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領地視察編
この世界の歴史と現状
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部屋に戻った後、カケルはベッドに、サイラは椅子にそれぞれ座り、互いに向かいあっていた。
2人の表情に気の緩みは感じられず、その部屋は緊張感に包まれていた。まるでカケルのではない、見知らぬ人の部屋にいるみたいに。
「まずはサイラに謝らなきゃいけない。ごめんなさい。」
「先程の話のことでしょうか。途中からしか聞いていませんでしたが……」
「そう。僕は誰も信用していなかった。……サイラのことも。領民から話を聞きそれが父の耳に入ればその人がどうなるかは分かっていた。だから1人で話を聞くために上着を取りに行かせたんだ。けどゲイルが言ってたよね? サイラは信用できるって。サイラが父に秘密でしていたことも知れた。だからちゃんと話すことにしたよ、僕のことを。そしてどんなことを思ってこれからどうしたいのか。そのためにこの世界について詳しく教えてほしい。」
サイラは一度も僕の目から視線を逸らさず、話を聞いていた。
「理由は分かりました。カケル様の前で申し訳ないですが皆さん領主様に逆らうことはできず、恐れや憎しみを抱いています。領主様に何か言われればすぐに情報は回ってしまいます。信用できないのも頷けます。なので改めて私の方からも今までしてきたことについてお話しします。そしてこの世界のことについても。しかし……」
ここで突然言葉が切れる。サイラは一瞬下を見て、何かを決意したように顔を上げ僕を真っ直ぐ見る。
「カケル様のこととは何でしょうか? 私はカケル様のことを生まれた時からそばで見続けています。カケル様のことで私が知らないことはないと思うのですが……」
僕はこの世界にきてまだ3日目だ。もちろん転生したことは誰も知らないし、そもそも言う相手すらいなかった。必要もないとも思っていた。
だが今日この現状を知って、やるべきことが決まったのに、今の3歳児の身体ではできることが限られている。協力してくれる人が必要だ。
だから少しでも動きやすいように話さなければいけないと思った。
「僕はサイラの知っているカケルじゃないんだ。意味が分からないかもしれないが受け入れてくれ。僕の名前は同じく翔だが、年齢は17だ。このカケルが頭を打って目覚めた時に僕がこの世界にきたんだ。この身体を依り代として。その原理は僕にも分からない。今もそうだがとても3歳児が話す言葉じゃないだろう? サイラもこのことにはさっき気づいただろう? その違和感の正体はこういうことだったんだ。」
信じられないといった表情をしているサイラに僕は続ける。
「僕は日本という国に生まれ、育った。そこはとても平和で争いは全くなかった。貴族とかそういう身分制度はなくて、みんなが平等なんだ。中には理不尽なことや不自由なこともある。それでもこの領地のようにひどい所はないんだよ……」
僕は視線をサイラから外したまま続ける。
「だからちがう世界の平和なところで育った僕からするとこの世界はおかしいと思った。なぜ貴族が偉いのか、なぜ領民が不当な扱いを受けるのか、家族を売るってなんなんだって。この世界ではそれが当たり前になっているのかもしれない。けどなぜそれが当たり前なのか理解できないんだ。」
サイラの目を見て、僕の意思を、決意を込めて伝える。
「だから僕は変えたい。この領地を、この世界を。みんなが幸せになれるような世界にしていきたい。そのために、誰か分からないこの僕に協力してほしい。本来のカケルではない僕に。」
「はい、全力であなた様に協力させていただきます」
一切の間を空けることなく答えたサイラの目に、表情に迷いは一切なかった。
「ありがとう……。今まで通りカケルと呼んでほしい」
「わかりました! カケル様!」
今まで包み込んでいた緊張感はなくなり、いつも通りの部屋の様子になった。
「これから具体的に計画を立てるために、まずはこの世界について教えてほしい」
「わかりました。それではお話しします。この世界の始まりからーーーー」
言い伝えによると、このサーライズワールドという世界は女神ミスタエリスによって作られ、そこに人族、獣人族、ドワーフ族、エルフ族、魔族の5つの種族を産み落としたとされている。女神はそれぞれの種族に1つだけ能力を与え、皆で協力することを願った。人間には知恵を、獣人族には武力を、ドワーフ族には技術を、エルフ族には魔法を、魔族には進化を。
5つの種族は互いに協力し生活をしていった。その後増えた5つの種族の人々がまとめるために1つの国を作り上げた。グレイスニル王国である。その一代目は王を決めることなく代表5名がそれぞれに変わらず協力し合い国を発展させていった。
しかし次第に欲の強くなった人族は知恵を最大限に活かして他の種族を従えようとした。それにより種族間の繋がりは薄れていき、魔族が国を出ていった。
残った種族はまとまり連合軍として人族と戦争を起こしたが、結果は人族の勝利であった。人族はずば抜けた知略によって先手を打ち続け、連合軍はなす術なく降伏した。
これにより人族は連合軍である獣人族、ドワーフ族、エルフ族を奴隷とし一切の自由を取り上げた。
奴隷となった種族はひたすら遠くに逃げひっそりと暮らすようになった。しかし捕まったものは奴隷として物のような扱いを受けることになった。
それと王はこの戦争で活躍したものに貴族という身分を与えた。それに伴い人族の中にも身分差ができることとなった。上から王、貴族、平民、奴隷の4つである。これにより人族の生活も次第に変わっていった。
魔族は自分たちで国を作り生活していたが、それをよく思わなかった人族は幾度となく戦争をふっかけた。しかし、勝敗はいつになっても決まることはなく引き分けで終わっていた。
そしてこうしたことが全て今も受け継がれている。止まることのない人族の欲望によって。絶えることなく。
現在この世界のどこかにそれぞれの種族の国があるらしいのだがその詳細はよくわかっていない。
また人族が支配するこのグレイスニル王国ではどの領地もこのゴレイ領と同じく貴族が圧政をし平民を苦しめている。
「と、このようなところでいかがでしょうか?」
「ありがとう、十分だ。また気になることがあれば聞く」
ゲイルの話で今の現状を聞いた時からすでにヤバイと思ったが、これは想像の遥か上をいっている。
きっと人族の中で俺の味方になってくれる貴族はゼロに等しいだろう。すでに人族のトップが敵なんだから僕の味方につこうなんて奴はいない。となれば自ずと選択肢は限られてくるな……
「最後に私が秘密裏に行動していたことになりますが、それはゲイルが言ったとおりです。集められた税をこっそり返しにいき、領主様がいない時には食材を配りに行っていました。私にはカケル様のお世話をする重要な仕事がありましたので、これが最大限できることでした」
「…………」
サイラは一体どれだけの重荷を1人で背負ってきたのだろう。今まで孤独だっただろう。誰も疑問に思わないこの現状の中で。
「サイラ、もう1人で抱え込むことはないよ。これからは僕が一緒だ。今まで領民を支えてくれてありがとう」
深く頭を下げる。感謝してもしきれない。
「僕はこれからのことについてまずは1人で考えたい。サイラも少し考えてみてほしい。明日の夜にまた話し合おう」
「わかりました! それでは失礼します」
サイラが部屋を出ていった後、机に向かい紙に計画についてまとめていく。
おそらくこの世界の身分制度に関してはどうすることもできないだろう。それだけ根深く、もう一度戦争を起こして勝たない限り無理だ。連合軍として立ち向かっても人族には敵わなかったんだ。しっかりとした準備を整えてからじゃないと意味がない。この準備に何年かかるかわからない。
まずはこの領地をどうにかしないといけない。一番邪魔なのは両親だ。操ることはできないだろう。貴族の権利を振りかざし、欲に溺れ、贅沢というその味を覚えたあの豚はもう変わることはできない。僕が一人前になるまでは陰で領民の生活を支えていくしかない。それについてはいい案があるから大丈夫だろう。
何の気なしに部屋の窓から外を眺めていると、屋敷の門に向かう人影があった。しかし暗くてそれが誰なのかは見えなかった。
目線を机の上の紙に戻して、また考えに耽っているといつの間にか朝になっていた。
「結局寝ずに朝を迎えてしまったな。今日は夜にあるサイラとの話し合いの前にあの豚の相手をしないとな」
部屋を出て洗面所に向かって歩いていく。
しかしこの時の僕はまだ知らなかった。この後計画を全て練り直さなければいけなくなることを。
2人の表情に気の緩みは感じられず、その部屋は緊張感に包まれていた。まるでカケルのではない、見知らぬ人の部屋にいるみたいに。
「まずはサイラに謝らなきゃいけない。ごめんなさい。」
「先程の話のことでしょうか。途中からしか聞いていませんでしたが……」
「そう。僕は誰も信用していなかった。……サイラのことも。領民から話を聞きそれが父の耳に入ればその人がどうなるかは分かっていた。だから1人で話を聞くために上着を取りに行かせたんだ。けどゲイルが言ってたよね? サイラは信用できるって。サイラが父に秘密でしていたことも知れた。だからちゃんと話すことにしたよ、僕のことを。そしてどんなことを思ってこれからどうしたいのか。そのためにこの世界について詳しく教えてほしい。」
サイラは一度も僕の目から視線を逸らさず、話を聞いていた。
「理由は分かりました。カケル様の前で申し訳ないですが皆さん領主様に逆らうことはできず、恐れや憎しみを抱いています。領主様に何か言われればすぐに情報は回ってしまいます。信用できないのも頷けます。なので改めて私の方からも今までしてきたことについてお話しします。そしてこの世界のことについても。しかし……」
ここで突然言葉が切れる。サイラは一瞬下を見て、何かを決意したように顔を上げ僕を真っ直ぐ見る。
「カケル様のこととは何でしょうか? 私はカケル様のことを生まれた時からそばで見続けています。カケル様のことで私が知らないことはないと思うのですが……」
僕はこの世界にきてまだ3日目だ。もちろん転生したことは誰も知らないし、そもそも言う相手すらいなかった。必要もないとも思っていた。
だが今日この現状を知って、やるべきことが決まったのに、今の3歳児の身体ではできることが限られている。協力してくれる人が必要だ。
だから少しでも動きやすいように話さなければいけないと思った。
「僕はサイラの知っているカケルじゃないんだ。意味が分からないかもしれないが受け入れてくれ。僕の名前は同じく翔だが、年齢は17だ。このカケルが頭を打って目覚めた時に僕がこの世界にきたんだ。この身体を依り代として。その原理は僕にも分からない。今もそうだがとても3歳児が話す言葉じゃないだろう? サイラもこのことにはさっき気づいただろう? その違和感の正体はこういうことだったんだ。」
信じられないといった表情をしているサイラに僕は続ける。
「僕は日本という国に生まれ、育った。そこはとても平和で争いは全くなかった。貴族とかそういう身分制度はなくて、みんなが平等なんだ。中には理不尽なことや不自由なこともある。それでもこの領地のようにひどい所はないんだよ……」
僕は視線をサイラから外したまま続ける。
「だからちがう世界の平和なところで育った僕からするとこの世界はおかしいと思った。なぜ貴族が偉いのか、なぜ領民が不当な扱いを受けるのか、家族を売るってなんなんだって。この世界ではそれが当たり前になっているのかもしれない。けどなぜそれが当たり前なのか理解できないんだ。」
サイラの目を見て、僕の意思を、決意を込めて伝える。
「だから僕は変えたい。この領地を、この世界を。みんなが幸せになれるような世界にしていきたい。そのために、誰か分からないこの僕に協力してほしい。本来のカケルではない僕に。」
「はい、全力であなた様に協力させていただきます」
一切の間を空けることなく答えたサイラの目に、表情に迷いは一切なかった。
「ありがとう……。今まで通りカケルと呼んでほしい」
「わかりました! カケル様!」
今まで包み込んでいた緊張感はなくなり、いつも通りの部屋の様子になった。
「これから具体的に計画を立てるために、まずはこの世界について教えてほしい」
「わかりました。それではお話しします。この世界の始まりからーーーー」
言い伝えによると、このサーライズワールドという世界は女神ミスタエリスによって作られ、そこに人族、獣人族、ドワーフ族、エルフ族、魔族の5つの種族を産み落としたとされている。女神はそれぞれの種族に1つだけ能力を与え、皆で協力することを願った。人間には知恵を、獣人族には武力を、ドワーフ族には技術を、エルフ族には魔法を、魔族には進化を。
