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11話
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テラとロック兄弟は3日掛けてアインスタッドへと到着する。
到着したのは昼過ぎ頃で町は人通りも多く大いに賑わっていた。
アインスタッドはロック兄弟が言っていた通りこの辺りでは一番大きな町でメルと別れさせられた町よりも遥かに大きい町だった。
町はモンスター対策に大きな壁で囲われており町に入る為の門にはモンスターが入ってこないように門番が立っていた。
テラ達はロック兄弟がいつも利用している宿へと向かう。
「兄ちゃんどうだここの宿は?
高い宿ではないが安らぎ亭よりずっと立派だろ」
ロック兄の言葉に珍しくテラは反論する。
「この宿も立派で良いと思いますがやっぱり安らぎ亭のアットホームな感じも良いと思いますよ」
「おっ!兄ちゃんもドナ村が気に入ったみたいだな!
俺も弟がドナ村で暮らすことになりそうだからそう言ってくれると嬉しいぜ!」
「兄貴!俺はまだどこで暮らすか決めてねえからな。
どこにするかは明日ここを出てドナ村に戻ってからカイリと決めるからな」
「そうかそうか、もうそこまで話は進んでるのか。
そうするとお前と行商するのもこれで最後かもしれねえな」
「ああそうかもな…
カイリの料理が上達するまで待つって約束だったがあの弁当を作れるぐらいならもういつでも大丈夫だろう」
弟の話に兄は何も答えず首をゆっくりと縦に振るだけでどこか寂しそうだ。
そしてロック兄弟が宿の受付を済ませテラ達は部屋に荷物を置き出かける準備をする。
「兄ちゃんも来たな!では早速ザリュウ剣術道場へと行こうか」
テラがこのアインスタッドを訪れる目的であった訓練のため早速ロック兄弟の知り合いがやってるという剣術道場へロック弟と向かう。
宿からザリュウ剣術道場までは5分程の道のりでありすぐに着いた。
道場は広く中では30名程の者が訓練をしていた。
「失礼するぜ!ジュニアさん今日はザリュウさんは居ないのか?」
「これはこれはロックさん。
父さんは奥の部屋に居りますのでどうぞこちらに」
ジュニアと呼ばれた20歳ぐらいの青年が奥へと案内してくれる。
奥へと行くと客室のような部屋に通される。
「こちらで少々お待ちください。
今呼んで参ります」
そう言ってジュニアは部屋を後にする。
「ロックさん今の方は?」
「ああ今のはここの道場主の息子だ。
そしてこの道場の師範でもある。
色々な武器が使えてとても強いらしいから兄ちゃんも鍛えてもらうと良いぞ」
「あの人まだ20歳ぐらいですよね?
それでそんなに強いんですか?」
「ここの道場主である父親に小さな頃から鍛えられたらしくて実力では父親を凌ぐと言われてる程だ。
ちなみに歳は確か…俺より年上だから多分30歳ぐらいのはずだ」
「えっ!20歳ぐらいにしか見えませんでした。
それに失礼ですがロックさんより年下に見えました…」
「兄ちゃんも言うようになったな!
だがそんな事言ってると道場主のザリュウさんを見たら目が飛び出るほど驚くぞ」
「えっ!何に驚くんですか?」
「それは見てのお楽しみだ」
テラはそう言われて首を捻りながら考えるが分からないようだ。
そんなテラをロックはニヤニヤしながら見ている。
「お待たせしました」
そう言ってジュニアが部屋へと入ってくる。
次の瞬間テラとロックの後ろに何者かが現れ2人の首元に刃を添える。
「あ…」
「おいおいザリュウさん悪い冗談はやめてくれよ」
「ふむ、お主達いくら道場の中とはいえ油断しすぎじゃ!
これが戦場ならお主達死んでおったぞ!
特に初めて見るお主はその姿から察するに回復術師じゃな?
いつも守られてばかりだからか警戒心が全くなかったぞ!
