一人になってしまった回復術師は世界を救う

新兎丸

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5話

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 それから一週間が経ちテラの村人の治療は毎日回復魔法を掛けないといけない人以外はほとんど終わっていた。
アンは言葉を話せるようになったが、まだ体を動かすことは出来ないでいた。

「お兄さ…今日も…お願いします」

「うん、今日は腕と足の治療をやろうね」

「はい……お願いします」

 テラは回復魔法を腕と足に行い経過をみる。
腕は自分で食事を出来るぐらいには回復していたが、足はまだ動かすことができない。

「うーん今日はこれで終わりかな」

「はい…ありがとうございます」

「まだ無理して喋らなくていいからね。
後はこの薬草入りのお茶を飲んで大人しくしてるんだよ」

 アンは言われた通りお茶を飲みほした後話し始める。

「おにい、さん私の病気は治りますか?」

「うん、この調子なら後一月もすれば治ると思うよ」

「本当に?やった…ごほごほ」

「無理しないで」

「お兄さんに聞いて欲しい事が…あります」

「うん?なんだい?無理して今話さなくてもいいよ」

「いえ、今聞いて下さい」

 アンの真剣な表情にテラは話を聞く事にした。
アンの話は怪我を負った日の話だった。
 
「私は…あの日近くの森でキノコを集めて居たんです。
するといきなり体をマントで覆った耳のとがった男がいきなり前に現れたんです。
その男は私に聞いてきました」

『お前は勇者か?』

「私が違うと言ったらその男はこう言いました」

『勇者なんて本当に居るのか?魔王様も噂なんか無視すればいいものを…』

「魔王様?貴方は一体」

『ふむ、ちょっと遊んでみるか』

「男が…そう言って私の頭に手をかざすと私の中にビリっとしたものが走ったかと思ったら気を失ってしまったみたいです。
私が次に起きた時はここに寝てました」

 テラは話を聞き間違いなく魔族だと思った。
魔族は魔王に仕え人々を苦しめている。
そして話から察するに魔族の狙いはメルだった、なんとかこの事をメルに伝えなければとテラは思った。

「お兄さん?大丈夫ですか?」

「うん?大丈夫だよ。
その話に出てくる相手は多分魔族だと思う。
そしてアンちゃんの体に膨大な魔力を流して魔力回路をズタズタにしたんだと思う」

「魔族?それって何ですか?」

「魔族って言うのはね…ちょっと待ってね」

テラは魔族の説明をアンにだけするよりも女将にも聞かせた方が良いと判断して女将を呼びに行く。
そこで魔族の説明をしもし見かけたらすぐに逃げるように言う。

「そんな怖い相手にアンは…」

「でも命があっただけでも良かったですよ…
魔族は最低でもCランク以上のモンスター並みに強いと言われてますからね」

「そんなに…アン、貴女は本当に運が良かったのね」

「お母さんごめんね」

「貴方は悪くないのよ、悪いのは全部魔族なんだから」

 テラは2人に魔族の恐ろしさを伝え役目を終えたとばかりにそっと部屋を出て行く。

(それにしても魔王がメルを探しているなんてなんとかして伝えなきゃ…
でもこの村を出る方法がない…
僕はジャイアントポアが居なくなるまでここに居続けるしかないのか)

テラが悩んでいるとロック兄弟が話しかけてきた。

「どうした兄ちゃん?何か思いつめたような顔をしてるが俺達で良ければ話に乗るぜ」

「そうだぜ俺の命の恩人なんだから俺達に力になれる事なら聞くぜ」

 すっかり回復したロック兄も弟一緒に声を掛けてくる。
テラは2人にアンをあんな風にしたのは魔族の可能性が高い事を伝え、その魔族が勇者を探している事も伝えた。

「魔族だと!それが本当なら大変な事じゃないか!
すぐに国から兵士を出して貰わないと…」

「でも町に兵士を呼びに行こうにもジャイアントポアが居て街道は通れないですし、森を通るのはもっと危険なんですよね?」

「ううむ、確かにそうだがもし近くにまだ魔族が居るならこの村なんてあっという間に滅ぼされるぞ」

「こんな時にその勇者様が出てきて魔族もジャイアントポアもやっつけてくれねえかな」

(そうだメルと一緒に旅をするならジャイアントポアぐらいで逃げてちゃダメだ!
僕がジャイアントポアを退治しないと)

