これってゲームじゃなかったの?

アノンドロフ

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リタ・ハーマー

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「わ、私を仲間にしてくださりませんか?」
 少女はそう言って頭を下げる。
「え? 私なんかで、いいの? まだレベル1だし、弱いのに」
「はい、剣の適性がありますから攻撃は私に任せてください」
 少女は次の言葉を言おうと口を開いたが、ちょうどそのときベルが鳴った。
「……すみません。夕方には仕事が終わるので、それまで待っていてもらえませんか?」
「うん、店の前にいるね」
「はい、ありがとうございます」
 少女は再び頭を下げた。

 日が沈むまでのあいだ、武器屋や仕立て屋などを見て回った。
 そして、日が落ちかけたころ、レストランに戻るとあの少女がやって来た。
「すみません、少し遅くなりました!」
「私も今来たところだし、大丈夫だよ」
「……ここは人通りが激しいんで、場所を変えませんか?」
 うなずくと、少女は建物の間へと入っていった。

  少女は、リタ・ハーマーと名乗った。
「えっと、リタさん。どうして私と仲間になりたいの?」
 リタさんは話すことを整理していたのか、すぐに返答する。
「私には、病気の母がいます。一番安い薬草で治るような軽い病気なんですけど、長引けば長引くほど症状が重くなってしまうので、できるだけはやく薬草を手に入れたいんです」
 それならば、冒険者として働くよりも、普通に働いたほうがはやいのではないのだろうか。冒険者ギルドの仕組みはまだよくわかっていないし、リタさんのレベルも知らないけれど、レベルの低い私たちができるクエストはあまりないだろうし、あってもそれほどお金にはならないだろう。それに危険だし。一番安い薬草がどれくらいで買えるのかはわからないが、お金をたくさん稼がないといけないものではないはずだ。それならば、普通に働いたほうがはやいかもしれない。
 そう伝えてみると、リタさんはふるふると頭を横に振った。
「計算してみると、このままだと薬草を買うのに二年ほどかかりそうなんです」
 ……え?
「収入、いくらぐらい……?」
「一月に銀貨二十枚ほどです」
 頭の中で、今日見て回ったお店の品物の値段を思い浮かべる。
 ……給料が安いわけではなさそう。
「それじゃ、薬草はいくら?」
「先月に調べたので値段が変わっているかもしれないんですけど、金貨五枚です」
 金貨五枚かぁ……ふうむ……。
「そんなに高いものなの!?」
 私がしてたゲームの薬草は、もっと安かったよ!? どうしてそんなに高いの!?
「それ詐欺じゃないの? お店で確認した?」
 心配になってそう尋ねてみたけれど、リタさんはきょとんとした表情をしている。
「もしかして……去年の災厄を知らないのですか?」
「災厄……?」
 知っていないのを感じとってくれたのか、リタさんは災厄の説明をしてくれた。

 去年、薬草や聖水など『道具屋』で売られているようなものが魔物化したそうだ。
 倒せばもとに戻るということがすぐにわかり、冒険者を増やすために武器や防具が値下げされたが、回復アイテムが使えないため冒険者が激減し、アイテム全般が値上げされた。

「それならば、補助の魔法が使える人の仲間になって、薬草を探すほうがいいかもしれないと思ったんです。攻撃なら私がしますし。実は、鑑定スキル持ってるんです。すみません、さっき魔法適性を見させてもらいました。プロテクトされてて少ししか見れませんでしたけど」
 リタさんの話を聞きながら考えていたけれど、この世界がゲームとするならば、ゴールはその災厄を解決することかもしれない。
 もしそうだとすると、リタさんを仲間にするのはいいかもしれない。私も攻撃できる人が欲しいし。
「いいよ。仲間の登録ってどうやってするの?」
 リタさんにやり方を教えてもらい、ステータスも見せてもらった。

リタ・ハーマー Lv5
HP 800  MP 800
防御:200 筋力:300
俊敏:300 魔力:200
【剣の心得】【短剣の心得】【料理Ⅹ】【目利き】【鑑定】
武器適性:剣・ダガー 魔法適性:火・風
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