一人になってしまった回復術師は世界を救う

新兎丸

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32話

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   ハイナーがセラスの剣目当てに集まった民衆を水魔法で攻撃した事によりメル達セラスの剣も容疑者として冒険者ギルドに捕まってしまった。
   その結果セラスの剣もドライデンの冒険者ギルドにてギルドマスターから取り調べを受ける羽目になった。

「ハイナーさんはアイナさんと喧嘩してセラスの剣を抜けると言って馬車を飛び出してしまいました。
その後ハイナーさんがどうしてたかは私達は街の外でキャンプをする為に出て行ったので分かりません」

「うーん…そうするとハイナー君がセラスの剣を抜けてから独断で民衆を攻撃したって事で良よろしいですか?
いや勇者メル様のお言葉を疑うわけではありませんが、でもそうなるとハイナー君は勇者パーティーであるセラスの剣の一員ではないから厳罰は免れないけどそれでも良いですか?」

「セラスの剣じゃないと厳罰になるのですか?」

「それは魔王討伐に向けて王から便宜を図るように言われているセラスの剣は特別ですからね。
ただハイナー君がセラスの剣でないとなると良くて一生強制労働ですかね。
当然不特定多数を狙った悪質な犯行ですので死罪も有り得ます」

「死罪…そんな…
でもハイナーさんがセラスの剣を抜けると言って飛び出したのは本当ですし私はどうすれば…」

「とりあえず貴女とのお話はここまでにしましょうか?
後2人残ってますからね」

   セラスの剣の事情聴取はメルから始まっていた。
それからアイナとコルネリアと順番に事情聴取を受ける。
   アイナはハイナーの犯した罪に責任を感じ何かやれる事はないかとギルドマスターに聞いてみたがギルドマスターからは今は大人しくしているように言われてしまう。
3人共事情聴取が終わりギルド内にある部屋で待っているように言われ待機している。

「私がハイナーと喧嘩したからあいつは腹いせに民衆に魔法を使ったんだ。
あの時力ずくでも言う事を聞かせておけば良かったんだ…」

   アイナはハイナーを抑え込む事が出来なかったことを悔やんでいる。

「アイナさん…誰もハイナーさんが民衆を攻撃するなんて分かりませんよ。
私とコルネリアさんだってハイナーさんを止めらなかったのですから…」

   メルの言葉に黙って聞いていたセラスの剣の賢者コルネリアが口を開く。

「ハイナーがやってしまった事はセラスの剣を抜けてからの事ですから私達が責任を感じてもしょうがないでしょう。
それに不幸中の幸いで怪我人は多く出たようですが死者は出てないようなので私が治療して差し上げますよ」

「そうだね…
私達が出来るのは怪我をした人達に謝る事とコルネリアが治療する事ぐらいだね…」

   その後3人は黙ってギルドからの連絡を待つ。
しばらくしてギルドマスターが部屋へと入ってきた。

「待たせてしまって済みません」

「いえこちらが悪いので気にしないでください…」

   リーダーのアイナが代表して答える。

「今回の件を王都のギルドマスターや王とも話し合い処分が決まりましたのでお伝えします」

   セラスの剣の3人は息を呑む。

「えー今回の民衆への攻撃は元セラスの剣であるハイナーの単独犯である。
しかし直前までセラスの剣のパーティーメンバーだった事を鑑みてセラスの剣には魔王討伐を早急に進める事を罰とする。
以上がセラスの剣に対する処分です。
何か不服はありますか?」

「それでは私達は何の罪もない事になってしまいますがよろしいのですか?」

   アイナはほぼ無罪と言われたのにギルドマスターに食い下がる。

「セラスの剣には我々全員の命が掛かってますので今回は穏便に済ます事で決まったようです。
もしハイナー君がセラスの剣のままだったら勇者メルを除いて厳罰に処されたかもしれませんけどね」

「そうですか…
では私達は被害者に謝罪と治療を行いたいのですがよろしいでしょうか?」

「それは認められません。
セラスの剣は早急に魔王討伐の旅をしなければならないので時間の浪費は許されませんよ。
被害者には冒険者ギルドから回復術士を出しますから安心して下さい」

「そんな…魔王討伐を急ぐのは分かるけど私達は被害者に謝る事すら許されないのか!」

   アイナは机をバァンと叩き大声でギルドマスターに言う。
その迫力にメルとコルネリアは驚き萎縮してしまった。
しかしギルドマスターはアイナの迫力も何処吹く風と言った感じで淡々と話していく。

「これは王都で決められた罰なのですよ。
貴方達がいくら勇者パーティーであろうと私の一存で変えることは出来ません。
どうしても被害者に謝ると言うのであればこの冒険者ギルドの職員全員と街の兵士が明日から職を失う事になるでしょう。
それでもよろしければ被害者へ面会と治療をセラスの剣が行いたいとお伝えしますが如何しますか?」

「そんな風に言われて自分勝手に出来る程私達も勝手をやるつもりはないよ!
でも被害者にせめて私達が貯めた金を渡してやってくれないか?」

「…分かりました。
しかし旅で不自由しないぐらいは残して置いて下さいね。
もしお金が足りなくて魔王討伐に支障が出た場合は私達が処分されてしまうかも知れませんからね」

「ああ分かったよ!じゃあこれを頼んだよ」

   アイナがお金の入った袋をギルドマスターに渡す。
ようやくセラスの剣の処分が決まり解放された時には夜になっていた。
   ギルドマスターは1人ギルドの自室にて後処理をしていた。
「ようやく行ったか…
全くこの街で迷惑な事をしやがって王都からの指示がなければ死罪で簡単に終わりにしてやったものを…
ハイナーって奴はめんどくさいから死罪で良いだろう」

   ギルドマスターは愚痴を言いながら酒を飲みだした。

「そういや大賢者が参加しない事と戦士はすでに途中の森で待ってる事を伝えるのを忘れてたがまあ明日伝えれば良いか…」

   こうしてセラスの剣は肝心な情報を聞くことなく次の日魔王討伐を急ぐ為に街を発ってしまうのであった。


   一方その頃テラは新しい攻撃方法が見つからずに悩んでいた。
攻撃魔法を覚えても寿命を縮めてしまうと言われ格闘についてもテラが全力で攻撃しても大した威力ではないとイングベルトに言われて完全に手詰まりになってしまう。

「はぁはぁ…
やっぱり僕には戦いが向いてないのかな…
いくら短剣で斬りつけても木1本割る事すら出来ないんだもんな…
師範なら軽々割っていたのに…」

   テラはイングベルトから貰ったゼルマルの牙で作られた短剣を木材に向かって振り回していた。
しかし木材に傷は付くが割れることはなかった。

「はぁー何か無いかな…
攻撃魔法を使えないなら何か攻撃魔法を応用して新たな発見を…」

   しかし何も思い付かずに時間は過ぎていく。

「テラ。
そろそろ吾輩の研究を手伝え。
新しい攻撃方法などそう簡単には生まれるはずもないのだから日々の積み重ねが大事じゃぞ」

「はい大賢者様!
ありがとうございます」

   テラはイングベルトの言葉で少しだけ前向きになり大魔王の魔力の流れを探るのであった。
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