そんな事ではモンスターにすぐにやられてしまうだろう」
ザリュウはようやく剣を2人の首元から外し腰にある鞘へと納め2人の正面へと座る。
テラは先程のザリュウが剣を首に差し出して来たのがいつやられたのか全く分からず冷や汗を掻いていた。
「ザリュウさんの相手を試すの久しぶりにやられたが、相変わらずいつやられたのか分からなかったぜ」
「ふむお主達が楽しそうに儂を見たら驚くとか話している時には天井に張り付いておったのじゃがな」
「うっ!聞かれてたのか…
でも天井に張り付いてたなんて全く分からなかったぜ」
「それは修行が足りぬからじゃ!
お主の父親は行商人はモンスターと会う事が多いからと言ってよく一緒に訓練したものじゃ…
それなのにお主達兄弟は全く鍛えようとはせんのだから勿体無い。
それでお主が訓練しに来たとは思えんし今日はどのような用事で参ったのじゃ?」
ロック弟がザリュウに訪れた目的を説明をする。
それを聞いたザリュウは腕を組み難しそうな顔をする。
「ううむ…回復術師で槍術を習いたいか…
それはちと難しいのう」
「どうしてですか?やっぱり僕が弱いからですか?」
「ちと違うが概ねその通りじゃ。
回復術師というのはのう…
ザリュウが回復術師について説明してくれる。
回復術師になる者は基本的に筋力が低く剣や槍などは向かない。
低い筋力をカバーするために遠心力を利用した棒術や弓術などが適している。
しかし結局のところ回復術師は魔力を上げる魔法杖を使うのでその杖を利用した杖術が一番適している。
そこまで話を聞いてテラは悩んでいた。
(やっぱり魔法杖を利用した杖術しかないのか…
でも杖術は所詮護身用の戦い方だ!それじゃ僕一人でモンスターと戦うなんて無理に決まってる)
「あの…僕は1人でモンスターと戦えるようにならなくちゃいけないんです。
だからなんとかお願いします!」
「お主本気なんじゃな⁉」
ザリュウは睨みつけるかの様にテラの顔を見る。
テラもそれに答えるようにザリュウを見る。
「ふむそこまで覚悟があるというなら見せて貰おう。
ただし儂の言う事には絶対に従うのじゃぞ!良いな⁉」
「はい、よろしくお願いします」
テラはザリュウに対して深々と頭を下げる。
それを隣で見ていたロック弟は張りつめていた空気がなくなりフーと息を吐く。
「とりあえず話は纏まったみたいだな。
ザリュウさんこの兄ちゃんは俺達兄弟の命の恩人だからよろしく頼むぜ」
「命の恩人とはどうゆう事じゃ?」
ロック弟が今までの経緯を説明する。
その話を聞いたザリュウはロック弟に怒りだす。
「ジャイアントボアごときに遅れを取るとは情けない…
そうなってしまったのはお主達が己を鍛えずにいたからに他ならない。
今度兄も連れて道場に来ると良い、お主達の父との仲じゃ特別に儂が鍛えてやろう」
「うーん確かに鍛えてもらった方がいいかもしれねえな…
カイリを守ってやれる男になりたいし今度お願いするかな」
「ほう?お主も女が出来たか…
出なければお主が儂の誘いを受けるとは思えぬからな」
「ああ実は………
って事で今度結婚するんだ」
「お主もようやく結婚か…お主達の父もあの世で喜んでおるだろう。
儂も早く孫の顔が見たいのう」
ザリュウはそう言ってジュニアの方をチラッと見るがジュニアは部屋の隅で我関せずという顔で立ったまま本を読んでいた。
その後色々と話をして旅の疲れもあるだろうからと訓練は次の日からとなり今日は宿へと帰る事になった。
次の日テラはロック兄弟の見送りをする。
「お2人とも色々とありがとうございました。
お気を付けて下さいね」
「ああ結婚する前に死ぬわけにはいかねえからな!
