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第2笑
過去に縛られた者達
しおりを挟む前回のあらすじ
少女の名前が発覚。
ミア 「ミアだよ。よろしくね。」
リリス 「何か得意な事はある?」
ミア 「弓が得意だよ。毎日練習してるの。」
ふふっと自慢げに言うミア。
それを見てミアに抱きつくリリス。
リリス 「何この子可愛すぎる……。」
ミア 「え、え……?」
そして第2王子が登場!!
カール 「カールだ、よろしく。」
ルシア 「妖精族って羽が生えてないの?」
カール 「羽があるのは王族だけだよ。普段はしまっているから見えないけど。」
オーウェン 「じゃあ、飛べるのか?」
カール 「残念だけど飛べはしないよ。飛ぶためのものじゃないからね。」
では、いったい何の為?
気になるよね~。
奏夜別人疑惑。
な、なんかカッコイイ?
でした。
カールに続いて狭い路地裏や
地下通路、雑木林の中を歩いて
抜けると洞窟があった。
洞窟の中に入るとそこには
一軒家があった。
カール 「ここだよ。」
カールが建物の扉を開ける。
中は広く2階もある。
カール 「いざとなった時に地下もあるから使って。」
とりあえず、女子陣は2階の、
男子陣は1階の部屋を借りた。
それぞれひと段落ついた後……
奏夜 「ちょっと話があるから外に行こう。」
奏夜はカールとミア以外を呼んで
外へ出た。
奏夜 「あのさ、カール達がもし俺らに依頼をしてきたら受けるか?」
奏夜は3人に聞く。
リリス 「奏夜が決めて。私はマスターの指示に従うよ。」
リリスはにこっと笑う。
ルシアもオーウェンも頷き同意する。
奏夜はふっと笑う。
奏夜 「りょーかい。じゃあ、それは置いといて……。」
奏夜はふーっと深く息を吐く。
奏夜 「……奏心のことなんだが。」
奏夜はガリガリと頭をを掻く。
リリス達は真剣な眼差しで
奏夜の話を聞く。
奏夜 「ちょっと昔、事件に巻き込まれてね。俺達の元いた世界でな、奏心は……誘拐されそうになったんだ。」
リリス 「ゆ、誘拐……。」
リリスが震える声で呟く。
奏夜 「たまたま、帰りだった義父が助けてくれたから奏心は無事だった。けど、義父は誘拐犯に刺されてしばらくして亡くなった。」
オーウェン 「義父?……両親は?」
奏夜 「2人とも亡くなっているよ。俺らは優しい人に引き取ってもらったんだ。」
奏夜は少し口を綻ばせて言った。
その様子から奏夜にとって義父は
掛け替えのない存在だったという
事がわかる。
奏夜 「んで、男がナイフ振り上げて女の子を刺そうとしてるところを見たのが駄目だったらしい。」
奏夜は何かを刺す様な
ジェスチャーをした。
奏夜 「それが過去の自分と重なって……つまりフラッシュバックして精神的ストレスで倒れた感じだ。」
リリス 「そんな過去が……。」
ルシア 「大変だったね……。」
奏夜 「……まあ、それだけじゃあないけどね。」
奏夜の小さな呟きは誰にも
聞こえなかった。
奏夜 「まあ、そんな事だから。驚かせて悪かった。」
奏夜は中に戻ろうとする。
奏夜の背中にリリスが声をかける。
リリス 「奏夜!……奏心に私が何かしてあげれる事はない?」
奏夜はゆっくり振り返って言う。
奏夜 「いつも通り奏心に接してあげて。」
奏夜はにこりと笑う。
リリス達は笑顔で頷く。
リリス 「わかった!」
奏夜はまた中に入ろうと
歩き始める。
オーウェンが奏夜の隣に並ぶ。
オーウェン 「奏夜、……お前は大丈夫か?」
オーウェンはじっと奏夜の顔を見る。
