一人になってしまった回復術師は世界を救う

新兎丸

文字の大きさ
35 / 41

35話

しおりを挟む
   テラは他の冒険者に絡まれながらもなんとか下へと続く階段を見つけて降りていく。
しかしこの洞窟には冒険者が多くテラはモンスターとなかなか戦えないでいた。

「なんでこんなに人がおおいんだろう…
これはかなり下まで行かないとモンスターと戦えないぞ」

   この洞窟に冒険者が多いのは最近メル達セラスの剣がレベル上げに使っていた事が広まり自分も強くなって一旗上げようとしている冒険者がやって来ている為だった。
テラは急いで下へと降りようとするが格好がいかにも魔法使いみたいにローブを羽織っている為何度も絡まれてしまう。
 強引に仲間に入れと言われたり装備や金を全て置いてけと言われたりテラは全て隙を見て逃げていたが既に洞窟の2階で精神的に疲れていた。

「なんで皆僕に絡んでくるんだろう…
そんなに僕は弱く見えるのかな…
どうすれば絡まれずに先に進めるんだろう…」

 テラが絡まれるのは1人で居居る上に弱そうに見えるからなので考えてもどうしようもないことなのだが、テラは悩んでいた。
そこに1つのパーティーが現れる。

「そこの君!もしかして回復魔法を使えたりしないか?」

「いえ…回復魔法は使えませんが…」

「そうか…では何か薬草などは持ってないか?
お金なら払うから持ってたら分けてくれ!」

 一見すると粗暴そうな格好の男なのでテラは警戒していたがあまりの必死さに耳を傾ける。

「一体どうしたんですか?どこも怪我をされてるようには見えませんが…」

「怪我してるのは俺じゃねえんだ!
この先の階段を降りた所で俺のパーティーメンバーが皆モンスターにやられちまって動けなくなっちまったんだ。
だから頼むから薬草を分けてくれ!」

 テラは必死に助けを求める男の言葉を信じてみる事にした。

「実は回復魔法を使えますので僕が治しに一緒に行きますよ」

「本当か!じゃあこっちだから俺の後ろを付いて来てくれ!」

 男が先導し下へと降りる階段の所まで行き下へと降りて行く。
降りて少し歩いた所で辺りを岩に囲まれた部屋のような所へと行きつく。
するとそこに男女が倒れていた。
テラは倒れている人に駆け寄ると後ろからここまで連れて来た男がこん棒でテラの後頭部を殴りつける。

「へへっお頭上手くいきやしたぜ」

 男の言葉に倒れていた男女が起き上がり男の方が口を開く。

「その言葉遣いを直せと言っただろうが!
しかし今回は1人だけか…
もっと金を持ってそうな奴を連れて来いと言っただろうが!
 だが今回上手く行ったのは僥倖だったな。
このまま今日は何の獲物も取れないかと思っていたぞ」

「へい!ありがとうございやす」

 男達は話し終わるとテラの荷物を奪おうと手を伸ばす。

「こういう事だったんですね…」

 テラは伸ばして来た男の手を掴み言い放つ。

「なっ!こいつどうして…
俺の一撃が効かなかっただと!」

 実は男の一撃はテラを昏倒させるほどの一撃だったが、テラはミールから貰った短剣に回復魔法を仕込んでおいたのでそれを意識を失う前に発動させたのだ。

「よくも騙してくれたな!」

 テラは両手に短剣を構え男に斬りかかる。
しかしすぐに後ろから殺気を感じて横っ飛びにジャンプする。
テラがジャンプする前までいた場所にロックニードル突き刺さる。

「へぇーよく避けれたね…でも次は外さないよ!」

 ここまで男にべったりと寄り添っていた女が魔法を放ったのだ。
しかも普通のロックニードルよりも詠唱が短く放ったのだ。
テラはその瞬間自分では勝てないと悟った。

(これはまずいな…あんなに早く魔法を使われたら隙を狙うのは難しいぞ)

 テラは警戒しながら3人が見える所へと下がって行く。
しかしお頭と言われた男は座ったまま動いてなかった。

「ちょっと身のこなしの良い回復術師程度早く片付けちまえ!」

「へい!お頭!」

 テラを連れて来た男が地を蹴りテラへと突進してくる。
手にはこん棒が握られそれを一気に振り下ろす。
テラはその一撃を避けるが地面にこん棒が当たると地面にぶつかり小石がテラへと向かってくる。
それを腕で防いでいると女がロックニードルを詠唱しているのが目に入った。

「クレイニードル!」

 テラは咄嗟にクレイニードルを女に向かって放ってしまう。
クレイニードルは詠唱してこちらを見てなかった女の腹部に突き刺さり女は倒れる。
その光景を座ってみていた男が怒りに震えながら立ち上がる。

