一人になってしまった回復術師は世界を救う

新兎丸

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34話

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   テラはイングベルトに連れられ何故か街から入る北の洞窟に連れて来られていた。

「どうしてこちらの洞窟に来たんですか?
僕に大賢者様僕に知識を授けて頂けるのではなかったのですか?」

「その前に先ずはお主の今の実力を知りたいのだ。
ここに食糧や洞窟に潜るのに必要な物は用意してあるから全力で下まで潜って1週間以内にここに戻ってこい。
では頑張るのだぞ」

「大賢者様は一緒に行ってくれないのですか?」

「吾輩も大魔王と戦うのに勘を取り戻しておかねばならんのでな。
では吾輩はもう行くぞ」

 イングベルトはテラを置いて去っていってしまった。
テラは仕方ないなと思いながら洞窟へと潜っていくのであった。
テラが洞窟を探索している間イングベルトは自分の家がある洞窟にて勘を取り戻す為暗闇の中でモンスターと戦っていた。

「それにしても大賢者様はここで僕に何をして欲しいんだろう?
洞窟なら大賢者様の住む所を潜ったし…
そうするとレベル上げして来いって事かな?
とにかく大賢者様の狙いが分からないから全力で潜るだけだ!」

 テラは自分を鼓舞し洞窟探索をしていく。
こちらの洞窟はイングベルトの住む洞窟とは違い冒険者が他にも大勢居る。
先程までイングベルトと一緒に居る所を周りからも見られていた為テラは注目を浴びていた。
それが嫌でテラは足早に下へと降りる階段へと向かう。
しかし案の定他の冒険者達に絡まれてしまう。

「今のって大賢者様だよな?
なんでお前みたいな弱そうな奴が一緒に居たんだ?」

 テラは聞こえない振りをして先を進もうとしたが肩を掴まれ捕まってしまう。

「おいおい!無視してんじゃねえよ!
聞こえてんだろ!」

 ため息をついてテラは答える。

「先程の方は大賢者様ですがそれが何か?
僕は急いでいるので離してくれませんか?」

 ミールに叩き込まれた面倒くさい相手への対処がここで出てしまう。

「ほう喧嘩売ってるのか!
良いぜその喧嘩買ってやるよ!」

 男はそう言うと両手に短剣を構えテラに向き直る。
テラも面倒くさいと思いながらも短剣を両手に構える。

「はっはっはっ!魔法使いが短剣だと!
しかも俺の真似して両手持ちだぜ!俺も有名になったもんだ」

 男は周りにいるパーティーメンバーの2人にそう言って笑っている。
男がテラへの集中を解いた瞬間テラは男の懐に飛び込み下から男の首に短剣を添える。

「うっ!卑怯だぞ…人が見てない内に攻撃してくるなんて…」

「貴方はモンスター相手でもそう言うんですか?」

 テラの言葉に男は黙ってしまった。
しかし男のパーティーメンバーが口を開く。

「この卑怯者!ちゃんと1対1で戦えないのかい!」

「そうだぞきちんと勝負しろ!」

 しかしテラはその言葉に耳を貸さずに短剣を首に当てている男に向かって言い放つ。

「貴方達は洞窟の中でいきなり人に絡んで来て勝手に決闘に仕立て上げたんだ。
こんな事許される事じゃないのは分かってますよね?
入り口にいる兵士の所にこのまま連れて行きましょうか?」

「それだけは勘弁してくれ!
兵士に捕まっちまうと洞窟に二度と入れなくなっちまう!
そうしたら俺達は生きていけなくなっちまう!」

 男がそう言っているのをパーティーメンバーも青ざめた顔で見ている。

「それなら僕に二度と絡んで来ないでくれ!
誓えるか?」

「ああ誓うからこの短剣を離してくれねえか」

 男の言葉を信じてテラは短剣を首から離す。
男は首が切れてない事を確認すると他の2人に向かって言い放つ。

「おい!この生意気な奴をやっちまうぞ!
お前らも手伝え!」

「ああ分かった」

「生意気なガキはしめておかなくちゃね」

 男たちの言葉にテラは大きくため息を吐く。

「やっぱりか…」

 テラは短剣を構え戦闘態勢になる。
男達は3人がばらけてテラを囲むような陣形になる。
 テラは囲まれては危ないと判断し魔法使い風の女に向かっていく。
しかしその行動はもう一人の戦士風の男に読まれており女をかばうように前に出てくる。
だがテラは男の盾に向かってぜルマルの短剣を上から下へと振り下ろす。
すると男の盾は簡単に裂けてしまった。

「なんだと!この盾は上の街で一番良いやつなのに…
こんな奴に壊されるなんて…」

 この場合テラが凄いのではなくイングベルトが作った短剣の切れ味が凄いだけなのだが男達にはそれが分からなかった。
テラは男が驚いている間にもう片方の短剣を男の防具がない部分を狙って短剣を男の膝上を突き刺す。

「いってぇぇぇーー」

「まず1人…」

 戦士の男がテラに刺されて驚いている魔法使いの女にテラは猛スピードで向かっていく。
女が動けない間にテラは女の杖をぜルマルの短剣で斬りつけ真っ二つにする。
そのまま先程の男と同じように足を斬りつけ動けなくする。

「よし!2人目…」

 少し離れた所でその光景を見ていた男は驚きながらも戦闘態勢を崩しておらず男は意を決してテラに向かって行く。
男の攻撃をバックステップで躱した後すぐさま前方へと飛び込み短剣を横から振るう。
男はテラの一撃を受けまいと手甲で防ごうとするがぜルマルの短剣は凄まじい切れ味で手甲と男の腕を切り裂く。


「くそっ!何なんだよお前は!」

 それでも男は諦めまいともう片方の短剣をテラに向かって振り下ろす。
しかしテラはその攻撃を簡単に避けると男の太ももに向かってもう片方の短剣を突き刺した。

「もういいですか?
動ける程度にしたはずなので自分達で街まで戻って治療して貰ってください」

「ふざけんな!ここまでやっておいて放っておくなんて人のやる事じゃねえぞ!」

「そうよ!私なんてあんたのせいで歩けやしないんだから!」

 男達は勝負に負けたのでなんとかテラに責任を取らせるようにしようとし始めた。
テラは男達を治療するかどうか悩んだが以前ミールに「面倒な奴はどこまで行っても面倒だから必要以上に相手をしちゃだめだよ」と言われたのを思い出し男達を放っておく事にした。
テラが洞窟の奥へと歩き出すと男達は喚きわめき出す。

「おい!怪我人を置いて行っちまうなんて大賢者様のお供は酷い奴だな!」

「大賢者様なんて言ったって所詮はその程度の奴しか連れてないのか」

「か弱い女の子すら助けてくれないなんて大賢者様ってのは酷いねぇー」

 男達はイングベルトの名前を出してなんとかテラをその場に留めようとするがテラはそのまま洞窟の奥へと歩いて行ってしまう。
その後も男達の罵声が洞窟内に鳴り響いたがテラは無視する事にした。

(はぁー怖かった…
ミールさんの言う通りやってみたけど僕には向いてないな…)

 テラは冷静に対応していたが内心はかなりびびっていた。
実際男達に言い放った言葉もミールに教えて貰ったのをそのまま言っただけであり、戦い方もミールに教えて貰ったものだった。

(次からは絡まれないようにさっさと先に行っちゃおうっと)

 洞窟探検は始まったばかりだったが探索はかなり不安な始まりとなったのだった。
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