 ロック兄弟が悲観に暮れている中テラは自分でジャイアントポアを討伐しようと決心する。
その後テラは1人で村の中を回り武器や防具になりそうな物を探す。
結局見つかったのは如何にもボロそうな槍と簡易的な鎧ぐらいだった。
しかしテラはそれを購入し宿の自室で手入れを行う。
ジャイアントポアは昼に活動するためもしかしたら運よく出会わないで町まで行けるかもしれないので、明日の夜町に向けて出発しようと決意する。
 その日の夜いつもの酔いどれ酒場でご飯を食べた後はすぐに宿に戻り眠る。
誰にも決意を打ち明ける事なく決行する日になった。

「おはようございます今日もいい天気ですね」

女将に挨拶をしいつも通りを装う。

「おはようございますテラ様。
テラ様のおかげでアンがついに足を動かすことが出来るようになったんですよ」

女将からいつもの様にアンの様子を聞いて朝食を食べる。
その後アンの治療を行い村の中を散歩する。
 会う人会う人に挨拶をされ色々な物をプレゼントされてしまう。
その中に魔法使いなんだからと短いが杖もありこれは使えると喜ぶテラ。
 本来なら杖などを使って魔法を使った方が魔法の効率が良く普通の魔法使いなら誰もが持っているものだ。
テラはセラスの剣に拉致された時に宿に置きっぱなしになってしまったので持っていなかったのだ。

 その夜いつもの様に酔いどれ酒場でご飯を食べ宿に戻り皆が寝静まった時を見計らって宿を出て行く。
きちんと部屋に書置きを残し1人徒歩で街道へと向かって歩き始める。

「街道まで歩きだから2時間ぐらいって言ってたな。
いざ戦いになった時に疲れて戦えないなんてならないようにしなくちゃ」

 テラは疲れないようにゆっくりと歩を進めていく。
2時間が経ち街道へと出る。

「さあここからは周りの警戒をしながら行かなくちゃ」

 街道は森を切り開いて作られたもので両側は森に囲まれている。
そこからジャイアントポアが出てくる可能性が高いのでテラは細心の注意を払って歩を進めていく。
更に3時間が過ぎたころテラは丁度良い大きさの岩を見かけて腰を下ろす。

「ふーここまでは大丈夫だったけどずっと気を張りながら歩くって疲れるな。
いつもメルはこんな事をやってくれていたのか」

 いつもメルの後ろを付いて歩き後方のみ警戒をしていたが、メルがもっと大変な事をしていたと分かり改めてメルへの感謝をする。
休憩を終えて歩き始めようとした時獣の声が聞こえてくる。

「フゴッ」

 いつの間にかテラから50m程の所にジャイアントポアが1頭待ち構えていた。
慌ててテラは杖を構え速度UPの魔法を使う。
そして距離を測りながら他の支援系の魔法を自分へと使っていく。
ジャイアントポアはその場で「フゴッ」と鳴くばかりでテラへと近寄ってくる気配はない。
これはチャンスと見たテラは近寄って槍をジャイアントポアに向かって突き出す。
ジャイアントポアはよける事をせずテラの槍を頭に受ける。

「フギィィィィィーー」

テラの槍を喰らったジャイアントポアは悲鳴を上げる。
テラは槍を引き抜き更に槍を突き出していく。
5回ほど槍を刺したところでジャイアントポアは横倒しに倒れた。

「なんだ?意外と弱いのか?」

注意しながらジャイアントポアの背中側から再び槍を突き出そうとした時テラはジャイアントポアの背中に大きくえぐり取られている部分を見つける。

「この怪我のせいで動けなかったのか…」

 テラはジャイアントポアを自分の実力で倒した訳ではない事を知るが、構わずジャイアントポアに槍を何度も突き出し絶命させた。

「一体だれがこんな真似をしたんだろ」

 テラは不審に思いながらもジャイアントポアの魔石と高く売れる牙をジャイアントポアから取り出していく。
そして牙を取り終えた頃森から何かが走るような大きな音が聞こえてきた。

