12 / 19
クラン設立
しおりを挟む
「なんだこれ……?」
あたしのつぶやきは虚空に溶けて消えた。
って別に文学的表現がしたかったわけじゃない。ジェド様がギルド経由でクランの立ち上げを宣言した。同時に大公とのやり取りがひそかに出回っており、あの大公を後ろ盾にしたとのうわさが広まった結果、ギルドには参加希望者がうんあの如く押し寄せているのである。
多分にというか間違いなくギルドマスターが手を回したのだろう。商人なども資金提供を申し出ている者も多い。
アルフたちがてんやわんやで参加希望者の情報を聞き取り、記録している。そんな連中と面談をして参加を認めるかの判断をしないといけない。うん、気が遠くなってきた。
「シェラ! お前も受付してくれ!」
「了解!」
若い女とみて与しやすいと思ったのか、あたしの前にも人が並び出す。
「じゃあ、ここに名前を。それと得意な武器とランクを書いてね」
まだ年若いその冒険者は素直に書類に記入してゆく。よく考えたらすごいことだ。ドーリアでは半分以上の冒険者が読むことはできても書くことはできなかった。
依頼書を読まないと仕事ができない。そして、代読では騙される危険がある。故に冒険者となるにあたり、読み書きの講座が開催される。ただし無料ではないため、その資金すらない駆け出しが騙される事案が発生し続けている。
ここジェノバでは、後払いで読み書きほか、初期知識の講座が受けられる。それによって、駆け出しの死亡率は大幅に下がるのだ。冒険者によってなる国ならではの発想であろうか。
「だあああああああああああああ……」
アルフがだれている。こっちもくたくただ。ジェド様はしれっとしているように見えるが微妙に目が死んでいる。
まあ、一番相談を受けていたのだから当然か。大量の資料を抱えて同時進行で頭を抱えていた。
さて、テーブルの上には山のような資料が積みあがっている。書かれている情報が本当かはわからない。まあ、ギルドカードとのすり合わせを行うことである程度はわかるし、ギルドランクである程度の実力は計れる。
実力以外の部分が重要になる。というのは祖国を取り戻すためには信頼できる人材がいるのだ。そしてそういった信頼関係って言うのは、修羅場をくぐることで培われるのだ!(断言
さて、テストを執り行うことにした。各自がなんかいろいろな項目を出し合う。
リースの考えたテストはなかなかにえげつなかった。待合室に金貨を落としておいてそれに対する対応を図るというものだ。懐に入れた者は問答無用で落選。まあ、ある意味妥当かなあ?
実際問題このテストで3割くらいは弾くことができた。まあ、金に汚いのは願い下げである。
ほか、大公に頼んで回してもらった騎士団の採用プログラムを使い、面接を実技テストを行う。
後は資金提供を申し出てきた商人と話をして、見返りについての希望を聞き入れる。大公への紹介は謹んでお断りとなったそうで、ごっそりと希望者が減った。
というか、むしろそれでも残った商人がいたことが驚きだ。
ドーリア出身の商人が多く、祖国の情報が入ってくると、ジェド様は舞うを潜めて考え込む時間が増えた。
彼らには新たなドーリア政府で政商としての身分を提示している。実際問題として空手形っぽいことこの上もない。それでも協力を申し出てくれた彼らには感謝しかない。
彼ら自身が見返りを求めているとしてもかなり分の悪い賭けになる。そのうえでジェド様に賭けてくれたのだ。ならばあたしたちがジェド様を助けることで、彼らの目が正しかったことを証明するのだ。
そうこうしてすでに3か月。構成員も決まり、クランの立ち上げが宣言された。マスターはジェド様。サブマスターはアルフ。あたしとリース、レザはマスター直属のメンバーとして発表された。
こうして、あたしたちはジェノバ最大のクランの構成員となってしまったのだ。まあ、あれだ。どうしてこうなったんだろう?
あたしのつぶやきは虚空に溶けて消えた。
って別に文学的表現がしたかったわけじゃない。ジェド様がギルド経由でクランの立ち上げを宣言した。同時に大公とのやり取りがひそかに出回っており、あの大公を後ろ盾にしたとのうわさが広まった結果、ギルドには参加希望者がうんあの如く押し寄せているのである。
多分にというか間違いなくギルドマスターが手を回したのだろう。商人なども資金提供を申し出ている者も多い。
アルフたちがてんやわんやで参加希望者の情報を聞き取り、記録している。そんな連中と面談をして参加を認めるかの判断をしないといけない。うん、気が遠くなってきた。
「シェラ! お前も受付してくれ!」
「了解!」
若い女とみて与しやすいと思ったのか、あたしの前にも人が並び出す。
「じゃあ、ここに名前を。それと得意な武器とランクを書いてね」
まだ年若いその冒険者は素直に書類に記入してゆく。よく考えたらすごいことだ。ドーリアでは半分以上の冒険者が読むことはできても書くことはできなかった。
依頼書を読まないと仕事ができない。そして、代読では騙される危険がある。故に冒険者となるにあたり、読み書きの講座が開催される。ただし無料ではないため、その資金すらない駆け出しが騙される事案が発生し続けている。
ここジェノバでは、後払いで読み書きほか、初期知識の講座が受けられる。それによって、駆け出しの死亡率は大幅に下がるのだ。冒険者によってなる国ならではの発想であろうか。
「だあああああああああああああ……」
アルフがだれている。こっちもくたくただ。ジェド様はしれっとしているように見えるが微妙に目が死んでいる。
まあ、一番相談を受けていたのだから当然か。大量の資料を抱えて同時進行で頭を抱えていた。
さて、テーブルの上には山のような資料が積みあがっている。書かれている情報が本当かはわからない。まあ、ギルドカードとのすり合わせを行うことである程度はわかるし、ギルドランクである程度の実力は計れる。
実力以外の部分が重要になる。というのは祖国を取り戻すためには信頼できる人材がいるのだ。そしてそういった信頼関係って言うのは、修羅場をくぐることで培われるのだ!(断言
さて、テストを執り行うことにした。各自がなんかいろいろな項目を出し合う。
リースの考えたテストはなかなかにえげつなかった。待合室に金貨を落としておいてそれに対する対応を図るというものだ。懐に入れた者は問答無用で落選。まあ、ある意味妥当かなあ?
実際問題このテストで3割くらいは弾くことができた。まあ、金に汚いのは願い下げである。
ほか、大公に頼んで回してもらった騎士団の採用プログラムを使い、面接を実技テストを行う。
後は資金提供を申し出てきた商人と話をして、見返りについての希望を聞き入れる。大公への紹介は謹んでお断りとなったそうで、ごっそりと希望者が減った。
というか、むしろそれでも残った商人がいたことが驚きだ。
ドーリア出身の商人が多く、祖国の情報が入ってくると、ジェド様は舞うを潜めて考え込む時間が増えた。
彼らには新たなドーリア政府で政商としての身分を提示している。実際問題として空手形っぽいことこの上もない。それでも協力を申し出てくれた彼らには感謝しかない。
彼ら自身が見返りを求めているとしてもかなり分の悪い賭けになる。そのうえでジェド様に賭けてくれたのだ。ならばあたしたちがジェド様を助けることで、彼らの目が正しかったことを証明するのだ。
そうこうしてすでに3か月。構成員も決まり、クランの立ち上げが宣言された。マスターはジェド様。サブマスターはアルフ。あたしとリース、レザはマスター直属のメンバーとして発表された。
こうして、あたしたちはジェノバ最大のクランの構成員となってしまったのだ。まあ、あれだ。どうしてこうなったんだろう?
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる