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追放と加入
第10話 北の勇者(フォルス視点)
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アロイス雪原を、仲間と共に進んで行く。
俺はフォルス、ティルセリア国の勇者の1人だ。北の大地を守護している。
仲間は3人いて、聖騎士のラハル、剣闘士のザック、魔剣士のシグレだ。
スノースノーの街を拠点に、主にモンスター討伐の依頼をこなしている。
今回定期連絡のため、王都ルセリアにあるギルド本部に向かっていた。
季節は秋だが、アロイス雪原は常に雪がチラつき吹雪が起きる。フィールドモンスターLvも70以上と強力のため、人の出入りは少ない。
「フォルス、あと数日後には、王都ですね」
「ああ」
「あの嬢ちゃんに、会えるな」
「ああ」
「会えたら奇跡」
「……そうだな」
1年前、彼女に回復ポーションや攻撃系アイテムを譲ってもらった事がある。
北の大地で、喰種が大量発生した……俺達勇者パーティとSランク冒険者が多く導入されたが、グールは減ることなく増え続けていた。
それは、グールが発生する場所に問題があった、瘴気が溜まっていたんだ。
先ずは、瘴気を浄化しないと増加スピードは落ちないと、教会より聖女が派遣された。
聖女をポイントまで連れて行くため、俺達と数人の冒険者が護衛としてついて行くことになった。
……が、不安は拭えない、護衛しながら戦うのは神経を使うし、不測の事態も想定しなければいけない。
本部のギルドマスターに相談すれば、イレーネと言う錬金術師を紹介された。
とても効果のあるポーションや、アイテムを作れるそうで、もしかしたら、予備を持ち合わせてるかも……と。
東の勇者のメンバーで、現在王都に駐留していると。
出会える可能性は、低いが探してみる価値はあると。
そして、俺とラハル、ザックとシグレでペアになって、主にギルド周辺と、東の勇者が拠点にしている宿屋付近を探した。
出発の刻限は刻一刻と過ぎていき、今日を探しても見つからなければ諦めようと思っていた矢先……目の前に、マスターから聞いた容姿の少女を見つけた。
ラハルと顔を見合わせ、頷き声を掛けたら…
「君が、錬金術師のイレーネか?」
「は…………はい!」
帰ってきた返事は、声が裏返り緊張した面持ちだった。何処と無く脅えた様子だ。
「すまない、驚かせたようだな」
「い、いえ…私に何か御用ですか?」
「私は、北を担当する勇者フォルス、よろしく」
「は、はい!よろしくお願いします」
手を差し出すと、肩を震わせて驚いたイレーネが、バッと手を差し出してきた。
俺の後ろから、クスクスと笑い声が漏れる。
彼女が、所在なさげに俯く。
「ラハル」
咎めるように名を呼べば、後ろから姿を現し、彼女に謝罪しながら手を差し出す。
「笑ってしまい申し訳ありません、イレーネ殿。私は聖騎士ラハルと申します。以後お見知り置きを」
イレーネが、慌てた様子で手を差し出し握手を交わす。俺に向き直り、問いかけてくる。
「それで、私に何か御用でしょうか?」
「イレーネ殿は、優秀な錬金術師と聞いた。間違いないか?」
マスターに聞いた通りに聞くと、彼女は首を降った。
(え?!違うのか……)
顔に出てたのか、ラハルに横からつつかれた、直ぐに表情を取り繕う。イレーネには、バレなかったようだ。
「優秀では無いと思います……けど、錬金術師のイレーネなら、私ですが……」
良かった、間違ってなかったようだ。
「実は、頼みがあるんだ」
「頼み……ですか?」
「そうだ、ポーションを売ってくれないか?それと、攻撃系アイテムを数個」
かなり、無神経な頼みだとは理解していた。
初対面に、頼むことではないと。
だが切実な問題のため、なりふり構ってる余裕はない。
マスターの言うことなら正しいのだろう。
彼女のアイテムは、効果が期待できると。
(なら)
俺は懐から、金の入った袋を取りだした。
彼女に渡すためのお金だ。
ジャラジャラと音をさせて、イレーネの手にに乗せる。
「こ、こんなに要りませんよ!」
だが、イレーネは、こんなに必要ないと拒否を示し俺の手に返そうとしてきた。
「いや、体力回復ポーション、魔力回復ポーション、それに、攻撃系アイテムを売ってもらうんだ。これぐらい普通だ」
そう言って、彼女の手に再び乗せて、俺が手を引っ込めると驚いた顔をされた。
横に視線を流すと、ラハルもこちらを見てて「なんだろ?」と目で聞くと、「分からない」と首を振られた。
そうこうしてると、イレーネがカバンを漁りだし、アイテムを出していた。
次々と出しては、俺たちの手に乗せていく。
回復ポーション、魔力回復ポーション、状態異常回復ポーション……
「えっと、回復ポーション25粒、魔力回復ポーションが30粒、ついでに状態異常回復ポーション27粒もお渡ししますね!」
まてまてまてまて!
