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62話 殺してごらん
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「……あら、ねぇ魔王! 」
陰鬱で静まり返った巨大な城の中。
玉座という名の牢獄に繋がれた魔王は、この空間とは対照的に明るいロリエルの声に反応して目を開けた。
「……なんだ? 」
小さなロリエルを見下ろす魔王は、彼女を見ているようで何処も見ていない。
ぼうっと、半覚醒状態で呼び掛けに答えた。
「カズヤ君が来たみたいだよ。迎撃には魔物達が向かったけど……これ、突破されたかなあ」
むむむ。
宙に浮かせた水晶玉を覗き込み、ロリエルが可愛らしく唸る。
ちなみに水晶玉にはなんの意味も無い。
愛くるしいロリエルの顔が写っているだけだ。
「頂に坐す天剣、傷だらけの黒鉄はどこでサボってる? 」
「彼らも死んじゃったね! 再会は100年後かな」
魔王が完全に復活するまでの間、身を守る為に苦労して引き込んだ2体のドラゴン。
一体くらい死ぬ事はあっても、魔王を守るという仕事は完璧に遂行すると確信していたと言うのに、この有様だ。
「なんでだ? 」
流石に、彼らの死には魔王も動揺して目を見開いた。
「どうやら聖剣を使える子が……って、アイカちゃんかぁ」
ロリエルの瞳には宝具で武装した一行が映っている。
1人も欠けること無く、大怪我をしている者もいるが全員が自分の足で立って歩きこちらに歩いて来ていた。
「…….ロリエル」
「私にやれっての? いいの? 」
意味の無い水晶玉を何も無い空間に収納したロリエルは、悲しそうな顔で魔王へと向き直る。
「死んじゃうよ? 」
「そうしてくれ」
「魔王、もはや叱る者や寄り添う者も居なくなった君に最後の確認をするね。いいんだね? きっと君を止めてくれる最後の存在だ」
「無駄口が多いな。俺達は利害関係だろう」
そうだね、でも、と続けそうになって出かけた言葉を留めた。
何を今更、善人ぶって。
宝具を取り出すと、瞑想を再開した魔王に背を向けて玉座の間を出る。
老婆心と探究心の板挟み。
別にその板挟みに苦しめられていると言う訳じゃない。
ただ、何となく哀れだった。
「ちょっと外に出てくるわね、揺れるとと思うけど怖がらないで」
扉のすぐ側で震えていた子ゴブリンを撫でてやり、ロリエルは和也を迎え討つべく荒野に赴いた。
嵐のようなマナの奔流。
ロリエル程の魔法使いでも只事では無いと覚悟を決める戦場。
そこで広がっていた光景は……
「もごもご……ん、んぐぅ! 」
「お兄様! 落ち着いて召し上がって下さい、はいお水です」
「ギィ、オカワリ、タクサン」
ゴブリンの作る野草カレーをかきこむ和也、彼に水を渡す愛歌。
「見ろ見ろ魔王この卵は白い方のドラゴンがさっそく転生したいたのを見つけて来たのだカレーに入れて味変してやるぞほら」
「ごほ! やめーい! 」
白銀の卵を割って食べようとする月を見る者、それを止めようとする周りの人達。
「さあ手当は終わりましたよ。次の方……まぁ、待っていてくださいね」
傷付いた魔物を魔法で癒すルーリエ。
未だに小休止を挟みつつも殴り合い続けるベルライトと鉄の猪。
荒野を力いっぱい駆け回るケンタウロス達、雌のケンタウロスに迫られたじろぐエルヴィン。
和也から隠れ、人型に戻べく必死になって変態を行う麗らかな日和。
「あらまぁ……」
まるで、世界が1つになったかのような。
人類と魔物が手を取り合う、そんな夢のような世界が訪れたかのような。
「ねえカズヤ君」
そんな錯覚に、眩しさを感じて目を細める。
「……ん、緑の刃さん。おかわりはもういいや。小休止はおしましいね、みんな準備して」
有り得ない光景だ。
決して有り得てはいけない。
万が一、こんな理想が叶うなら。