奏夜はへらっと笑う。
奏夜 「何が?何ともないけど。」
オーウェンは立ち止まる。
奏夜はそのまま中に入ってしまった。
オーウェン 「何ともない顔はしてないが……。」
オーウェンはボソリと呟く。
奏夜が中に入るとカールがいた。
カール 「……話は終わったのかい?」
奏夜 「ああ。……何か用か?」
カールは少し躊躇いがちに言う。
カール 「……この国の内乱を終わらせるのを手伝ってくれないか?」
奏夜 「……どうしてか理由を聞いていいか?」
奏夜はカールを見据える。
何故かとても緊張し、
唾を飲み込むカール。
カール 「君らは強い。そして、無駄な争いを好まないから。」
奏夜 「……確かに俺らは強い。そして争いは好まないな。んで、俺らが手伝ったとして俺らに利益がない。」
カール 「利益か……。じゃあ、君達のギルドに依頼という形では駄目かい?」
奏夜 「なるほど、そう来たか。……奏心が起きたら決める、それでいいか?」
カールはバッサリと駄目と
言われると思ってたらしく
目を輝かせて言う。
カール 「ああ、待ってるよ。」
奏夜は奏心のいる部屋に入る。
奏心はまだ眠っている。
奏夜は奏心の手を握る。
奏夜 「……この世界にアイツがいたら。」
奏夜は歪んだ笑顔で呟く。
奏夜 「………俺の手で苦しませて殺せるのに。」
奏夜は強く奏心の手を握り直す。
奏心 「……ん、……んん。」
奏心が薄らと目を開く。
奏夜はすぐさま優しい笑顔で
奏心を見つめる。
奏夜 「おはよう、奏心。」
奏心 「……おはよ、奏兄。」
掠れた声で言う奏心。
奏夜はコップに水を入れて
奏心に手渡す。
奏心はコップの水を一気飲みする。
奏心 「……ぷはっ!……えっと、迷惑かけてごめん。」
奏夜は顔を伏せる奏心の頭を
ぽんぽんと撫でる。
奏夜 「誰も迷惑なんて思ってないよ。」
奏心 「……ん。……それでここはどこ?」
奏夜 「うーん……話すと長くなるが…。」
奏夜はここまでの出来事を話す。
奏心 「……そうなんだ。」
奏夜 「ああ、それでどうする?」
奏心 「全然いいよ。てか、助けてあげよ。」
奏心はにこっと笑う。
奏心 「きっと幸(こう)ちゃんならそう言うよ。」
奏夜 「ああ、そうだな。」
奏夜も笑顔で頷く。
『幸(こう)ちゃん』とは誰なのか……。
その後奏夜と奏心はリビングに戻る。
リリス 「奏心!!大丈夫!?」
リリスとルシアが奏心に抱きつく。
奏心 「大丈夫だよ、心配かけてごめんね。」
ルシア 「よかった。」
ルシアが安堵の声を漏らす。
カールが奏心の前に立つ。
カール 「初めまして。僕はこの国の第2王子カール、よろしく。こっちは僕の友人のミア。」
奏心 「私は奏心。よろしくね!」
奏心はカールとミアと握手する。
奏夜 「カール。」
カール 「……決まったかい?」
奏夜 「ああ、手伝うよ。報酬は仲間が欲しいから紹介してくれ。」
カールとミアが驚いた顔をする。
カール 「そんな事でいいのかい!?」
奏夜 「そんな事っていうけど、結構大変だぞ?人間と獣人族のギルドなんか入りたい妖精族なんかいるのか?」
ミア 「……なるほど。」
カール 「……わかった。よろしく頼むよ。」
カールは奏夜と握手する。
奏夜 「んで、詳しい情報が欲しいんだが。」
カール 「ああ、今から話そう。この国で今何が起こっているのか、そしてー。」
カールがすっと真剣な顔になる。
カール 「王家の事情を。」
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