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学園編 § 編入準備編
第46話 魔法陣、作動す
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僕は、ため息をつくと、このニーチェが写し取った魔法陣に、ゆっくりと霊力を注いでいった。
魔法陣は、このゆがみにもかかわらず、随分と簡単に僕の霊力を受け入れている。
「飛鳥、魔法陣に注ぐんじゃなくて、霊力を単に周囲にまき散らせないか?」
クロウリーがその様子を見ながら、そんな風に言ってきた。
僕は、霊力を注ぐのをやめ、また、霊力を押さえ込んでいる力を少し緩めた。
意識しないとあふれ出る霊力を無造作に放置していると、ぐん、と引っ張られる感覚があった。
僕はその引っ張られる方向を確認すると、案の定、魔法陣が僕の霊力を引っ張り込んでいる。まるで煙を吸う換気扇だな、そんな風に苦笑してしまったけど、これは想像以上にやっかいだな。
「無造作に通った者の霊力を引っ張るのか?」
「いや、今まで作動しないことを見ると、無差別でもないだろう。」
悠長にお偉方は言ってるけど、これ、放置でいいのかな?
そうしている間にも結構な霊力が引っ張られる。生半可な術者じゃとっくに気絶するレベルだぞ。
「ん?見てみろ、飛鳥の霊力で間違いなさそうだな。」
グレゴリーが、少し真面目な声で言う。
どうやら霊力を吸うだけじゃなくて、吐き出しているようだ。
と、同時に引っ張られる力が弱まっている。継続的に吸われてるが、どうやらある一定の量を超えられないらしい。余分を吐き出してるってところかな?
そういや、現場でも変なループが始まって、焦ったんだったか?
「飛鳥、どんな感じだ?持ってかれる量に変化はあるか?」
「最初は、無茶苦茶引っ張られたけど、徐々に減って、今はそんなでもない。落ち着いたのか定量って感じ?」
「吐き出す方も最初は爆発的だったが、今は安定してるみたいだな。飛鳥、引っ張られる量と吐き出してる量はイコールな感じか?」
「いや、吸われる方が全然多い。一部、そうだな、今の感じで1割前後が吐き出されてる感じ。」
「てことは9割はその転送陣でどこかへ運ばれてるってことか。」
クロウリーの話を聞いて、副長がメールでなにやら指示をしているようだ。たぶん僕の霊力がどこかから溢れだしてないか、調べさせているのだろうけど・・・
「飛鳥、そのままで、どのくらい持つ?」
「えー、続けるの?正直、キツくなってきたんだけど。」
だから普通ならとっくに気絶してるんだって。僕でも半分切ってるわ!
「仕方ない、手伝うか。」
え?やめろよ!
容赦なく、クロウリーとグレゴリー、二人の霊力が僕の中に放り込まれる。
どんな霊力でも受け入れられるっていったって、当然拒否感もあるし、ブロックする防御本能だってある。こっちが受け入れ体勢に持っていかなきゃ、無茶苦茶苦しいんだ。いってみれば、食べ物を自分で口に運んだなら自然と喉を通るから苦しくないけど、食べるつもりもないのに無理矢理口を開けられて食べ物を放り込まれたら、無茶苦茶苦しいだろう?あんな感じ。
実際、僕はゲホゲホとむせてしまう。
あのなぁ、体力とられるんだよ、まったく。
僕はキッ、と、二人を睨んだけど、そうだよな、気にもしてないよな。
僕は、床に座り込んだ。
考えてみれば律儀に立ってる必要なかったよ。
自然にしてれば勝手に霊力を持ってくんだ。立ってようが座ってようが関係なさそうだし。
「おやおや、飛鳥は疲れちゃった?ジュースでも飲む?」
そんな僕に、優しく声をかけてくるのはニーチェだ。
ロシア支部所属のザ・チャイルド。一応グレゴリーの部下になるのかな?
日本人より老けて見える、というかアジア人が若く見えるって感じだけど、見た目は優しいおばあちゃん。1999年当時、62歳って言ってたかな?僕のロシア語の先生でもある。実際、僕には優しかった。孫がいたらこんな感じだろう、なんて言っていろいろ親切にしてくれる。僕に甘々な、貴重な人だ。その分、僕にきつい人に対して、無茶苦茶する、っていうのでも有名。蓮華とは犬猿の仲。この人と会った後の蓮華は、相当荒れる。とばっちりはこっちに来るから、痛し痒しというところ。
どうやら、僕に、というか、作動状態の魔法陣に近づいても大丈夫そう、というみんなの判断で、ニーチェはジュースとケーキを持って、こっちにやってきた。
いつの間にか、部下の人も出入りしていて、机と椅子も用意してくれたみたい。
僕はニーチェに言われて、机に座り、ジュースとケーキをいただく。
他の人達は、退室したようだ。この魔法陣の出口探しの方にシフトしたってところか。
僕は当分ここに缶詰めみたいだ。
電池の役割、ってところかな。
僕の霊力パターンは、AAOがしっかり把握している。
きっと、それを使って、京都中をまずは探索するんだろうと思う。
でも、結界とかで保護されてたら、そう簡単に見つからないだろうな。
一体、どんだけの時間このまま拘束されることやら。
ニーチェが嬉しそうに話し相手になってくれるみたいだから、退屈はしないんだろうけど、ずぅっと霊力を吸われ続けるのも、結構しんどいもんだ。
あんまり言うと、ニーチェが気にするから言えないけど。ごめんね、は、もう何回も聞いたし。
結局、ニーチェから1回、グレゴリーから2回、クロウリーからは4回も、霊力を追加されて、途中寝たりもしながら、もういい、と言われたのは、丸一日以上経ったあとだった。
魔法陣は、このゆがみにもかかわらず、随分と簡単に僕の霊力を受け入れている。
「飛鳥、魔法陣に注ぐんじゃなくて、霊力を単に周囲にまき散らせないか?」
クロウリーがその様子を見ながら、そんな風に言ってきた。
僕は、霊力を注ぐのをやめ、また、霊力を押さえ込んでいる力を少し緩めた。
意識しないとあふれ出る霊力を無造作に放置していると、ぐん、と引っ張られる感覚があった。
僕はその引っ張られる方向を確認すると、案の定、魔法陣が僕の霊力を引っ張り込んでいる。まるで煙を吸う換気扇だな、そんな風に苦笑してしまったけど、これは想像以上にやっかいだな。
「無造作に通った者の霊力を引っ張るのか?」
「いや、今まで作動しないことを見ると、無差別でもないだろう。」
悠長にお偉方は言ってるけど、これ、放置でいいのかな?