魔王はなんの為に許されないのか。
「要件をお聞きするわよ」
呼ばれた和也が立ち上がり、カレー最後の一口を食べ終えた。
歩いてロリエルへと近付く。
「ロリエルさん、魔王ぶっとばしに来たぜ」
「はいはい」
誰も戦闘態勢を取る間はなく。
和也はロリエルの発した「何か」によって吹き飛ばされた。
「うっ、ぐえ! 」
受身は取れない。
上空数千メートルに突然放り出されたかのように、滅茶苦茶になって和也は地面に叩き付けられる。
しかしそれでも死なないのが帝国十二勇士であり、今の和也だ。
跳ね起きて、血の混じった唾を吐く。
「まず誤解を解くのだけれど」
「おらぁ! 」
荒野を蹴り出して加速した、全力のオーバーハンドフック。
鋼鉄すら容易に貫通する破壊力のパンチを、ロリエルは手を翳すだけで停止させる。
「ぜーったい、私には勝てないよ」
会話を隙と見た仲間達も遅れて戦闘に参加する。
月を見る者は魔力を口内で圧縮しようとした瞬間、何百倍にも増した重力によって荒野に押し付けられ。
魔法を詠唱しながら上段蹴りを放った麗らかな日和は、見えない壁に阻まれ弾き飛ばされる。
「……はぁ! 」
十二宝具が一つ、宵闇の外套。
纏う者の存在を希釈し、決して認知出来なくさせる不思議なマント。
帝国より貸与されたそれを纏い、透明人間となった愛歌は背後から聖剣を振り下ろした。
「あら? あぁ、やっぱり……アイカちゃんかしら」
ドラゴンすらいとも容易く両断した聖剣。
その透き通る様な刃はロリエルの背後数ミリの所で静止し、愛歌がどれ程力を込めてもピクリとも動かなくなっていた。
「透明マントよね? それはもう対策してるの」
ロリエルはパン、と軽く手を打ち鳴らす。
それだけで、周りの魔物も人間も皆周囲に弾き飛ばされてしまった。
「は、はは」
乾いた笑い声を漏らしたのは麗らかな日和。
魔法使いとして最高峰に位置する彼女は、この場の誰よりもロリエルの異常さを認識して引き攣った笑みを浮かべる。
「めっちゃ強い! ロリエルさん宝具持ち逃げしたんだよね、麗らかな日和、それのお陰? 」
「……宝具じゃない」
ロリエルの持つ十二宝具の名は『魔導原典目録写』
この世界のあらゆる魔法が記された禁忌の書の一部、を書き写した物である。
所有者は一目見ただけで魔法の種類、強度、用途、由来、様々な情報を完璧に把握する事が出来る目を得る事が出来る。
強力な宝具だ。
魔導の真髄を求めるロリエルに相応しい。
ただ、この宝具はどうしても所有者本人の素質によって真価を発揮出来るかが決まってしまう弱点があった。
どれだけ完璧な知識を得る事が出来ても、それを活かせなければ無用の長物に過ぎない。
「和也、今からでも方針を変えないかい? 殺さずにってのは、ヘビーだぜ」
人類最強の魔法使い。
ロリエルは、自らの素質と努力、何よりも執念によって圧倒的な力を手に入れた。
ドラゴンや悪魔王、勇者の再来を相手に詠唱すらせず1歩も動かない。
そして、目指すのは更に先。
「いんや、このままいく」
「カズヤ君、私もそれは無茶だと思うなあ」
光の玉を浮かべてロリエルは悲しそうに笑う。
ヨロヨロと立ち上がる仲間達は、戦闘こそ続行出来そうだが一様に苦しそうに顔を歪めていた。
「無茶でもやるんだよ! 」
「……そう。まだシリアスが出来ないなら教えてあげる」
ロリエルの傍で浮遊していた光の玉が移動すると、瞬いて月を見る者の真横で炸裂した。
「グオオオオオ! 」
衝撃波はそれほどでも無いはずなのに、真紅の鱗が砕けて散った。
地鳴りの様な悲鳴を挙げて、月を見る者がのたうち回る、
「君が好きな子を殺す。君の事を好きな子も殺す」
ロリエルが指を振った。
タイミングを併せて、麗らかな日和の手足の関節が滅茶苦茶に捻じ曲げられた。
押し殺した悲鳴が漏れる。
「そうしろと言われたからね。次は誰をどうして欲しい? さっきの2体は人間じゃないからまだマシだけと、人間なら後遺症程度じゃ済まないよ」
