ともすれば逃げ出して。
 そんな事が続けば、ギルバートが不思議に思うのも当然で。
 でもだからと言って、両家の両親兄弟が揃うこんな場所で問い詰められても、リリアーヌは困惑するのだ。
 なにせ、どう言っていいのか分からないから。

「リリアーヌ、僕の事嫌いになった?」

 キラキラ輝く金色の髪がさらりとそのとびきり整った顔にかかり影を作る。
 それに罪悪感最高潮のリリアーヌ。
 リリアーヌの両親は困惑しながらも、どういうことか問いかける視線を送ってくる。
 憂い顔の美形王子様は、母の庇護欲を誘い、なんなら父親も真剣にリリアーヌに問い詰めてきた。
 ちなみに、リリアーヌの兄でありギルバートの親友である兄は完全に胡散臭げ。
 そして、公爵夫妻も同様だったが、リリアーヌはそれには気付いていない。
 
 特に婚約者ギルバートの父親なんて、びっくりするくらい嘲笑顔。
 もちろん、それに気付いているのは妻と息子だけだが。

「僕はリリの事が変わらず好きだけど、それは僕だけの一方通行ならば仕方がない。でも、もし改善できる点があるのなら僕は直していきたい。リリの事を愛しているから」

 真剣な目にきゅんとした。
 リリアーヌだって、婚約者の王子様の事は幼い頃から好きなのだ。
 でもどうしても、受け入れられない恥ずかしいこともある。
 今この場で言っていいのか分からないけど、なんか言わなくちゃいけない雰囲気だ。
 両親だって、心配そうだ。
 だったら言うしかない。
 きっとギルバートも分かってくれる、そう信じて。

「リリ?」
「ギ、ギルバート様……その――…」

 緊張で口の中がカラカラだ。
 両家共に静まり返り、リリアーヌの言葉を待つ。
 本来なら、二人きりの時に言いたい気もした。
 でも、ぐるぐる混乱するリリアーヌは、思ったことを口に出すしかなかった。
 そしてついに、目をぎゅっとつぶって、胸の前で手をぎゅっと握って震える声でギルバートに訴えた。







「あ、あの!わたくしのパンツを脱がすのは止めてほしいんです!!」







 と。

 静まり返る、一同。
 凍り付く空気。
 カシャンとカトラリーがぶつかる音、そして――…


 ギルバートが思いっきり母親である公爵夫人にぶん殴られ、ぶっ飛んだ。



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