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追放と加入
第2話 ギルドマスターに報告しました
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東の勇者パーティに追い出された私は、宿屋を出て街の中を歩く。
先程まで流していた涙は、いつの間にか止まっていた。
「よっ!嬢ちゃん!どうした?辛気臭い顔して!うちの肉でも食って元気出せよ!」
ボーッとしながらも、ギルドに向けて歩いていた私は露店のおじさんに声かけられた。
冒険者ギルドのある区画には、宿屋、装備店や露天商があり活気に満ちている。
宿屋からギルドまでは、そう遠くなく10分ほど歩けば着く距離だ。
その為、間にある露天商のおじさんとは顔馴染みで良くおまけをしてくれる親切で優しい人だった。
「ありがとう、おじさん」
ふわりと笑えば、おじさんもニカッと返してくれる。
焼き鳥を1つ貰い、頬張りながら歩く。
これから先の事を考えないといけない。
パーティを抜けた今、討伐タイプの高難易度クエストは厳しい……採取系タイプを地道にこなしながら資金を貯めるしかない。
(そう言えば、前にパーティに誘ってくれた人達が居たな……)
そんな事を考えながら歩けば、直ぐにギルドに辿り着いた。
カランカラン
ギルドの扉を開けば、賑やかで活気に満ちた空間が広がっていた。
受付まで行き、職員に声かけると後ろから大きな声が聞こえた。
「お!錬金術師の嬢ちゃんじゃないか!久しぶりだな!」
「おや?本当ですね。もうクエストから戻ってきたのですか?相変わらず早いですね」
「よう、嬢ちゃん!前に貰ったポーション助かったぜ!また頼むわ!」
冒険者の方々に一遍に話しかけられ、どう対応していいか分からずオロオロしてしまう。
「あ……あの、その……えっ……と」
「こらー!イレーネちゃんが、困ってるですよ!いっぺんに話さないのです!」
頭の上の丸い耳をピコピコと動かしながら、私のために叱ってくれるこの人は、ギルドの受付嬢でネズミの獣人フヨウさんだ。
この国はティルセリア王国で、人間だけじゃなく様々な獣人や竜人が多く住んでいる。
その殆どが、他の国から逃げてき者達だ。
獣人や竜人は、基本争いごとを好まない。
その為、他国では奴隷だったり、見世物だったりと酷い扱いを受けていた。
だが、この国の王は彼らを蔑まず受け入れた。だから、この国では獣人は当たり前に存在する。
「あ、あの、フヨウさん、私は大丈夫です。ちょっと、びっくりしただけ」
「そういや今日は、あのいけ好かない連中は一緒じゃないのか?」
キョロキョロと、私の周りに目を配り、一人で来た事を確認する冒険者達。
「あ、そうなんです。その事でギルドマスターさんに話があるんです。フヨウさん、ギルドマスターさんは、居ますか?」
「ギルドマスターですか?居ますよぉ。嫌いな書類と睨めっこしてますです」
ギルドマスターに話があると言えば、フヨウさんが奥に続く階段に案内してくれる。
後に残された冒険者達は、何があったのかと気になり顔を見合せ……こっそりと後を付いて行った。
コンコン
「誰だ」
不機嫌そうな声で、来訪者を威圧する。
「マスター、お客様ですよぉ、入りますねぇ」
相手の返事も聞かず、ガチャっと扉を開けるフヨウさん。
部屋の中には、書類から顔を上げたギルドマスターが居て、凄んでいた。
「ひっ!」
堪らず短い悲鳴をあげてしまい、慌てて口に両手を当てた。
声が聞こえたのかは分からないが、視線を私に向けた。
「マスター、イレーネちゃんが泣いちゃうですよ。その威圧を抑えて下さいです」
いや、泣きはしないけど……マスターさんの顔が……怖い事になってます。
オークも裸足で逃げそうです。
「悪かったな、イレーネ」
「いえ、大丈夫です」
「ん、まずは入れ」
マスターさんから、入出の許可を貰い中に入って扉を閉めた。
緊張してた私は気付かなかったけど、扉の外には先程下で話した冒険者達が張り付くように聞き耳を立てていた。
「それで、どうした?イレーネ」
ギルドマスターさんは、名をヴォルフ。
焦げ茶の髪にオールバックで、左目に眼帯をした精悍な顔立ちの男性だ。
現役だった頃は、ドラゴンをも倒すSSランクの冒険者として有名だった人だ。
今も尚、力は衰えていないらしい。
私は先程起こった出来事をギルドマスターに話していく。
次第にフヨウさんは、青い顔をしてガタガタ震えだし、マスターさんは、厳つい顔が更に厳つくなった。
威圧感も垂れ流し状態だ。
そして、扉の外ではガタンという音がした。
「それで……?」
「奴らは、どうするって?」
凄みが増したマスターさんが、勇者達のことを聞いてきた。