「……やりやがったな、くそばばあ」
陰鬱で静まり返った巨大な城の中。
玉座という名の牢獄に繋がれた魔王は、この空間とは対照的に明るいロリエルの声に反応して目を開けた。
「……なんだ? 」
小さなロリエルを見下ろす魔王は、彼女を見ているようで何処も見ていない。
ぼうっと、半覚醒状態で呼び掛けに答えた。
「カズヤ君が来たみたいだよ。迎撃には魔物達が向かったけど……これ、突破されたかなあ」
むむむ。
宙に浮かせた水晶玉を覗き込み、ロリエルが可愛らしく唸る。
ちなみに水晶玉にはなんの意味も無い。
愛くるしいロリエルの顔が写っているだけだ。
「頂に坐す天剣、傷だらけの黒鉄はどこでサボってる? 」
「彼らも死んじゃったね! 再会は100年後かな」
魔王が完全に復活するまでの間、身を守る為に苦労して引き込んだ2体のドラゴン。
一体くらい死ぬ事はあっても、魔王を守るという仕事は完璧に遂行すると確信していたと言うのに、この有様だ。
「なんでだ? 」
流石に、彼らの死には魔王も動揺して目を見開いた。
「どうやら聖剣を使える子が……って、アイカちゃんかぁ」
ロリエルの瞳には宝具で武装した一行が映っている。
1人も欠けること無く、大怪我をしている者もいるが全員が自分の足で立って歩きこちらに歩いて来ていた。
「…….ロリエル」
「私にやれっての? いいの? 」
意味の無い水晶玉を何も無い空間に収納したロリエルは、悲しそうな顔で魔王へと向き直る。
「死んじゃうよ? 」
「そうしてくれ」
「魔王、もはや叱る者や寄り添う者も居なくなった君に最後の確認をするね。いいんだね? きっと君を止めてくれる最後の存在だ」
「無駄口が多いな。俺達は利害関係だろう」
そうだね、でも、と続けそうになって出かけた言葉を留めた。
何を今更、善人ぶって。
宝具を取り出すと、瞑想を再開した魔王に背を向けて玉座の間を出る。
老婆心と探究心の板挟み。
別にその板挟みに苦しめられていると言う訳じゃない。
ただ、何となく哀れだった。
「ちょっと外に出てくるわね、揺れるとと思うけど怖がらないで」
扉のすぐ側で震えていた子ゴブリンを撫でてやり、ロリエルは和也を迎え討つべく荒野に赴いた。
嵐のようなマナの奔流。
ロリエル程の魔法使いでも只事では無いと覚悟を決める戦場。
そこで広がっていた光景は……
「もごもご……ん、んぐぅ! 」
「お兄様! 落ち着いて召し上がって下さい、はいお水です」
「ギィ、オカワリ、タクサン」
ゴブリンの作る野草カレーをかきこむ和也、彼に水を渡す愛歌。
「見ろ見ろ魔王この卵は白い方のドラゴンがさっそく転生したいたのを見つけて来たのだカレーに入れて味変してやるぞほら」
「ごほ! やめーい! 」
白銀の卵を割って食べようとする月を見る者、それを止めようとする周りの人達。
「さあ手当は終わりましたよ。次の方……まぁ、待っていてくださいね」
傷付いた魔物を魔法で癒すルーリエ。
未だに小休止を挟みつつも殴り合い続けるベルライトと鉄の猪。
荒野を力いっぱい駆け回るケンタウロス達、雌のケンタウロスに迫られたじろぐエルヴィン。
和也から隠れ、人型に戻べく必死になって変態を行う麗らかな日和。
「あらまぁ……」
まるで、世界が1つになったかのような。
人類と魔物が手を取り合う、そんな夢のような世界が訪れたかのような。
「ねえカズヤ君」
そんな錯覚に、眩しさを感じて目を細める。
「……ん、緑の刃さん。おかわりはもういいや。小休止はおしましいね、みんな準備して」
有り得ない光景だ。
決して有り得てはいけない。
万が一、こんな理想が叶うなら。
魔王はなんの為に許されないのか。
「要件をお聞きするわよ」
呼ばれた和也が立ち上がり、カレー最後の一口を食べ終えた。
歩いてロリエルへと近付く。
「ロリエルさん、魔王ぶっとばしに来たぜ」
