宮殿で紡がれる愛と運命～王子と５人のメイド達とのハーレム生活～

第五章 リリ

妹分への想い

ユウはリリについて思いを馳せる。
宮殿の庭で花を愛でながら、幼いころのリリの姿が脳裏に浮かぶ。

幼いころ初めてリリに会ったとき、今の笑顔で明るい彼女とは程遠く、泣いている姿が印象的だった。
孤独と悲しみに包まれ、周りの子供たちとの距離を感じさせていた。

彼女は王宮の下級メイドが住む館に住んでいたが、自身が王族の血を引いていたため、他のメイドたちから疎まれていたのであった。
彼女の父親は伯爵家に婿入りし、彼女を捨てて王宮から居なくなっていた。
母親は流行り病で亡くしたと聞かされ、ユウは彼女の置かれた状況に同情を覚えた。

そして、ユウはリリを自分の宮殿に迎え入れ、専属メイドにすることを決断する。

ユウはメイド長のミユに相談し、リリを自分の専属メイドにしたいと頼み込む。

ミユは殿下のためにできる限りのことをしようと決意し、王宮内の調整に乗り出す。
ユウの要望を伝え、リリを引き取る手配を進める中で、ミユもリリの背後に潜む悲しみや苦しみを感じ取っていた。

ミユは王宮のメイド管理者と直接交渉し、リリをユウの宮殿に引き取る許可を取るべく交渉に乗り出した。
幼いリリを王子ユウの専属メイドとすることは、非常に異例のケースであった。
リリに王族の血が流れていたことも、リリを引き取る事に影響を与えていた。

引き取り手続きが整った後、ユウのもとにリリを連れてくるための手はずがユウの宮殿で整えられた。
リリに対するユウの思いやりが、メイドたちの中で共感を呼び起こし手配は円滑に進んだ。

数日後、リリはユウの宮殿の門をくぐり、ユウの新しい専属メイドの見習として迎えられる。
この出会いが、リリの運命を変えていく。

ユウがリリと一緒に寝るようになった切っ掛けは、夜泣きするリリを慰めたことから始まる。

リリが宮殿に来た最初の夜、部屋でリリが小さな泣き声を上げていた。
ベッドの上でうずくまり、暗い部屋に寂しさが漂っている。

ユウがその部屋に入り、泣いているリリの様子に気づくと、彼は優しく微笑みながら近づいた。
リリの小さな体を包み込むように抱きしめ、彼女の頭をなでなでと撫でる。

「どうしたの？」
とユウが心配そうに声をかけると、リリは小さくうなずいた。

「寂しいよ…」とリリがそっと話すと、ユウはさらに優しく彼女を抱きしめて囁いた。

「大丈夫だよ、リリ。僕がここにいるから。一緒に寝よう。」

ユウはリリをベッドに横たえ、自分も横になりながら彼女を優しく引き寄せる。
そして、優しい言葉や撫でる手つきで、リリの心にそっと安らぎを与えていく。

しばらくして、リリの泣き声も次第に穏やかになっていく。
ユウの存在が、彼女にとっての心の支えとなっていることを感じながら、リリは眠りについた。

日が経つにつれ、ユウの宮殿での生活がリリにとって新たな光をもたらしていた。
最初は寂しさに包まれていた彼女も、ユウとの触れ合いによって、徐々に温かさと明るさで満たされていく。

宮殿のメイドたちとも次第に打ち解け、リリは彼女たちと協力して家事や仕事に励むようになった。

ユウとの関係も深まり、夜には一緒に寝ることが習慣となった。
リリはその安心感に包まれながら、安らかな夜を迎え、次の日に備えるようになっていく。

リリの元来の性格である元気で明るい笑顔も見せ始め、宮殿の中に新しい風を巻き起こしていった。
リリの存在が宮殿に新たな生気をもたらし、皆に家族のような絆が生まれていた。

「リリ、お前と出会えて本当によかった。お前の笑顔が、僕の心をいつも癒してくれるんだ。」
ユウは花の香りが漂う庭で、そんな言葉をつぶやく。