『 使えない』と勇者のパーティを追い出された錬金術師は、本当はパーティ内最強だった

紫宛

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勇者王決定戦

第27話 第1回戦 第1試合

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ヴァルツさんが大剣を構え、ミネアさんは後方で身の丈以上はある杖を構えていた。
フレイルさんも後方で、弓を手に……弓!?

フレイルさんは、司祭様じゃなかったの?!
短めの杖が腰にささってる……。

経験を積めば、1人でも多種多様の攻撃が出来るとは言ったけど……武器まで使いこなすのは至難の業じゃ…。

「あそこのチームはさ、ミネアもフレイルもある程度武器を使いこなせるんだぞ?」
「Sランクは伊達ではありません」
「それに、この戦い……恐らく一瞬で終わるぞ」
「……え?」
「ミネアの大魔法でな。ヴァルツとフレイルはミネアを守る為の布石だろうな」



開始の鐘が鳴った瞬間、フレイルさんの弓から無数の矢が放たれた。

「早いです!」
「先制攻撃の域を超えてるよね~」

「深淵の闇よりいずるは……」
「ミネアの詠唱を止めて!」

相手チームのリーダーが仲間に向かって叫ぶが、剣士はヴァルツさんが、天馬騎士はフレイルさんが止めている。
リーダーは司祭。残りの2人は魔道士と狩人。
2人が魔法や技でミネアを攻撃するも、結界が張ってあるのか届かなかった。

その間にミネアは詠唱を続け、到頭とうとう最後の呪文を唱えた。

「冥界の王、黒き手を伸ばし導くは破滅への入口、我が望むは彼の者達の消滅……アビス・エタンドル!」

その瞬間、空が周りが闇に包まれた。


「きゃあああ!」
「いゃぁ」
「止めっ!来ないでぇー」

視界が晴れた時、目の前にはダメージもなく立ち続ける白銀の狼と、リーダーを残し倒れ伏す華麗なる花々がいた。
女の子は口から泡を吐き、「来ないで」と呟きながら気を失っていた。

消滅魔法……
モンスターに使えば、魔法Lvより低いLvのモンスターなら一瞬で消滅させる魔法。
人に使えば、地面に大穴が空き、闇から無数の手が現れ、引きずり込み、精神的ダメージを与える上級魔法。


「相手が悪かったな」
華麗なる花々スプレンデイッド・フラワーズの冒険者ランクってA+でSランクに上がるんじゃないか?って言われてるチームですよね?」
「白銀は、Sランクでも上位だ。近々S+になるんじゃないか?と噂されてる」
「地方戦を勝ち抜き本戦に出たら、+に上がるんじゃない?」
「Sランクなのは知ってましたけど、そこまでとは……」

ヴァルツさん達が私達を見つけて手を振ってくれた。そして、そのまま闘技場を出て行った。

「ホントに一瞬でしたね」
「さぁ、依頼に行くぞ」

私たちは闘技場を後にした。

この後、第2試合で小さき者の反乱ホビット・リベリオンランクAと闇夜の黒鷲ダークナイト・イーグルランクA+の戦いは熾烈を極めた。

お互いに譲らず繰り広げられた戦いは、俊敏性を活かしきった小さき者の反乱ホビット・リベリオンが勝利を掴んだ。

1回戦
 第1試合  第2試合
 ◎ ┃   ◎ ┃
  ┳━━┳  ┳━━┳
 白   華 小   闇
 銀   麗 さ   夜 
 の   な き   の 
 狼   る 者   黒
     花 の   鷲
     々 反
       乱

私達が依頼から戻ったら、黒いローブで見えなかった黒鷲の子たちが項垂れた様子で座り込んでいた。

ランクは依頼達成で上がるもの。
なので、ランクだけで強さは判断出来ないのだ。A+でも、負ける時は負ける。
もちろん、ランクが上がる時は試験があるから一概には言えないですけど。


黒鷲の子たちは、褐色の肌で黒い翼を持つ鳥人族だったみたい。
翼は出し入れ可能らしいけど、褐色の肌は隠せないからローブを深く被ってたんですって。この国には差別する人なんか居ないから、隠さなくてもいいのにね。

ホビット族の子が話しかけ、一緒に食事をとるようだった。


明日は第3試合と第4試合がある。


私達は、サムアさんの要請で明日の対戦を観戦する事になった。


勇者王決定戦本戦まで、あと45日
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