「貴様よくも人の女をやってくれたな…
絶対に貴様は許さんぞ!」

 男は剣を構えテラに襲い掛かって来る。
テラはぜルマルの短剣で男の剣を受けるが男の剣は折れるどころかテラの短剣を弾き飛ばしてしまう。
ぜルマルの短剣が弾き飛ばされテラはもう片方の短剣を男に向けるが、男は下から切り返した剣でテラの一撃を防いでしまう。
そしてその隙を付きもう一人の男がテラの後ろから横なぎにこん棒を振るいテラは弾き飛ばされてしまう。

「ゲホッゲホッ…この人達強い…」

「当り前だろ!俺はAランクこいつもBランクなんだ!お前みたいな奴に油断しなければやられるはずがないんだよ!」

「そんな凄いのになんでこんな事を…」

「そんなこと貴様が知る必要はない!とっととくたばりやがれ!」

 男がテラに斬りかかろうとした時男の背中に矢が突き刺さる。

「な ん だ と…」

 するともう一人の男にも矢が飛んできて足に突き刺さる。
そして4人組のパーティーが姿を現す。

「そこまでだ!紅蓮の刃!
お前らの愚行全て見させてもらったぞ!」

「手前らはセラスの盾!どうしてここが…」

「君のパーティーメンバーがそこの子に声を掛けているのを見かけてね。
たかだか3階ぐらいでパーティーメンバーが誰にも見られずに強いモンスターにやられる事があるのか気になって尾行させてもらったのさ」

 少女が前に立ち紅蓮の刃に向かって言い放つ。

「全く…たまたま怪しい奴を見かけただけでしょ
アンネリーゼそのくらいにして早くこいつらを捕まえますよ」

「せっかく人がカッコつけてるのに…
マルヴィンの馬鹿…」

 セラスの盾は4人で周りを取り囲み紅蓮の刃へとじりじりと迫っていく。
するといきなり紅蓮の刃のリーダーの男がテラに向かって走り出す。
それに合わせてもう一人の男も矢が足に刺さったままテラへと襲い掛かる。
テラは短剣を構え迎撃しようとするが紅蓮の刃の2人は後ろから弓矢を放たれ足に喰らってしまう。

「くそっ!神弓と呼ばれるのは伊達じゃないって事かよ!」

「お前なんかに褒められても嬉しくないんだけど…
さて動けないように縛らせて貰うよ。
暴れたらあっちのお嬢さんがドカンとやってくるから大人しくしてね」

 ようやく紅蓮の刃は縄を巻かれ大人しくなる。

「さてあちらのお嬢さんはどうかな?」

 マルヴィンはテラのクレイニードルを腹部に受けた女に向かっていく。

「生きてますね…どうやらこのままでも命に別状はなさそうですね。
あと賢者の君は大丈夫ですか?」

「はい!大丈夫です!
それよりも貴方方は一体どういった方達なのでしょうか?」

 テラは既に傷を自分で治していたのでセラスの盾について聞いてみる。

「私達はセラスの盾というパーティーを組んでましてね…一応私がリーダーのマルヴィンと申します。
たまたま洞窟に入ったら怪しい人が貴方に声を掛けているのを見かけましたので手出しをさせて頂きました。
これでも全員が名の通った冒険者なのですが知りませんか?」

「すいません…」

 テラが謝ると分かりやすいぐらいにマルヴィンは肩を落とす。
そこにアンネリーゼが話に加わってくる。

「私達を知らないとは貴方新人?
これでもセラスの剣と並んで有名なんだけど本当に知らないの?」

「はい…すいませんが…」

「私達の事を知らない冒険者が居たなんて信じられないわ!
貴方本当は知っていってからかってるんじゃないでしょうね!」

「やめなさいアンネリーゼ!
この子はアンネリーゼと言って凄腕の賢者なのですがちょっとお転婆でしてね…
そういえばこの間は盾より剣の方が強そうだからセラスの剣って名前の方が良かったって泣き喚いていたんですよ」

「うっ…マルヴィンそれは言わないお約束よ…」

「全く何がお約束ですか…
話が逸れてしまいましたが私達は貴方の事を騙したりしないので一緒に兵士の居る洞窟の入り口まで来て頂けませんか?
私達だけで説明するより被害者も一緒に居た方が良いと思いますのでお願いします」

「分かりました。僕はテラと言います。
短い間ですがよろしくお願いします。」

 テラは先を急ぐと言いたい所だったが丁寧にお願いしてくるマルヴィンのお願いを断る事が出来なかった。
こうしてテラは一度入り口に戻る事になったのだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...