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魔王時代編
6.エレナと出会う
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「よし、こんなところだろ」
資料を読み、習得できる魔法を全て習得した俺は、休憩をかねてあの街へ向かっていた。目的は借りていた資料を返すためと、今後をどうするかガジェルに相談するためである。
「資料ありがとうございました」
「うむ、役に立ったかのう」
「はい、お陰さまで」
「それは良かったのじゃ」
ガジェルの元に資料を返却した俺は、続けてこれからどうするべきか尋ねた。
「もっと強くなるためにはどうすればいいのか――じゃと?」
「はい」
魔法を極めて魔王になる。そのためには資料だけでは足りない。そう感じつつも、じゃあどうすればいいのかと聞かれてもわからなかった。なんとなく案はある。ただ――
「やはり優れた魔術師から学ぶのが一番じゃろう」
「ですよね」
同じことは考えていた。問題なのは、優れた魔術師なんて知らないと言うことだ。ガジェルにあてが無いか尋ねてみた。
「残念ながらおらんよ。わしの知っとる手練は、あの戦いで全員あの世へ行ってしまっておるからのう……」
ガジェルは遠くを見つめながらそう言った。結局なんの収穫もないまま、俺は村へもどることになった。
「さてどうする……このまま旅でもして探すか? いや、そんな時間は無いだろ。かといって知り合いに魔法に詳しいやつなんていないし……」
俺は考えながら独り言をぶつぶつと漏らしていた。考えても考えてもまとまらない。そうしているうちに、思わぬ事態が俺を襲った。村へ到着して戦慄する。ぐちゃぐちゃになっていた俺の頭を、真っ白に塗り替えるような光景が広がっていた。
「ぎゃあああああああ」
「はーっはははは! 殺せ、魔族共は皆殺しだぁ!!」
村から火の手が上がっている。あの時魔道具で見た光景と、まったく同じ光景が目の前に広がっていた。村の仲間達が、武装した人間に襲われている。
「や、やめろおおおおおおおおお」
「なんだぁ、新手か?」
俺はわけも分からず突っ込み、人間たちに戦いを挑んだ。
魔法も習得したし、俺は元勇者だ。勝てると思っていた。しかし、現実は思い通りにはいかなかった。
「ぐ……ぅ……」
「なんだこいつ! 威勢よく突っ込んできたわりに弱ぇじゃんか!」
地に伏した俺の頭を、人間の男が踏みつけている。
身につけた魔法は、彼らに通用しなかった。魔法を身につけても、悪魔として幼い俺では大した威力を発揮できなかったのだ。
ちくしょう……ちくしょう――
その間に、村のみんなは殺されてしまった。俺は誰一人守れなかった。涙が止まらない……恐怖よりも悔しさでいっぱいだった。
「そんじゃ死ねよ」
男が剣を振りかざした。その時、空から赤い光が降り注いだ。
「な、なんだ!? ぐおぁ――」
赤い光は人間たちを吹き飛ばした。俺を踏んでいた男もそれに吹き飛ばされる。そして見上げた空から、一人の女性が舞い降りてきた。
「あらあら、酷い有り様ね」
彼女は血のように赤い髪をなびかせ、俺の前に立った。
俺はこの日、初めてエレナと出会った。
資料を読み、習得できる魔法を全て習得した俺は、休憩をかねてあの街へ向かっていた。目的は借りていた資料を返すためと、今後をどうするかガジェルに相談するためである。
「資料ありがとうございました」
「うむ、役に立ったかのう」
「はい、お陰さまで」
「それは良かったのじゃ」
ガジェルの元に資料を返却した俺は、続けてこれからどうするべきか尋ねた。
「もっと強くなるためにはどうすればいいのか――じゃと?」
「はい」
魔法を極めて魔王になる。そのためには資料だけでは足りない。そう感じつつも、じゃあどうすればいいのかと聞かれてもわからなかった。なんとなく案はある。ただ――
「やはり優れた魔術師から学ぶのが一番じゃろう」
「ですよね」
同じことは考えていた。問題なのは、優れた魔術師なんて知らないと言うことだ。ガジェルにあてが無いか尋ねてみた。
「残念ながらおらんよ。わしの知っとる手練は、あの戦いで全員あの世へ行ってしまっておるからのう……」
ガジェルは遠くを見つめながらそう言った。結局なんの収穫もないまま、俺は村へもどることになった。
「さてどうする……このまま旅でもして探すか? いや、そんな時間は無いだろ。かといって知り合いに魔法に詳しいやつなんていないし……」
俺は考えながら独り言をぶつぶつと漏らしていた。考えても考えてもまとまらない。そうしているうちに、思わぬ事態が俺を襲った。村へ到着して戦慄する。ぐちゃぐちゃになっていた俺の頭を、真っ白に塗り替えるような光景が広がっていた。
「ぎゃあああああああ」
「はーっはははは! 殺せ、魔族共は皆殺しだぁ!!」
村から火の手が上がっている。あの時魔道具で見た光景と、まったく同じ光景が目の前に広がっていた。村の仲間達が、武装した人間に襲われている。
「や、やめろおおおおおおおおお」
「なんだぁ、新手か?」
俺はわけも分からず突っ込み、人間たちに戦いを挑んだ。
魔法も習得したし、俺は元勇者だ。勝てると思っていた。しかし、現実は思い通りにはいかなかった。
「ぐ……ぅ……」
「なんだこいつ! 威勢よく突っ込んできたわりに弱ぇじゃんか!」
地に伏した俺の頭を、人間の男が踏みつけている。
身につけた魔法は、彼らに通用しなかった。魔法を身につけても、悪魔として幼い俺では大した威力を発揮できなかったのだ。
ちくしょう……ちくしょう――
その間に、村のみんなは殺されてしまった。俺は誰一人守れなかった。涙が止まらない……恐怖よりも悔しさでいっぱいだった。
「そんじゃ死ねよ」
男が剣を振りかざした。その時、空から赤い光が降り注いだ。
「な、なんだ!? ぐおぁ――」
赤い光は人間たちを吹き飛ばした。俺を踏んでいた男もそれに吹き飛ばされる。そして見上げた空から、一人の女性が舞い降りてきた。
「あらあら、酷い有り様ね」
彼女は血のように赤い髪をなびかせ、俺の前に立った。
俺はこの日、初めてエレナと出会った。
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