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幕間
遠く離れて(レメーニ視点)
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あの日、公園でアーシャと別れたあと、レメーニはモスクワを離れた。
ハンガリー、ブダペスト──生まれ育った街。
寒さの質も、空気の重さも、モスクワとは違う。
でも、彼の中で何かが変わっていた。
「届く音を持って、また会いに行く」
それが、自分の中に残った唯一の約束だった。
音楽院に戻り、日々の練習に打ち込んだ。
指導者からは「表現が変わった」と言われた。
でも彼にとっては、それは当然の変化だった。
単にうまくなりたいのではない。
音を通して“誰か”に何かを届けたい。
その“誰か”が誰なのか、彼は知っていた。
アーシャ。
いつか、彼女の耳に届く音を。
最初の2年間はひたすら基礎の見直しと表現力の強化。
演奏会にもあまり出ず、小さなコンクールで悔しい敗退を繰り返した。
それでも、くじけることはなかった。
むしろ、舞台に立つたびに「まだ足りない」と思えたことが、彼を進ませた。
17歳。
初めて国際予選に推薦され、演奏で評価を受けた。
そのとき、思った。
──あと2年あれば、届くかもしれない。
チャイコフスキー国際コンクール。
出場資格は16歳以上。
19歳のその年、彼は再びロシアへ渡る決意をした。
目的はただひとつ。
あの人に、音が届いたと言ってもらえるように。
そして──約束の場所に、戻ってきた。
⸻
ハンガリー、ブダペスト──生まれ育った街。
寒さの質も、空気の重さも、モスクワとは違う。
でも、彼の中で何かが変わっていた。
「届く音を持って、また会いに行く」
それが、自分の中に残った唯一の約束だった。
音楽院に戻り、日々の練習に打ち込んだ。
指導者からは「表現が変わった」と言われた。
でも彼にとっては、それは当然の変化だった。
単にうまくなりたいのではない。
音を通して“誰か”に何かを届けたい。
その“誰か”が誰なのか、彼は知っていた。
アーシャ。
いつか、彼女の耳に届く音を。
最初の2年間はひたすら基礎の見直しと表現力の強化。
演奏会にもあまり出ず、小さなコンクールで悔しい敗退を繰り返した。
それでも、くじけることはなかった。
むしろ、舞台に立つたびに「まだ足りない」と思えたことが、彼を進ませた。
17歳。
初めて国際予選に推薦され、演奏で評価を受けた。
そのとき、思った。
──あと2年あれば、届くかもしれない。
チャイコフスキー国際コンクール。
出場資格は16歳以上。
19歳のその年、彼は再びロシアへ渡る決意をした。
目的はただひとつ。
あの人に、音が届いたと言ってもらえるように。
そして──約束の場所に、戻ってきた。
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