そうしている間にも結構な霊力が引っ張られる。生半可な術者じゃとっくに気絶するレベルだぞ。
「ん?見てみろ、飛鳥の霊力で間違いなさそうだな。」
グレゴリーが、少し真面目な声で言う。
どうやら霊力を吸うだけじゃなくて、吐き出しているようだ。
と、同時に引っ張られる力が弱まっている。継続的に吸われてるが、どうやらある一定の量を超えられないらしい。余分を吐き出してるってところかな?
そういや、現場でも変なループが始まって、焦ったんだったか?
「飛鳥、どんな感じだ?持ってかれる量に変化はあるか?」
「最初は、無茶苦茶引っ張られたけど、徐々に減って、今はそんなでもない。落ち着いたのか定量って感じ?」
「吐き出す方も最初は爆発的だったが、今は安定してるみたいだな。飛鳥、引っ張られる量と吐き出してる量はイコールな感じか?」
「いや、吸われる方が全然多い。一部、そうだな、今の感じで1割前後が吐き出されてる感じ。」
「てことは9割はその転送陣でどこかへ運ばれてるってことか。」
クロウリーの話を聞いて、副長がメールでなにやら指示をしているようだ。たぶん僕の霊力がどこかから溢れだしてないか、調べさせているのだろうけど・・・
「飛鳥、そのままで、どのくらい持つ?」
「えー、続けるの?正直、キツくなってきたんだけど。」
だから普通ならとっくに気絶してるんだって。僕でも半分切ってるわ!
「仕方ない、手伝うか。」
え?やめろよ!
容赦なく、クロウリーとグレゴリー、二人の霊力が僕の中に放り込まれる。
どんな霊力でも受け入れられるっていったって、当然拒否感もあるし、ブロックする防御本能だってある。こっちが受け入れ体勢に持っていかなきゃ、無茶苦茶苦しいんだ。いってみれば、食べ物を自分で口に運んだなら自然と喉を通るから苦しくないけど、食べるつもりもないのに無理矢理口を開けられて食べ物を放り込まれたら、無茶苦茶苦しいだろう?あんな感じ。
実際、僕はゲホゲホとむせてしまう。
あのなぁ、体力とられるんだよ、まったく。
僕はキッ、と、二人を睨んだけど、そうだよな、気にもしてないよな。
僕は、床に座り込んだ。
考えてみれば律儀に立ってる必要なかったよ。
自然にしてれば勝手に霊力を持ってくんだ。立ってようが座ってようが関係なさそうだし。
「おやおや、飛鳥は疲れちゃった?ジュースでも飲む?」
そんな僕に、優しく声をかけてくるのはニーチェだ。
ロシア支部所属のザ・チャイルド。一応グレゴリーの部下になるのかな?
日本人より老けて見える、というかアジア人が若く見えるって感じだけど、見た目は優しいおばあちゃん。1999年当時、62歳って言ってたかな?僕のロシア語の先生でもある。実際、僕には優しかった。孫がいたらこんな感じだろう、なんて言っていろいろ親切にしてくれる。僕に甘々な、貴重な人だ。その分、僕にきつい人に対して、無茶苦茶する、っていうのでも有名。蓮華とは犬猿の仲。この人と会った後の蓮華は、相当荒れる。とばっちりはこっちに来るから、痛し痒しというところ。
どうやら、僕に、というか、作動状態の魔法陣に近づいても大丈夫そう、というみんなの判断で、ニーチェはジュースとケーキを持って、こっちにやってきた。
いつの間にか、部下の人も出入りしていて、机と椅子も用意してくれたみたい。
僕はニーチェに言われて、机に座り、ジュースとケーキをいただく。
他の人達は、退室したようだ。この魔法陣の出口探しの方にシフトしたってところか。
僕は当分ここに缶詰めみたいだ。
電池の役割、ってところかな。
僕の霊力パターンは、AAOがしっかり把握している。
きっと、それを使って、京都中をまずは探索するんだろうと思う。
でも、結界とかで保護されてたら、そう簡単に見つからないだろうな。
一体、どんだけの時間このまま拘束されることやら。
ニーチェが嬉しそうに話し相手になってくれるみたいだから、退屈はしないんだろうけど、ずぅっと霊力を吸われ続けるのも、結構しんどいもんだ。
あんまり言うと、ニーチェが気にするから言えないけど。ごめんね、は、もう何回も聞いたし。
結局、ニーチェから1回、グレゴリーから2回、クロウリーからは4回も、霊力を追加されて、途中寝たりもしながら、もういい、と言われたのは、丸一日以上経ったあとだった。
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