これってゲームじゃなかったの?

アノンドロフ

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これってゲームじゃなかったの?

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 着いた場所は大きい街だった。真っ白なお城も見える。
 
 袋の絵が描かれた看板があるのが素材屋です。ドロップした素材を売りに行きましょう。

 ナビのとおり、素材屋の看板を探す。途中、剣の絵が描かれた看板や服の絵が描かれた看板を提げた店を見つけた。武器屋と防具屋だろう。後で覗きに行こう。
 素材屋は、武器屋と防具屋よりも小さいお店だった。建物というよりはテントのほうが近い。
「いらっしゃい。何をお探しで?」
 お店の前に立つと、奥からおとなしそうなおじさんが出てきた。
「その……素材を売りたいんですけど、大丈夫ですか?」
「ええ、大歓迎です」
 おじさんはにこにこと笑っている。いい人そうでよかった。
 しかし、かばんからドロップした素材を出して見せたとたん、おじさんの表情が曇った。ちょっと、残念そうな感じだ。
「あの……?」
「っ……あぁ、すみません。ホーンマウスの毛皮と角ですね。銅貨80枚で買い取らせて頂きます」
 おじさんは何事もなかったかのように、素材を受け取って私の手のひらに銅貨を乗せた。
「ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
 私は店をあとにした。
 銅貨80枚で何が買えるのだろうか?

 剣の絵が描かれた看板があるのが武器屋で、服の絵が描かれた看板があるのが防具屋です。
 両方の店で使える割引券を一枚差し上げます。

 ……ということは、武器か防具のどちらか一つは買えるかもしれない。どれぐらい割引してくれるかは知らないけれど。
 来た道を引き返し、防具屋へと入る。本当は武器を買いたかったが、武器は自分で呼び出すことができるからだ。
「すみません、これで買えるものをください」
 カウンターの上に銅貨80枚と割引券を置くと、店員さんは私をじっと見つめてから店の奥へと消えていった。
 そして数分後、一着の服を持って現れた。
 真っ白な、ふわふわしたワンピースみたいな感じの服だ。
 ……これ、私完全に魔法使いになるやつだ。
 店員さんは服を私に渡すと、試着室を指差した。あそこで着替えろ、と言うことだろう。
 ◇◆◇◆
 店を出ると、最後のチュートリアルが始まった。

 防具屋の向かいにあるのがギルドハウスです。冒険者登録をおこなったり、仲間を募集したりすることができます。
 その隣にあるのがレストランです。無料券を一枚差し上げます。
 これで、チュートリアルを終わります。冒険を楽しんでください。

 クエスト「旅立ち」(クリア条件:チュートリアルを終える)をクリア!
 全てのクエストが解放されました!

 やった、チュートリアルが終わった。これで好き勝手にできる。
 しかし、体感ではもう一時間ぐらいプレーしている気がするのに、リアルの方はまだそんなに経ってないのだろうか?
 ……。
「あれ?」
 ゲームに熱中していてあんまり気にしていなかったが、そういえば、どうしてステータスのところに私の名前があったのだろう。たしか一度も係りの人に名前を言っていないはずだし、自分で打ち込んでもいない。そして、服を着替えるとき。私はてっきりゲームのように服がパッと変化するものだと思った。しかし、実際は普通に着替えている。
 ほかにも、不思議な点はいくつもあった。ところどころ、リアルすぎるものがあったのだ。つまり──。
「これって、ゲームじゃなかったの?」
 もちろん、リアルではありえないことも多い。だが、それらも今の技術でできるものだとは思えない。
 もしかすると、──いや、絶対ないけれど、私は今流行りの「異世界転生」というものをしてしまったのかもしれない。
 ばかばかしいが、それで納得できるところもある。こういう小説を何冊か読んだことあるし。
 ただ、信じたくない。自分はそんなことに巻き込まれてしまったと認めたくない。
 ……こうしよう。
 今からレストランに行ってご飯を食べる。それで満腹になったらここは異世界、ならなかったらゲームの世界。
 貰った無料券を握り締めながら、入店。
 メニューを広げ、文字が読めなかったので一番上にあるものを選択。
 運ばれてきたのは、ハムとチーズのサンドイッチだった。
 ……おいしかったし、満腹になってしまった……。
 マジかよ……どうしてこんなことになってしまったんだ……。
 おうち帰れるのだろうか。夜にアニメがするのに。
 グラスの水を飲み干し、これからのことを考える。どうすれば帰れるのかはわからないが、とりあえず方法を見つけるまではここで生きていかないといけない。まずはお金だ。どこかで働くのもいいかもしれないが、せっかくのこの魔力だ、活かすなら冒険者になったほうがいいだろう。それなら、ギルドホームに行く? そこで冒険者登録をしてもらって、仲間を探す?
「あのぅ」
 控えめな声が聞こえた。見ると、お盆を持った少し背の高い女の子がこちらを見ていた。
 あれかもしれない。ずっとここにいるから、そろそろ退いて欲しいとかかもしれない。
 長居している感じがするし。
 しかし、少女が言おうとしていたのは私の予想とはまったく違っていた。
「あの、あなたは……冒険者様ですか……?」
「これから登録しに行こうと思ってるんですけど、何でしょう?」
 少女は少し悩むそぶりを見せた後、意を決したように言った。
「わ、私を仲間にしてくださりませんか?」
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