兄ちゃんもザリュウさんの訓練は大変だと思うが頑張れよ!」
「はい!頑張って強くなります!」
「じゃあ俺達はそろそろ行くわ。
またな」
「はい!またお会いしましょう」
テラは大きく手を振りロック兄弟の馬車を見送る。
馬車が見えなくなった所で反対側にあるザリュウ剣術道場へと歩き出す。
(色々助けてくれたロックさん達がいないんだから、これから僕一人で頑張らなくちゃ)
剣術道場に着くとジュニアがテラを出迎える。
「テラさん父さんからテラさんを鍛えるように言われておりますのでよろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくお願いします」
「では早速こちらにお着替え下さい」
ジュニアに渡されたのは前衛で戦う戦士でも特に防御に比重を置いた戦士が着るような全身を覆う重そうな鎧だった。
テラはそれを受け取ると言われた通り着替え始めた。
「それではそのまま道場の外を10周走って来てください。
それが終わりましたら私に声を掛けて下さいね」
「えっ!このままですか⁉
とても僕ではそんなに走れるとは思えないのですが…」
「テラさん?昨日父さんとどんな言う事でも聞くと約束しましたよね?」
「あ…はい…」
「では走ってきてください」
「分かりました…」
テラは30㎏の鎧を着けたまま道場の周りを走り出す。
道場はとても広くその周りを走るとなるととてもテラの体力では持ちそうにないが、先程ジュニアに言われたようにザリュウの言う事に従うと約束したのでテラは頑張って走る。
1周もしない内にテラは走ることが出来ない程疲労してしまったが歩き続けている。
3時間程経った頃ようやく半分の5週目が終わる。
テラは疲労からか気付かなかったが道場前にザリュウが立っておりその様子を見ている。
「ふむどうやら本気のようじゃな…
これは儂も真剣に鍛えてやらんとな」
ザリュウはそのまま道場前でテラが走り終わるのを待った。
辺りが暗くなって来た時ようやくテラは10周目をなんとか歩ききった。
「良くやった!これで晴れてお主もザリュウ剣術道場の門下生じゃ!」
ザリュウの言葉は意識朦朧としているテラには届いておらずテラはまだ歩き続けようとしている。
「意識がない中やり切ったのか………
お主の事は儂が責任を持って強くしてやろう」
テラの体を肩に担ぎあげザリュウは道場へと入りテラの事を寝かせてやる。
そしてテラが寝ている状態で他の門下生達にテラの事を紹介する。
「この男は初めてで門下生試験をやり遂げおった!
儂の道場に回復術師が来ただけでも珍しいのに門下生試験を合格した骨のある奴じゃ!
お主等明日からみっちり鍛えてやるように」
「「「はい!」」」
テラが目を覚ますとそこは道場の脇にあるザリュウの家だった。
すでに時刻は朝でありテラは半日程寝ていた。
「ここは…痛っ!体中が痛い!
こうゆう時は回復魔法で…」
テラは回復魔法を使い体中の筋肉痛を癒していく。
全ての筋肉痛を治した後昨日の事を思い出す。
「そうだ!僕は道場の周りを歩いていたんだっけ…
走れって言われたのに歩いた上、多分最後まで持たなかったんだよな…
僕はやっぱりダメなのか…」
「そんな事はないぞ!お主はちゃんと最後までやり切った!
そんな自分をもっと誇るがよい」
いつの間にか現れたザリュウにテラは驚いた。
ザリュウから昨日の話を聞き最後までやり切った事にテラは喜ぶ。
「僕はやり切ったんですね!
そうかこんな僕でも出来たんだ」
「お主が昨日やったのはこの道場の門下生試験でのぅやり切るのは4人に1人ぐらいしかおらん試験じゃ!
そしてお主はそんな難関試験を見事合格したのじゃから今日からお主は儂の門下生じゃ!
