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第二章 同性同名のの有名人ってはっきり言って迷惑だよね
王城の地下室にて
しおりを挟む「さて、今回の調査の結果を聞きましょうか」
まるで月の光から生まれてきたかのような金髪。海の底を感じさせる碧眼の女性。
知性を感じさせる凛とした声はとても聞き取りやすく心地良い。
この場を仕切るまさにリーダ的存在感を放つ彼女。
飛輪団副団長 アリス 恩寵 変装
「それに関して一つ報告することがあります。今回、調査対象である銅像とその周辺を調べていましたら、銅像の中心とした半径50mの地面がほんの少し陥没していることを確認致しましたわ。一部ではそのズレからヒビが入っている建物も確認致しました」
色気溢れる紫色の髪と同色の瞳をした綺麗な女性。男女問わず、通りすぎた者が思わず振り返って見てしまう。美貌の持ち主。可愛らしくも理性を感じさせるその声は、聴いている者を癒しながらも、シャキッとさせてくれる。
飛輪団団員 ヴァイオレット 恩寵 記憶
「私からも一件あります。銅像ですが、何者かに何かをなすりつけられ、僅かに動かされた痕跡がありました。その後、銅像の下を魔法を使い調べてみたところ、大きな空間があることを確認、その中に人らしきものの存在を感知致しました。いやはや……こんな簡単なことにすら気付かなかったとはお恥ずかしい限りです」
オールバックで綺麗に整えられた白髪の細目の男性。歴を感じさせるその佇まいと声。誰もがその意見を無視することができない妙な力を感じさせる。団員の中でも最高齢。
飛輪団団員 セバスチャン 恩寵 音波操作
「…………。」
ピンク色の髪と目をしたド派手な若い男性。その見た目とは反して人と会話するのは月に一回あるかないか。あまりの喋らさにその声を聞いたものは幸運になれるとまで言われる男。
飛輪団団員 ロック 恩寵 硬化
「銅像を中心とした半径50mで陥没する地面に、大きな空間で人型の存在……ね。今回の件で人が関わっている可能性としてどう見るかしら?」
「不確定要素が多いですが、あり得ない話ではありませんわね……ただ、このことを知っているのは一部の貴族と我々暗部のみ」
「私も同意見です」
「…………。」
『……これは厄介なことになりそうですね』
「このことをユーリ様に、それから貴族に探りを入れます。探りのメンバーは……ヴァイオレット。あなたに一任するわ」
「分かりました」
「ここにいないベビーちゃんには私から伝えておくわ。アイリス様にも私から伝えてきます。……さて、そうときまったらすぐに行動ね。ああ、その前に、ユーリ様からの差し入れの饅頭よ。みんな配るから並びなさい」
「はーい×18」
『……それにしても、私達が動きやすいように、皆の注意を惹きつけてくれたユーリ様には本当に助けられました。途中、顔を逸らしてしまったのは失態でしたが』
「……どうしました?アリス」
「…何でもないわ。さあ、どうぞ。美味しいわよこの饅頭」
――会合から一時間後 王女寝室
「ユーリ様からの贈り物ですか?」
「はぁい!」
「いったいなんでしょうか……」
「……ふふふ。そうですか。ユーリ様も意外と隅に置けないお方ですわね」
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