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将星集結
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「レイル殿! その女はなんだ!?」
「わあ! 可愛い! この方レイル様の妹さんですか?」
「あー、いや、彼女はスカサハというんだが…」
「あ! 第一妃の?! これは失礼を」
「そう思うなら抱き着くな、放してーーー! もがああああああ!」
スカサハはフレイアに抱き上げられていた。そして頭をむぎゅっと胸に押し付けてである。シレジエン周辺の地形のような体形のスカサハと、起伏に富んだロンディニウム周辺の地形のようなフレイア。非常に対照的であった。
「スカサハお姉さま。クリフォードの妹、フレイアと申します。よろしくお願いしますね」
「あ、ああ。こちらこそよろしく頼む」
「はい」
ゆったりとほほ笑むフレイア。彼女の示した武勇と美しさは、戦女神として兵を鼓舞することとなる。同様に彼女を妻としているレイルにやっかみが向くことになるのだが。スカサハはある意味好みの分かれるところであるが、その知略と武勇は全兵士の尊敬を集めていた。レイルはこの二人に支えられ戦い抜くことになるのである。
「陛下、昨夜の戦いで奇襲をかけてきた部隊が投降してまいりました!」
「なんだと?!」
「オルテガ子爵と名乗っております」
「わかった、通してくれ」
レイルの執務室にザ・武人といった風情の男が入ってきた。武装解除はされているが、素手で兵士数人は倒してしまいそうな雰囲気だ。その雰囲気にふさわしい声でレイルに用件を告げる。
「昨日の戦いでレイル陛下に負けたので、部下にしていただきたいと思い出頭いたしました」
「ほう、私も何度か死を覚悟したがな」
「ご謙遜を。自らをおとりとしてこちらの兵力をひきつけ、引き戻した別動隊で包囲する。見事な軍略です」
「包囲される直前に撤退してのけたやつのセリフじゃないな」
「そりゃもう、私も死にたくありませんので。勝てないって判断したら逃げの一手です」
「ああ、それは正しい。勝てない相手に玉砕ほどあほらしいことはないからな」
「はっはっは、陛下とは気が合いそうです」
「オルテガ卿、おぬしらが分散していた居館を押さえることができるか?」
「それはもう、事実上の部下です」
「ならばそれらは卿に与える。騎士爵として取り立てることを許可し、正式に部下として率いるがいい」
「は、ありがとうございます!」
「それともう一つ。あの砦を落とすのだ。その程度の功績がないとほかの連中が納得いかんだろ」
「承知しました。部下とともに砦に入り、内応するというのはいかがでしょうか?」
「よし、それで行こう。スカサハ、手はずを進めてくれ」
「承知しました」
オルテガが退出していく。彼の副官と思われる二人の部下が付き従う。最精鋭の兵を率いて夜間に砦に入城する手はずとなっていた。
レイルは目礼で彼らの武運を祈った。昨日は自らの命を脅かすほどの武略の冴えを見せた。だからこそ彼らがしくじるとは思わないが、戦場では何が起こるかわからない。だからあえて祈るのだ。
翌日、クリフォード候からの使者とともに騎兵100が到着した。フレイア嬢の率いるべきで、本来は彼らを率いてレイルに合流する予定だったが、その説明をする暇もなく当人が飛び出していったことを聞いた。若干頭を抱えたのは内緒である。
さらに翌日深夜、包囲している砦から火の手が上がった。手はず通りに解放された門から兵がなだれ込む。降伏を拒絶したオズワルド軍であったため、半数ほどが戦死し、残りは捕虜となった。シレジエン地方の境界で彼らは解放され、本国へと去っていった。
「従わぬものは滅ぼすが、降伏してきたものは丁重に遇す」
レイルの出した布告は、レイルを戦死寸前まで追い込んだオルテガすら許されたという事実によって強化され、効果を表した。シレジエン周辺は急速に安定を見せていったのである。
一方北ではテルロー平原でクリフォード軍がオズワルドの軍を打ち破ったとの報告が来た。フリード王国は南北で版図を広げていったのである。
「わあ! 可愛い! この方レイル様の妹さんですか?」
「あー、いや、彼女はスカサハというんだが…」
「あ! 第一妃の?! これは失礼を」
「そう思うなら抱き着くな、放してーーー! もがああああああ!」
スカサハはフレイアに抱き上げられていた。そして頭をむぎゅっと胸に押し付けてである。シレジエン周辺の地形のような体形のスカサハと、起伏に富んだロンディニウム周辺の地形のようなフレイア。非常に対照的であった。
「スカサハお姉さま。クリフォードの妹、フレイアと申します。よろしくお願いしますね」
「あ、ああ。こちらこそよろしく頼む」
「はい」
ゆったりとほほ笑むフレイア。彼女の示した武勇と美しさは、戦女神として兵を鼓舞することとなる。同様に彼女を妻としているレイルにやっかみが向くことになるのだが。スカサハはある意味好みの分かれるところであるが、その知略と武勇は全兵士の尊敬を集めていた。レイルはこの二人に支えられ戦い抜くことになるのである。
「陛下、昨夜の戦いで奇襲をかけてきた部隊が投降してまいりました!」
「なんだと?!」
「オルテガ子爵と名乗っております」
「わかった、通してくれ」
レイルの執務室にザ・武人といった風情の男が入ってきた。武装解除はされているが、素手で兵士数人は倒してしまいそうな雰囲気だ。その雰囲気にふさわしい声でレイルに用件を告げる。
「昨日の戦いでレイル陛下に負けたので、部下にしていただきたいと思い出頭いたしました」
「ほう、私も何度か死を覚悟したがな」
「ご謙遜を。自らをおとりとしてこちらの兵力をひきつけ、引き戻した別動隊で包囲する。見事な軍略です」
「包囲される直前に撤退してのけたやつのセリフじゃないな」
「そりゃもう、私も死にたくありませんので。勝てないって判断したら逃げの一手です」
「ああ、それは正しい。勝てない相手に玉砕ほどあほらしいことはないからな」
「はっはっは、陛下とは気が合いそうです」
「オルテガ卿、おぬしらが分散していた居館を押さえることができるか?」
「それはもう、事実上の部下です」
「ならばそれらは卿に与える。騎士爵として取り立てることを許可し、正式に部下として率いるがいい」
「は、ありがとうございます!」
「それともう一つ。あの砦を落とすのだ。その程度の功績がないとほかの連中が納得いかんだろ」
「承知しました。部下とともに砦に入り、内応するというのはいかがでしょうか?」
「よし、それで行こう。スカサハ、手はずを進めてくれ」
「承知しました」
オルテガが退出していく。彼の副官と思われる二人の部下が付き従う。最精鋭の兵を率いて夜間に砦に入城する手はずとなっていた。
レイルは目礼で彼らの武運を祈った。昨日は自らの命を脅かすほどの武略の冴えを見せた。だからこそ彼らがしくじるとは思わないが、戦場では何が起こるかわからない。だからあえて祈るのだ。
翌日、クリフォード候からの使者とともに騎兵100が到着した。フレイア嬢の率いるべきで、本来は彼らを率いてレイルに合流する予定だったが、その説明をする暇もなく当人が飛び出していったことを聞いた。若干頭を抱えたのは内緒である。
さらに翌日深夜、包囲している砦から火の手が上がった。手はず通りに解放された門から兵がなだれ込む。降伏を拒絶したオズワルド軍であったため、半数ほどが戦死し、残りは捕虜となった。シレジエン地方の境界で彼らは解放され、本国へと去っていった。
「従わぬものは滅ぼすが、降伏してきたものは丁重に遇す」
レイルの出した布告は、レイルを戦死寸前まで追い込んだオルテガすら許されたという事実によって強化され、効果を表した。シレジエン周辺は急速に安定を見せていったのである。
一方北ではテルロー平原でクリフォード軍がオズワルドの軍を打ち破ったとの報告が来た。フリード王国は南北で版図を広げていったのである。
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