良いな?」
「はい!よろしくお願いします」
「うむ」
テラは正式に門下生となり無料で道場に通い鍛えてもらえる事となった。
この日からテラは毎日道場に通い訓練を行い色々な武具の練習をしていく。
そして何時何時ザリュウと門下生達から襲われるかもしれないという生活を送る事になった。
到着したのは昼過ぎ頃で町は人通りも多く大いに賑わっていた。
アインスタッドはロック兄弟が言っていた通りこの辺りでは一番大きな町でメルと別れさせられた町よりも遥かに大きい町だった。
町はモンスター対策に大きな壁で囲われており町に入る為の門にはモンスターが入ってこないように門番が立っていた。
テラ達はロック兄弟がいつも利用している宿へと向かう。
「兄ちゃんどうだここの宿は?
高い宿ではないが安らぎ亭よりずっと立派だろ」
ロック兄の言葉に珍しくテラは反論する。
「この宿も立派で良いと思いますがやっぱり安らぎ亭のアットホームな感じも良いと思いますよ」
「おっ!兄ちゃんもドナ村が気に入ったみたいだな!
俺も弟がドナ村で暮らすことになりそうだからそう言ってくれると嬉しいぜ!」
「兄貴!俺はまだどこで暮らすか決めてねえからな。
どこにするかは明日ここを出てドナ村に戻ってからカイリと決めるからな」
「そうかそうか、もうそこまで話は進んでるのか。
そうするとお前と行商するのもこれで最後かもしれねえな」
「ああそうかもな…
カイリの料理が上達するまで待つって約束だったがあの弁当を作れるぐらいならもういつでも大丈夫だろう」
弟の話に兄は何も答えず首をゆっくりと縦に振るだけでどこか寂しそうだ。
そしてロック兄弟が宿の受付を済ませテラ達は部屋に荷物を置き出かける準備をする。
「兄ちゃんも来たな!では早速ザリュウ剣術道場へと行こうか」
テラがこのアインスタッドを訪れる目的であった訓練のため早速ロック兄弟の知り合いがやってるという剣術道場へロック弟と向かう。
宿からザリュウ剣術道場までは5分程の道のりでありすぐに着いた。
道場は広く中では30名程の者が訓練をしていた。
「失礼するぜ!ジュニアさん今日はザリュウさんは居ないのか?」
「これはこれはロックさん。
父さんは奥の部屋に居りますのでどうぞこちらに」
ジュニアと呼ばれた20歳ぐらいの青年が奥へと案内してくれる。
奥へと行くと客室のような部屋に通される。
「こちらで少々お待ちください。
今呼んで参ります」
そう言ってジュニアは部屋を後にする。
「ロックさん今の方は?」
「ああ今のはここの道場主の息子だ。
そしてこの道場の師範でもある。
色々な武器が使えてとても強いらしいから兄ちゃんも鍛えてもらうと良いぞ」
「あの人まだ20歳ぐらいですよね?
それでそんなに強いんですか?」
「ここの道場主である父親に小さな頃から鍛えられたらしくて実力では父親を凌ぐと言われてる程だ。
ちなみに歳は確か…俺より年上だから多分30歳ぐらいのはずだ」
「えっ!20歳ぐらいにしか見えませんでした。
それに失礼ですがロックさんより年下に見えました…」
「兄ちゃんも言うようになったな!
だがそんな事言ってると道場主のザリュウさんを見たら目が飛び出るほど驚くぞ」
「えっ!何に驚くんですか?」
「それは見てのお楽しみだ」
テラはそう言われて首を捻りながら考えるが分からないようだ。
そんなテラをロックはニヤニヤしながら見ている。
「お待たせしました」
そう言ってジュニアが部屋へと入ってくる。
次の瞬間テラとロックの後ろに何者かが現れ2人の首元に刃を添える。
「あ…」
「おいおいザリュウさん悪い冗談はやめてくれよ」
「ふむ、お主達いくら道場の中とはいえ油断しすぎじゃ!
これが戦場ならお主達死んでおったぞ!
特に初めて見るお主はその姿から察するに回復術師じゃな?
いつも守られてばかりだからか警戒心が全くなかったぞ!