「はいはい」
誰も戦闘態勢を取る間はなく。
和也はロリエルの発した「何か」によって吹き飛ばされた。
「うっ、ぐえ! 」
受身は取れない。
上空数千メートルに突然放り出されたかのように、滅茶苦茶になって和也は地面に叩き付けられる。
しかしそれでも死なないのが帝国十二勇士であり、今の和也だ。
跳ね起きて、血の混じった唾を吐く。
「まず誤解を解くのだけれど」
「おらぁ! 」
荒野を蹴り出して加速した、全力のオーバーハンドフック。
鋼鉄すら容易に貫通する破壊力のパンチを、ロリエルは手を翳すだけで停止させる。
「ぜーったい、私には勝てないよ」
会話を隙と見た仲間達も遅れて戦闘に参加する。
月を見る者は魔力を口内で圧縮しようとした瞬間、何百倍にも増した重力によって荒野に押し付けられ。
魔法を詠唱しながら上段蹴りを放った麗らかな日和は、見えない壁に阻まれ弾き飛ばされる。
「……はぁ! 」
十二宝具が一つ、宵闇の外套。
纏う者の存在を希釈し、決して認知出来なくさせる不思議なマント。
帝国より貸与されたそれを纏い、透明人間となった愛歌は背後から聖剣を振り下ろした。
「あら? あぁ、やっぱり……アイカちゃんかしら」
ドラゴンすらいとも容易く両断した聖剣。
その透き通る様な刃はロリエルの背後数ミリの所で静止し、愛歌がどれ程力を込めてもピクリとも動かなくなっていた。
「透明マントよね? それはもう対策してるの」
ロリエルはパン、と軽く手を打ち鳴らす。
それだけで、周りの魔物も人間も皆周囲に弾き飛ばされてしまった。
「は、はは」
乾いた笑い声を漏らしたのは麗らかな日和。
魔法使いとして最高峰に位置する彼女は、この場の誰よりもロリエルの異常さを認識して引き攣った笑みを浮かべる。
「めっちゃ強い! ロリエルさん宝具持ち逃げしたんだよね、麗らかな日和、それのお陰? 」
「……宝具じゃない」
ロリエルの持つ十二宝具の名は『魔導原典目録写』
この世界のあらゆる魔法が記された禁忌の書の一部、を書き写した物である。
所有者は一目見ただけで魔法の種類、強度、用途、由来、様々な情報を完璧に把握する事が出来る目を得る事が出来る。
強力な宝具だ。
魔導の真髄を求めるロリエルに相応しい。
ただ、この宝具はどうしても所有者本人の素質によって真価を発揮出来るかが決まってしまう弱点があった。
どれだけ完璧な知識を得る事が出来ても、それを活かせなければ無用の長物に過ぎない。
「和也、今からでも方針を変えないかい? 殺さずにってのは、ヘビーだぜ」
人類最強の魔法使い。
ロリエルは、自らの素質と努力、何よりも執念によって圧倒的な力を手に入れた。
ドラゴンや悪魔王、勇者の再来を相手に詠唱すらせず1歩も動かない。
そして、目指すのは更に先。
「いんや、このままいく」
「カズヤ君、私もそれは無茶だと思うなあ」
光の玉を浮かべてロリエルは悲しそうに笑う。
ヨロヨロと立ち上がる仲間達は、戦闘こそ続行出来そうだが一様に苦しそうに顔を歪めていた。
「無茶でもやるんだよ! 」
「……そう。まだシリアスが出来ないなら教えてあげる」
ロリエルの傍で浮遊していた光の玉が移動すると、瞬いて月を見る者の真横で炸裂した。
「グオオオオオ! 」
衝撃波はそれほどでも無いはずなのに、真紅の鱗が砕けて散った。
地鳴りの様な悲鳴を挙げて、月を見る者がのたうち回る、
「君が好きな子を殺す。君の事を好きな子も殺す」
ロリエルが指を振った。
タイミングを併せて、麗らかな日和の手足の関節が滅茶苦茶に捻じ曲げられた。
押し殺した悲鳴が漏れる。
「そうしろと言われたからね。次は誰をどうして欲しい? さっきの2体は人間じゃないからまだマシだけと、人間なら後遺症程度じゃ済まないよ」
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