81 / 138
第二部
81.
しおりを挟むそのグラフにはサーバー名と人数が表示されていた。
US―――3238人
RU―――2478人
JP―――4576人
EU―――3843人
CN―――1894人
KR―――2973人
表示されたグラフを見て一つのウィンドウが呟く。
「JPは予測の段階で数十名の犠牲しかでないのか?我が悪しき母国は2千人を切っているというのに――」
バットマンはJPのグラフを指して、「コレは予測でしかありません」と言う。
「しかし、JPサーバーにはプロが少ないのにもかかわらず、一部頭出したプレイヤーが存在し、彼らに一般のプレイヤーが勝つことはまず無理でしょう」
そう言いきるバットマン。その言葉をきっかけに、次々と会話が進む。
「やはり、フルダイブの環境がいいだけにJPのプレイヤーの潜在ポテンシャルの高さはゲーム大国CNに勝るか……」
「JPではHMCの機能が優れていて、仮想空間に干渉する政府機関もあり、しかもプロのエージェントが存在すると聞く」
「わたし知ってます、それを仮想課と言う行政機関がそれですた」
「……変な訳になっているぞ、それに少し違う、私が知る行政機関の名は仮想現実管理課対策室二課と言うらしい」
「略称で対策二課と呼ばれているとか」
「そしてこれは噂なのだが、どうも、この機関にはUSも関わっているらしい、US内ではVRの問題を裁判では裁けない事実がある。これは他の国でもほぼ同じだと思う」
「CNでは仮想現実での問題は個人の判断で処理するのが暗黙的通例であり、RUにいたっては政府機関がVRには反対的、KRも同様だからな」
「国がいちいち取り合える規模の問題ではなくなっているからな、仮想の体がレイプされたところでそれを罪とすることはできないからな――」
「他の国はそうであるが、JPではそういった問題を一つ一つ取り締まり刑罰に処することもあると聞く、法整備が早く、取り締まるための対策環境も確立している」
「ともかく、JPの対策二課という機関にはUSが自国にもその機関を確立するための試験的なハッキング装置を提供、いや、合同で開発したらしい――」
「バットマン、実際にJPサーバーで干渉されることはあったのか?」
バットマンは右手を上げて指を折る。
「4件ほど、それらしき干渉がプレイヤー元へあったことは確認しています」
「こちらには影響はないのかね」
「……〝現在は〟とだけ申し上げるしかありません、実際にJPサーバー内で4名のプレイヤーの元へ干渉があり、その際にこちらへと干渉しようとしたため無理やりに切断しました」
「いづれはゲームマスターにその干渉が及ぶこともあると?」
「いいえ、それほど高度なハッキングではないことから、おそらく何らかのシステムによるものであると推測しております」
「つまり……どういうことだね?」
「〝干渉は外部から〟ですが〝発生は内部から〟と分かっています、おそらくは、その対策二課という政府機関のエージェントがJPサーバー内にいるのだと思われます」
「……ほーそれはそれは面白い――」
「どのプレイヤーか分かっているのか?」
バットマンは一つのウィンドウを拡大する。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
38
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる