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追放と加入
第4話 王都を出る前に一悶着です
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「取り敢えず……明日には王都を出て、北に向かおうと思います。あまり長居して、ザハルさん達と鉢合わせたくないので」
東の勇者と顔を合わしたくない、と言えば、ヴォルフさんが、頷き同意してくれた。
「そうだな、それがいい。脱退の手続きはフヨウがやっといてくれるだろうから。お前は、この上の部屋を使え」
「良いんですか?」
この上……ギルドの1階は、受付やクエストボード等がある冒険者達のフロア。
ギルドの2階は、主にギルドマスターの執務室や資料室、冒険者が問題を起こした時の為の簡易牢(結界付き)や反省室があり、3階は、ギルド職員の為の寮がある。
「構わん。あまり、使われてねぇからな」
「ありがとうございます、1晩お世話になります」
立ち上がり、頭を下げた。
「気にするな」
ヴォルフさんも立ち上がり、私の頭に手を置いてポンポンと撫でた。
「気落ちするなよ、お前が受けた屈辱は、俺達が返しておいてやる」
「俺……たち?」
「居るんだろ!出て来い!」
ヴォルフさんが大声で怒鳴ると、ドアの前に居たと思われる人達が扉を開けて入って来た。戦士のヴァルツ、魔道士のミネア、司祭のフレイル……先程下で声をかけてくれた人達だ。
「おーよ!任せろ」
「アイツらには、苦汁を飲まされたお返しをしたいしね」
ミネアさんが、方目を瞑ってウィンクを飛ばしてくる。
「でも、彼らは、東の勇者で……」
「ああ、分かってます。ですから、最初はチクチクと嫌味を言う程度に留めておきますよ」
……と、いい笑顔で言ったのは、司祭のフレイルさんだ。
フレイルさんには、怪我の治療で、教会に行った際によくお世話になった方だ。
だけど、ザハルさん達は、感謝するどころか治療スピードが遅い!と文句を言っていた。
「イレーネが居ないのならば、思いっきり出来るな!あっはっは」
「そうね、イレーネちゃんには沢山お世話になったけど、ホントいけ好かない連中だったわ」
「イレーネ殿が、あの連中とメンバーだと聞いた時は驚きましたけどね」
ヴォルフさんの執務室では、冒険者達がワイワイと、東の勇者や私の話で盛り上がっていた。そのやり取りを見て、ため息をつくと私に向き直り退室の言葉を掛けた。
「イレーネ、もう行っていいぞ」
「は、はい。失礼しました」
「王都を出る前に、1度寄ってくれよ」
「分かりました」
いまだ、ワイワイと話す冒険者達を置いて、3階に向かった。
(相変わらず、ヴォルフさんは良い人だ)
撫でられた頭に手を置き、嬉しさが込上げる。フヨウさんも、冒険者の皆さんも、感謝です。
3階に上がると、職員さんがいて鍵を渡された。1番手前の部屋に案内して貰って、鍵を回して入ると、日当たりのいい部屋だった。
シンプルだが、とても落ち着く空間だった。
ベッドに腰を下ろし、フォルスさん事を考える。
半年ほど前、なぜ私をパーティに誘って下さったんでしょうか?私の事を、誰かに聞いたとも言ってました。優秀な錬金術師だと。
私は、そうは思ってませんでした。
今でも、思えません。
私が作ったポーションを、皆さんが喜んで下さってるは、ありがたいことです。
ですが、北の勇者様は最強と言われたパーティです。
勇者を始め、皆さんレベルが高いです。
ザハルさんを遥かに上回る高さです。
北の大地のモンスターを相手にしているのです、強いのは当たり前ですが……
※※※
土地によって、モンスターの強さは、若干変わります。
北の大地は、荒野や雪原地帯です。ドラゴンやベヒモスと言った大型モンスターだけじゃなく、砂嵐や吹雪が良く起こる土地でもあります。モンスターのレベルも100以上の高い危険な土地なので、村や町以外の場所は熟練者以外の立ち入りを、禁止となってる事もあります。
西の大地は、飛行タイプのモンスターが多いです。モンスターのレベルは、100以下ですが、奇襲される可能性の多い土地です。
南の大地は、砂漠や火山地帯です。土系や炎系のモンスターが多く、比較的モンスターのレベルも弱いです。弱点攻撃がしやすく倒しやすい傾向にあるので、初心者の冒険者のレベル上げにもってこいの土地です。
東の大地は、湿原や海や孤島が多い土地です。湿原地帯では、霧も多く、モンスターの場所を特定するのは難しく奇襲を受けることが多い土地です。モンスターのレベルも100前後と割と高い土地です。
※※※
そんな方々が、私を誘った理由が分かりません。私は戦闘では、ほぼ役立たずです。
攻撃系アイテムを沢山所持していれば、少しは戦えるかも知れませんが、基本は支援タイプです。
前衛や、後衛では無く、支援です。
戦闘が始まってしまえば、お荷物でしかありません。
悔しいですが、キリクさんの言った通りなんです。
(はぁ、気にしても仕方がありませんね!時間がありませんし、旅の支度をしませんと。暫くは一人旅です!)
それからは、1人で街に出かけて薬草や、食料を買い込んでいった。両手に沢山の荷物を抱えて、ギルドへと急ぐ。
(カバンを忘れてくるなんて!馬鹿だわ、わたし!)
帰ってからは調合して、回復ポーション、攻撃系アイテム、戦闘離脱アイテム、転移陣、と言った冒険に役立つアイテムを作っていく。錬金術Lvが高いお陰で、難しいアイテムも時間をかけずに作れた。
(うん!会心の出来!さて、ご飯!食べに行こ~今日のご飯何かな~)
ぎゅるるるるぅ、とお腹が鳴った。
早く食堂に行こうと、階段を下りていたら、下の方から騒がしい音が聞こえてきた。
ガタタッガッシャーン!
『 良いから出せよ!居るんだろ?!』
(ビクッ)
「……っっつ!」
この声!まさか……!
東の勇者と顔を合わしたくない、と言えば、ヴォルフさんが、頷き同意してくれた。
「そうだな、それがいい。脱退の手続きはフヨウがやっといてくれるだろうから。お前は、この上の部屋を使え」
「良いんですか?」
この上……ギルドの1階は、受付やクエストボード等がある冒険者達のフロア。
ギルドの2階は、主にギルドマスターの執務室や資料室、冒険者が問題を起こした時の為の簡易牢(結界付き)や反省室があり、3階は、ギルド職員の為の寮がある。
「構わん。あまり、使われてねぇからな」
「ありがとうございます、1晩お世話になります」
立ち上がり、頭を下げた。
「気にするな」
ヴォルフさんも立ち上がり、私の頭に手を置いてポンポンと撫でた。
「気落ちするなよ、お前が受けた屈辱は、俺達が返しておいてやる」
「俺……たち?」
「居るんだろ!出て来い!」
ヴォルフさんが大声で怒鳴ると、ドアの前に居たと思われる人達が扉を開けて入って来た。戦士のヴァルツ、魔道士のミネア、司祭のフレイル……先程下で声をかけてくれた人達だ。
「おーよ!任せろ」
「アイツらには、苦汁を飲まされたお返しをしたいしね」
ミネアさんが、方目を瞑ってウィンクを飛ばしてくる。
「でも、彼らは、東の勇者で……」
「ああ、分かってます。ですから、最初はチクチクと嫌味を言う程度に留めておきますよ」
……と、いい笑顔で言ったのは、司祭のフレイルさんだ。
フレイルさんには、怪我の治療で、教会に行った際によくお世話になった方だ。
だけど、ザハルさん達は、感謝するどころか治療スピードが遅い!と文句を言っていた。
「イレーネが居ないのならば、思いっきり出来るな!あっはっは」
「そうね、イレーネちゃんには沢山お世話になったけど、ホントいけ好かない連中だったわ」
「イレーネ殿が、あの連中とメンバーだと聞いた時は驚きましたけどね」
ヴォルフさんの執務室では、冒険者達がワイワイと、東の勇者や私の話で盛り上がっていた。そのやり取りを見て、ため息をつくと私に向き直り退室の言葉を掛けた。
「イレーネ、もう行っていいぞ」
「は、はい。失礼しました」
「王都を出る前に、1度寄ってくれよ」
「分かりました」
いまだ、ワイワイと話す冒険者達を置いて、3階に向かった。
(相変わらず、ヴォルフさんは良い人だ)
撫でられた頭に手を置き、嬉しさが込上げる。フヨウさんも、冒険者の皆さんも、感謝です。
3階に上がると、職員さんがいて鍵を渡された。1番手前の部屋に案内して貰って、鍵を回して入ると、日当たりのいい部屋だった。
シンプルだが、とても落ち着く空間だった。
ベッドに腰を下ろし、フォルスさん事を考える。
半年ほど前、なぜ私をパーティに誘って下さったんでしょうか?私の事を、誰かに聞いたとも言ってました。優秀な錬金術師だと。
私は、そうは思ってませんでした。
今でも、思えません。
私が作ったポーションを、皆さんが喜んで下さってるは、ありがたいことです。
ですが、北の勇者様は最強と言われたパーティです。
勇者を始め、皆さんレベルが高いです。
ザハルさんを遥かに上回る高さです。
北の大地のモンスターを相手にしているのです、強いのは当たり前ですが……
※※※
土地によって、モンスターの強さは、若干変わります。
北の大地は、荒野や雪原地帯です。ドラゴンやベヒモスと言った大型モンスターだけじゃなく、砂嵐や吹雪が良く起こる土地でもあります。モンスターのレベルも100以上の高い危険な土地なので、村や町以外の場所は熟練者以外の立ち入りを、禁止となってる事もあります。
西の大地は、飛行タイプのモンスターが多いです。モンスターのレベルは、100以下ですが、奇襲される可能性の多い土地です。
南の大地は、砂漠や火山地帯です。土系や炎系のモンスターが多く、比較的モンスターのレベルも弱いです。弱点攻撃がしやすく倒しやすい傾向にあるので、初心者の冒険者のレベル上げにもってこいの土地です。
東の大地は、湿原や海や孤島が多い土地です。湿原地帯では、霧も多く、モンスターの場所を特定するのは難しく奇襲を受けることが多い土地です。モンスターのレベルも100前後と割と高い土地です。
※※※
そんな方々が、私を誘った理由が分かりません。私は戦闘では、ほぼ役立たずです。
攻撃系アイテムを沢山所持していれば、少しは戦えるかも知れませんが、基本は支援タイプです。
前衛や、後衛では無く、支援です。
戦闘が始まってしまえば、お荷物でしかありません。
悔しいですが、キリクさんの言った通りなんです。
(はぁ、気にしても仕方がありませんね!時間がありませんし、旅の支度をしませんと。暫くは一人旅です!)
それからは、1人で街に出かけて薬草や、食料を買い込んでいった。両手に沢山の荷物を抱えて、ギルドへと急ぐ。
(カバンを忘れてくるなんて!馬鹿だわ、わたし!)
帰ってからは調合して、回復ポーション、攻撃系アイテム、戦闘離脱アイテム、転移陣、と言った冒険に役立つアイテムを作っていく。錬金術Lvが高いお陰で、難しいアイテムも時間をかけずに作れた。
(うん!会心の出来!さて、ご飯!食べに行こ~今日のご飯何かな~)
ぎゅるるるるぅ、とお腹が鳴った。
早く食堂に行こうと、階段を下りていたら、下の方から騒がしい音が聞こえてきた。
ガタタッガッシャーン!
『 良いから出せよ!居るんだろ?!』
(ビクッ)
「……っっつ!」
この声!まさか……!
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