「不味い!確かロックさんはジャイアントポアが3頭居るって言ってたから仲間か」

 音が聞こえてくる方とは反対の森に身を潜め様子を伺う。
すると2頭のジャイアントポアが現れテラが倒したジャイアントポアの周りで大きな鳴き声を上げる。

「フゴッフゴッフゴッ」

 そして次の瞬間鼻をクンクンとさせ始める。

(不味い…これは臭いで見つかる)

 テラは見つかると判断し効果が切れてしまった支援魔法の詠唱を始める。
段々とテラの方に近寄っていく2頭のジャイアントポア。
ついにテラの隠れている木の裏側まで来た時テラはジャイアントポアの目を目掛けて槍を突き出した。

「フギィィィーーーーー」

 槍を目に喰らったジャイアントポアは悲鳴を上げる。
もう1頭のジャイアントポアがテラ目掛けて突っ込んでいく。
テラは木の陰に隠れて防ごうとするがジャイアントポアの突進は木をなぎ倒してテラへと直撃する。

「がはっ…」

テラは正面からジャイアントポアの突進を受けてしまい体の骨が軋みをあげる。

(痛い、このままじゃ死んじゃう…
早く回復しないと)

 吹っ飛ばされた先で慌てて回復魔法を使おうと詠唱を始める。
しかしジャイアントポアは再びテラ目掛けて突進をして来ていた。
その突進をなんとか転がって回避するテラ。
だが目に槍を突き刺した方のジャイアントポアもいつの間にかテラ目掛けて突進をしてきていた。

「ぐはっ…」

 テラは再び直撃を受けてしまいテラの体は木の上へと舞い上がる。
途中の木の枝に引っ掛かりその場で回復魔法を使う。

「このままじゃ不味い!なんとかしないと」

 テラは木の上から何とか攻撃出来ないかと思案するが何も思いつかない。

「何か、何か攻撃手段はないか…
そうだ試しに攻撃魔法を試してみよう」

 木の下では吹き飛ばしてテラを見失った2頭のジャイアントポアがテラを探している。
テラは小声で風の攻撃魔法を詠唱してみる。
しかし攻撃魔法は発動しなかった。

「くそっ!他の魔法を試してみよう」

 水の魔法、雷の魔法、火の魔法と試していくがどれも発動しない。
最後に土の魔法を試してみる。
 しかしその詠唱中についにジャイアントポアに見つかってしまった。
テラは太い木の上に居たのだがジャイアントポアはそんな事お構いなしに木に何度も体当たりをしている。
何度目かの体当たりで木は音を立てて倒れて行く。

「ヤバい!頼む発動してくれ」

 テラは最後の希望を持って土の魔法を使ってみた。
突如地面の一部が持ち上がり槍状の形になりジャイアントポアへと向かっていく。
直径10㎝程の小さな槍だがそれが先程目に槍を受けたジャイアントポアのもう片方の目の近くへと刺さる。

「くそっ!もう少しずれていれば両眼を潰せたのに」

 悔しがりながらも再び土魔法の詠唱を始める。
もう1頭のジャイアントポアがテラに突進を仕掛けるがその前に魔法は発動し、頭へと土の槍が突き刺さる。
しかしジャイアントポアの勢いは衰えずテラは突進を正面から再び受けてしまう。

「がっ………」

 テラは再び空に舞い上がるが今度は木の上ではなく地面へと叩き落される。
回復魔法を慌てて詠唱するがジャイアントポアは再び突進してきている。
杖を突き出して躱そうとするが杖は吹き飛ばされ突進を喰らってしまう。

(まずい…これ以上は…)

テラの脳裏に死の光景が浮かぶ。

(ごめんメル…ずっと一緒に旅しようって約束したのに…
僕は結局役立たずだったね)

テラが諦めかけたその時ある事を思いつく

(そうだ!メルはジャイアントポアは簡単に倒していたじゃないか!
まだ手は残っている。
こんな所で死ぬわけには行かないんだ)
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