「ザハルさん達は、暫く休養をとるそうです」
部屋の中に、重い沈黙が降りる。
私は、務めて明るく次の予定を伝えた。
先程まで流していた涙は、いつの間にか止まっていた。
「よっ!嬢ちゃん!どうした?辛気臭い顔して!うちの肉でも食って元気出せよ!」
ボーッとしながらも、ギルドに向けて歩いていた私は露店のおじさんに声かけられた。
冒険者ギルドのある区画には、宿屋、装備店や露天商があり活気に満ちている。
宿屋からギルドまでは、そう遠くなく10分ほど歩けば着く距離だ。
その為、間にある露天商のおじさんとは顔馴染みで良くおまけをしてくれる親切で優しい人だった。
「ありがとう、おじさん」
ふわりと笑えば、おじさんもニカッと返してくれる。
焼き鳥を1つ貰い、頬張りながら歩く。
これから先の事を考えないといけない。
パーティを抜けた今、討伐タイプの高難易度クエストは厳しい……採取系タイプを地道にこなしながら資金を貯めるしかない。
(そう言えば、前にパーティに誘ってくれた人達が居たな……)
そんな事を考えながら歩けば、直ぐにギルドに辿り着いた。
カランカラン
ギルドの扉を開けば、賑やかで活気に満ちた空間が広がっていた。
受付まで行き、職員に声かけると後ろから大きな声が聞こえた。
「お!錬金術師の嬢ちゃんじゃないか!久しぶりだな!」
「おや?本当ですね。もうクエストから戻ってきたのですか?相変わらず早いですね」
「よう、嬢ちゃん!前に貰ったポーション助かったぜ!また頼むわ!」
冒険者の方々に一遍に話しかけられ、どう対応していいか分からずオロオロしてしまう。
「あ……あの、その……えっ……と」
「こらー!イレーネちゃんが、困ってるですよ!いっぺんに話さないのです!」
頭の上の丸い耳をピコピコと動かしながら、私のために叱ってくれるこの人は、ギルドの受付嬢でネズミの獣人フヨウさんだ。
この国はティルセリア王国で、人間だけじゃなく様々な獣人や竜人が多く住んでいる。
その殆どが、他の国から逃げてき者達だ。
獣人や竜人は、基本争いごとを好まない。
その為、他国では奴隷だったり、見世物だったりと酷い扱いを受けていた。
だが、この国の王は彼らを蔑まず受け入れた。だから、この国では獣人は当たり前に存在する。
「あ、あの、フヨウさん、私は大丈夫です。ちょっと、びっくりしただけ」
「そういや今日は、あのいけ好かない連中は一緒じゃないのか?」
キョロキョロと、私の周りに目を配り、一人で来た事を確認する冒険者達。
「あ、そうなんです。その事でギルドマスターさんに話があるんです。フヨウさん、ギルドマスターさんは、居ますか?」
「ギルドマスターですか?居ますよぉ。嫌いな書類と睨めっこしてますです」
ギルドマスターに話があると言えば、フヨウさんが奥に続く階段に案内してくれる。
後に残された冒険者達は、何があったのかと気になり顔を見合せ……こっそりと後を付いて行った。
コンコン
「誰だ」
不機嫌そうな声で、来訪者を威圧する。
「マスター、お客様ですよぉ、入りますねぇ」
相手の返事も聞かず、ガチャっと扉を開けるフヨウさん。
部屋の中には、書類から顔を上げたギルドマスターが居て、凄んでいた。
「ひっ!」
堪らず短い悲鳴をあげてしまい、慌てて口に両手を当てた。
声が聞こえたのかは分からないが、視線を私に向けた。
「マスター、イレーネちゃんが泣いちゃうですよ。その威圧を抑えて下さいです」
いや、泣きはしないけど……マスターさんの顔が……怖い事になってます。
オークも裸足で逃げそうです。
「悪かったな、イレーネ」
「いえ、大丈夫です」
「ん、まずは入れ」
マスターさんから、入出の許可を貰い中に入って扉を閉めた。
緊張してた私は気付かなかったけど、扉の外には先程下で話した冒険者達が張り付くように聞き耳を立てていた。
「それで、どうした?イレーネ」
ギルドマスターさんは、名をヴォルフ。
焦げ茶の髪にオールバックで、左目に眼帯をした精悍な顔立ちの男性だ。
現役だった頃は、ドラゴンをも倒すSSランクの冒険者として有名だった人だ。
今も尚、力は衰えていないらしい。
私は先程起こった出来事をギルドマスターに話していく。
次第にフヨウさんは、青い顔をしてガタガタ震えだし、マスターさんは、厳つい顔が更に厳つくなった。
威圧感も垂れ流し状態だ。
そして、扉の外ではガタンという音がした。
「それで……?」
「奴らは、どうするって?」
凄みが増したマスターさんが、勇者達のことを聞いてきた。
「ザハルさん達は、暫く休養をとるそうです」
部屋の中に、重い沈黙が降りる。
私は、務めて明るく次の予定を伝えた。
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