そんな事ではモンスターにすぐにやられてしまうだろう」
ザリュウはようやく剣を2人の首元から外し腰にある鞘へと納め2人の正面へと座る。
テラは先程のザリュウが剣を首に差し出して来たのがいつやられたのか全く分からず冷や汗を掻いていた。
「ザリュウさんの相手を試すの久しぶりにやられたが、相変わらずいつやられたのか分からなかったぜ」
「ふむお主達が楽しそうに儂を見たら驚くとか話している時には天井に張り付いておったのじゃがな」
「うっ!聞かれてたのか…
でも天井に張り付いてたなんて全く分からなかったぜ」
「それは修行が足りぬからじゃ!
お主の父親は行商人はモンスターと会う事が多いからと言ってよく一緒に訓練したものじゃ…
それなのにお主達兄弟は全く鍛えようとはせんのだから勿体無い。
それでお主が訓練しに来たとは思えんし今日はどのような用事で参ったのじゃ?」
ロック弟がザリュウに訪れた目的を説明をする。
それを聞いたザリュウは腕を組み難しそうな顔をする。
「ううむ…回復術師で槍術を習いたいか…
それはちと難しいのう」
「どうしてですか?やっぱり僕が弱いからですか?」
「ちと違うが概ねその通りじゃ。
回復術師というのはのう…
ザリュウが回復術師について説明してくれる。
回復術師になる者は基本的に筋力が低く剣や槍などは向かない。
低い筋力をカバーするために遠心力を利用した棒術や弓術などが適している。
しかし結局のところ回復術師は魔力を上げる魔法杖を使うのでその杖を利用した杖術が一番適している。
そこまで話を聞いてテラは悩んでいた。
(やっぱり魔法杖を利用した杖術しかないのか…
でも杖術は所詮護身用の戦い方だ!それじゃ僕一人でモンスターと戦うなんて無理に決まってる)
「あの…僕は1人でモンスターと戦えるようにならなくちゃいけないんです。
だからなんとかお願いします!」
「お主本気なんじゃな⁉」
ザリュウは睨みつけるかの様にテラの顔を見る。
テラもそれに答えるようにザリュウを見る。
「ふむそこまで覚悟があるというなら見せて貰おう。
ただし儂の言う事には絶対に従うのじゃぞ!良いな⁉」
「はい、よろしくお願いします」
テラはザリュウに対して深々と頭を下げる。
それを隣で見ていたロック弟は張りつめていた空気がなくなりフーと息を吐く。
「とりあえず話は纏まったみたいだな。
ザリュウさんこの兄ちゃんは俺達兄弟の命の恩人だからよろしく頼むぜ」
「命の恩人とはどうゆう事じゃ?」
ロック弟が今までの経緯を説明する。
その話を聞いたザリュウはロック弟に怒りだす。
「ジャイアントボアごときに遅れを取るとは情けない…
そうなってしまったのはお主達が己を鍛えずにいたからに他ならない。
今度兄も連れて道場に来ると良い、お主達の父との仲じゃ特別に儂が鍛えてやろう」
「うーん確かに鍛えてもらった方がいいかもしれねえな…
カイリを守ってやれる男になりたいし今度お願いするかな」
「ほう?お主も女が出来たか…
出なければお主が儂の誘いを受けるとは思えぬからな」
「ああ実は………
って事で今度結婚するんだ」
「お主もようやく結婚か…お主達の父もあの世で喜んでおるだろう。
儂も早く孫の顔が見たいのう」
ザリュウはそう言ってジュニアの方をチラッと見るがジュニアは部屋の隅で我関せずという顔で立ったまま本を読んでいた。
その後色々と話をして旅の疲れもあるだろうからと訓練は次の日からとなり今日は宿へと帰る事になった。
次の日テラはロック兄弟の見送りをする。
「お2人とも色々とありがとうございました。
お気を付けて下さいね」
「ああ結婚する前に死ぬわけにはいかねえからな!
兄ちゃんもザリュウさんの訓練は大変だと思うが頑張れよ!」
「はい!頑張って強くなります!」
「じゃあ俺達はそろそろ行くわ。
またな」
「はい!またお会いしましょう」
テラは大きく手を振りロック兄弟の馬車を見送る。
馬車が見えなくなった所で反対側にあるザリュウ剣術道場へと歩き出す。
(色々助けてくれたロックさん達がいないんだから、これから僕一人で頑張らなくちゃ)
剣術道場に着くとジュニアがテラを出迎える。
「テラさん父さんからテラさんを鍛えるように言われておりますのでよろしくお願いしますね」
「こちらこそよろしくお願いします」
「では早速こちらにお着替え下さい」
ジュニアに渡されたのは前衛で戦う戦士でも特に防御に比重を置いた戦士が着るような全身を覆う重そうな鎧だった。
テラはそれを受け取ると言われた通り着替え始めた。
「それではそのまま道場の外を10周走って来てください。
それが終わりましたら私に声を掛けて下さいね」
「えっ!このままですか⁉
とても僕ではそんなに走れるとは思えないのですが…」
「テラさん?昨日父さんとどんな言う事でも聞くと約束しましたよね?」
「あ…はい…」
「では走ってきてください」
「分かりました…」
テラは30㎏の鎧を着けたまま道場の周りを走り出す。
道場はとても広くその周りを走るとなるととてもテラの体力では持ちそうにないが、先程ジュニアに言われたようにザリュウの言う事に従うと約束したのでテラは頑張って走る。
1周もしない内にテラは走ることが出来ない程疲労してしまったが歩き続けている。
3時間程経った頃ようやく半分の5週目が終わる。
テラは疲労からか気付かなかったが道場前にザリュウが立っておりその様子を見ている。
「ふむどうやら本気のようじゃな…
これは儂も真剣に鍛えてやらんとな」
ザリュウはそのまま道場前でテラが走り終わるのを待った。
辺りが暗くなって来た時ようやくテラは10周目をなんとか歩ききった。
「良くやった!これで晴れてお主もザリュウ剣術道場の門下生じゃ!」
ザリュウの言葉は意識朦朧としているテラには届いておらずテラはまだ歩き続けようとしている。
「意識がない中やり切ったのか………
お主の事は儂が責任を持って強くしてやろう」
テラの体を肩に担ぎあげザリュウは道場へと入りテラの事を寝かせてやる。
そしてテラが寝ている状態で他の門下生達にテラの事を紹介する。
「この男は初めてで門下生試験をやり遂げおった!
儂の道場に回復術師が来ただけでも珍しいのに門下生試験を合格した骨のある奴じゃ!
お主等明日からみっちり鍛えてやるように」
「「「はい!」」」
テラが目を覚ますとそこは道場の脇にあるザリュウの家だった。
すでに時刻は朝でありテラは半日程寝ていた。
「ここは…痛っ!体中が痛い!
こうゆう時は回復魔法で…」
テラは回復魔法を使い体中の筋肉痛を癒していく。
全ての筋肉痛を治した後昨日の事を思い出す。
「そうだ!僕は道場の周りを歩いていたんだっけ…
走れって言われたのに歩いた上、多分最後まで持たなかったんだよな…
僕はやっぱりダメなのか…」
「そんな事はないぞ!お主はちゃんと最後までやり切った!
そんな自分をもっと誇るがよい」
いつの間にか現れたザリュウにテラは驚いた。
ザリュウから昨日の話を聞き最後までやり切った事にテラは喜ぶ。
「僕はやり切ったんですね!
そうかこんな僕でも出来たんだ」
「お主が昨日やったのはこの道場の門下生試験でのぅやり切るのは4人に1人ぐらいしかおらん試験じゃ!
そしてお主はそんな難関試験を見事合格したのじゃから今日からお主は儂の門下生じゃ!
良いな?」
「はい!よろしくお願いします」
「うむ」
テラは正式に門下生となり無料で道場に通い鍛えてもらえる事となった。
この日からテラは毎日道場に通い訓練を行い色々な武具の練習をしていく。
そして何時何時ザリュウと門下生達から襲われるかもしれないという生活を送る事になった。
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