5つの種族は互いに協力し生活をしていった。その後増えた5つの種族の人々がまとめるために1つの国を作り上げた。グレイスニル王国である。その一代目は王を決めることなく代表5名がそれぞれに変わらず協力し合い国を発展させていった。
しかし次第に欲の強くなった人族は知恵を最大限に活かして他の種族を従えようとした。それにより種族間の繋がりは薄れていき、魔族が国を出ていった。
残った種族はまとまり連合軍として人族と戦争を起こしたが、結果は人族の勝利であった。人族はずば抜けた知略によって先手を打ち続け、連合軍はなす術なく降伏した。
これにより人族は連合軍である獣人族、ドワーフ族、エルフ族を奴隷とし一切の自由を取り上げた。
奴隷となった種族はひたすら遠くに逃げひっそりと暮らすようになった。しかし捕まったものは奴隷として物のような扱いを受けることになった。
それと王はこの戦争で活躍したものに貴族という身分を与えた。それに伴い人族の中にも身分差ができることとなった。上から王、貴族、平民、奴隷の4つである。これにより人族の生活も次第に変わっていった。
魔族は自分たちで国を作り生活していたが、それをよく思わなかった人族は幾度となく戦争をふっかけた。しかし、勝敗はいつになっても決まることはなく引き分けで終わっていた。
そしてこうしたことが全て今も受け継がれている。止まることのない人族の欲望によって。絶えることなく。
現在この世界のどこかにそれぞれの種族の国があるらしいのだがその詳細はよくわかっていない。
また人族が支配するこのグレイスニル王国ではどの領地もこのゴレイ領と同じく貴族が圧政をし平民を苦しめている。
「と、このようなところでいかがでしょうか?」
「ありがとう、十分だ。また気になることがあれば聞く」
ゲイルの話で今の現状を聞いた時からすでにヤバイと思ったが、これは想像の遥か上をいっている。
きっと人族の中で俺の味方になってくれる貴族はゼロに等しいだろう。すでに人族のトップが敵なんだから僕の味方につこうなんて奴はいない。となれば自ずと選択肢は限られてくるな……
「最後に私が秘密裏に行動していたことになりますが、それはゲイルが言ったとおりです。集められた税をこっそり返しにいき、領主様がいない時には食材を配りに行っていました。私にはカケル様のお世話をする重要な仕事がありましたので、これが最大限できることでした」
「…………」
サイラは一体どれだけの重荷を1人で背負ってきたのだろう。今まで孤独だっただろう。誰も疑問に思わないこの現状の中で。
「サイラ、もう1人で抱え込むことはないよ。これからは僕が一緒だ。今まで領民を支えてくれてありがとう」
深く頭を下げる。感謝してもしきれない。
「僕はこれからのことについてまずは1人で考えたい。サイラも少し考えてみてほしい。明日の夜にまた話し合おう」
「わかりました! それでは失礼します」
サイラが部屋を出ていった後、机に向かい紙に計画についてまとめていく。
おそらくこの世界の身分制度に関してはどうすることもできないだろう。それだけ根深く、もう一度戦争を起こして勝たない限り無理だ。連合軍として立ち向かっても人族には敵わなかったんだ。しっかりとした準備を整えてからじゃないと意味がない。この準備に何年かかるかわからない。
まずはこの領地をどうにかしないといけない。一番邪魔なのは両親だ。操ることはできないだろう。貴族の権利を振りかざし、欲に溺れ、贅沢というその味を覚えたあの豚はもう変わることはできない。僕が一人前になるまでは陰で領民の生活を支えていくしかない。それについてはいい案があるから大丈夫だろう。
何の気なしに部屋の窓から外を眺めていると、屋敷の門に向かう人影があった。しかし暗くてそれが誰なのかは見えなかった。
目線を机の上の紙に戻して、また考えに耽っているといつの間にか朝になっていた。
「結局寝ずに朝を迎えてしまったな。今日は夜にあるサイラとの話し合いの前にあの豚の相手をしないとな」
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