粒錠のポーションは、彼女が作ってたのか!?
……って、まて、まてよ?
2年前の勇者王決定戦で、東の勇者と戦った時に居た?
また、ラハルに視線を移す。
流石のラハルも驚いているようだった。
この子が、あのイレーネか!!?
驚いている隙に、更にアイテムを乗せていくイレーネ。
「攻撃系アイテムですが、今あるのは……氷龍の息吹が2つと、輝く流星が3つ、舞う火炎が5つ、反射の結界が5つです。どうぞ!」
俺達は、唖然としていた。
何も言葉が発せないでいると、イレーネ嬢が慌てたように、申し訳なさそうに話し出した。
「足りませんか?……申し訳ないのですが、材料がなくて、今の手持ちは、これしか無いんです。すみません」
勘違いさせてしまった。
俺達はただ、あの日の少女がイレーネ嬢だった事に驚いていただけ。目の前の彼女が、王女だという事に……
そうか、そりゃ効果が高いよな。
俺達と互角に戦った彼女のアイテムならば、信用出来る。
流石に貰いすぎだから断ろうとしたが、沢山の金貨を貰ったから遠慮しないでと言われてしまった。
感謝しかない。
俺はフォルス、ティルセリア国の勇者の1人だ。北の大地を守護している。
仲間は3人いて、聖騎士のラハル、剣闘士のザック、魔剣士のシグレだ。
スノースノーの街を拠点に、主にモンスター討伐の依頼をこなしている。
今回定期連絡のため、王都ルセリアにあるギルド本部に向かっていた。
季節は秋だが、アロイス雪原は常に雪がチラつき吹雪が起きる。フィールドモンスターLvも70以上と強力のため、人の出入りは少ない。
「フォルス、あと数日後には、王都ですね」
「ああ」
「あの嬢ちゃんに、会えるな」
「ああ」
「会えたら奇跡」
「……そうだな」
1年前、彼女に回復ポーションや攻撃系アイテムを譲ってもらった事がある。
北の大地で、喰種が大量発生した……俺達勇者パーティとSランク冒険者が多く導入されたが、グールは減ることなく増え続けていた。
それは、グールが発生する場所に問題があった、瘴気が溜まっていたんだ。
先ずは、瘴気を浄化しないと増加スピードは落ちないと、教会より聖女が派遣された。
聖女をポイントまで連れて行くため、俺達と数人の冒険者が護衛としてついて行くことになった。
……が、不安は拭えない、護衛しながら戦うのは神経を使うし、不測の事態も想定しなければいけない。
本部のギルドマスターに相談すれば、イレーネと言う錬金術師を紹介された。
とても効果のあるポーションや、アイテムを作れるそうで、もしかしたら、予備を持ち合わせてるかも……と。
東の勇者のメンバーで、現在王都に駐留していると。
出会える可能性は、低いが探してみる価値はあると。
そして、俺とラハル、ザックとシグレでペアになって、主にギルド周辺と、東の勇者が拠点にしている宿屋付近を探した。
出発の刻限は刻一刻と過ぎていき、今日を探しても見つからなければ諦めようと思っていた矢先……目の前に、マスターから聞いた容姿の少女を見つけた。
ラハルと顔を見合わせ、頷き声を掛けたら…
「君が、錬金術師のイレーネか?」
「は…………はい!」
帰ってきた返事は、声が裏返り緊張した面持ちだった。何処と無く脅えた様子だ。
「すまない、驚かせたようだな」
「い、いえ…私に何か御用ですか?」
「私は、北を担当する勇者フォルス、よろしく」
「は、はい!よろしくお願いします」
手を差し出すと、肩を震わせて驚いたイレーネが、バッと手を差し出してきた。
俺の後ろから、クスクスと笑い声が漏れる。
彼女が、所在なさげに俯く。
「ラハル」
咎めるように名を呼べば、後ろから姿を現し、彼女に謝罪しながら手を差し出す。
「笑ってしまい申し訳ありません、イレーネ殿。私は聖騎士ラハルと申します。以後お見知り置きを」
イレーネが、慌てた様子で手を差し出し握手を交わす。俺に向き直り、問いかけてくる。
「それで、私に何か御用でしょうか?」
「イレーネ殿は、優秀な錬金術師と聞いた。間違いないか?」
マスターに聞いた通りに聞くと、彼女は首を降った。
(え?!違うのか……)
顔に出てたのか、ラハルに横からつつかれた、直ぐに表情を取り繕う。イレーネには、バレなかったようだ。
「優秀では無いと思います……けど、錬金術師のイレーネなら、私ですが……」
良かった、間違ってなかったようだ。
「実は、頼みがあるんだ」
「頼み……ですか?」
「そうだ、ポーションを売ってくれないか?それと、攻撃系アイテムを数個」
かなり、無神経な頼みだとは理解していた。
初対面に、頼むことではないと。
だが切実な問題のため、なりふり構ってる余裕はない。
マスターの言うことなら正しいのだろう。
彼女のアイテムは、効果が期待できると。
(なら)
俺は懐から、金の入った袋を取りだした。
彼女に渡すためのお金だ。
ジャラジャラと音をさせて、イレーネの手にに乗せる。
「こ、こんなに要りませんよ!」
だが、イレーネは、こんなに必要ないと拒否を示し俺の手に返そうとしてきた。
「いや、体力回復ポーション、魔力回復ポーション、それに、攻撃系アイテムを売ってもらうんだ。これぐらい普通だ」
そう言って、彼女の手に再び乗せて、俺が手を引っ込めると驚いた顔をされた。
横に視線を流すと、ラハルもこちらを見てて「なんだろ?」と目で聞くと、「分からない」と首を振られた。
そうこうしてると、イレーネがカバンを漁りだし、アイテムを出していた。
次々と出しては、俺たちの手に乗せていく。
回復ポーション、魔力回復ポーション、状態異常回復ポーション……
「えっと、回復ポーション25粒、魔力回復ポーションが30粒、ついでに状態異常回復ポーション27粒もお渡ししますね!」
まてまてまてまて!
粒錠のポーションは、彼女が作ってたのか!?
……って、まて、まてよ?
2年前の勇者王決定戦で、東の勇者と戦った時に居た?
また、ラハルに視線を移す。
流石のラハルも驚いているようだった。
この子が、あのイレーネか!!?
驚いている隙に、更にアイテムを乗せていくイレーネ。
「攻撃系アイテムですが、今あるのは……氷龍の息吹が2つと、輝く流星が3つ、舞う火炎が5つ、反射の結界が5つです。どうぞ!」
俺達は、唖然としていた。
何も言葉が発せないでいると、イレーネ嬢が慌てたように、申し訳なさそうに話し出した。
「足りませんか?……申し訳ないのですが、材料がなくて、今の手持ちは、これしか無いんです。すみません」
勘違いさせてしまった。
俺達はただ、あの日の少女がイレーネ嬢だった事に驚いていただけ。目の前の彼女が、王女だという事に……
そうか、そりゃ効果が高いよな。
俺達と互角に戦った彼女のアイテムならば、信用出来る。
流石に貰いすぎだから断ろうとしたが、沢山の金貨を貰ったから遠慮しないでと言われてしまった。
感謝しかない。
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