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本編
第4話
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案内された部屋でセラフィは、とても恐縮していた。
「……あ、あのっ!」
「どうなさいましたか?セラフィ様」
私に優しい微笑みを向けてくれるのは、アンナさんと名乗った少しふくよかな年配のおば様だった。
私のお世話を担当する侍女だそうです。
「ここ、わたし、使っていいのですか?」
「セラフィ様、私に敬語は必要ありませんよ」
「私達にも必要ありませんので、普通に接して下さい。それから敬称もいりません、呼び捨てでお呼び下さい」
アンナさんが言うと、フェリクス様も続けて言った。
「で、でもっ、伯爵様が、ダメだって……」
「あなた様は、精霊妃候補様です。王族の次に、偉い御方なのです。当然、どの貴族よりも位は上なのですよ」
それは、伯爵より上と言ってるも当然の言葉だった。だが、セラフィには理解出来なかった。7歳で引き取られたが、教育は一切されてこなかったからだ。
「……」
「……セラフィ様……」
「アンナ殿、セラフィ様も疲れてるでしょうから、本日は早めに休ませては?」
「そう、ですね。セラフィ様、お食事の用意をして参りますから、お待ち下さいね」
「……はい」
呆れられちゃったかな……私が、あまりにもダメだから…。
アンナさんが部屋を出て行って、ここには私とジーク様とフェリクス様が残った。
「……」
「……」
ジーク様とフェリクス様は、扉の前に立っていて私の傍には寄ってこなかった。不審な人が、部屋に入ってこない様にするためだって言ってました。
……私なんかを襲う人がいるとは思えません。だから、護衛なんて必要ないと思うんだけど…。それより……私なんかより、力のある優れた人の護衛についた方が絶対にいいと思うんだけど…
「あの、フェリクス様…」
「フェリクスです。セラフィ様」
フェリクス様と呼んだら、なおされた。
「フェ、リクス?」
「はい、何でしょうか」
「フェ、リクスとジー、クは、私なんかより、優れた、力のある人の、護衛になった方が良いと思う……よ」
「「!!」」
私が、卵を抱き締めながら2人を見上げて言い切ると、2人は目を限界まで広げて驚いていた。
(ん?どうしたのかな…?)
「お嬢様…俺とフェリクスは、セラフィ様の専属護衛です。セラフィ様以外を守護する事はありえません」
「え…でも……」
「また、誰が力のある御方かは分かりません。セラフィ様が選ばれる事も、無いわけではありません」
「……でも」
「この話は、ここまでです。アンナ殿が来たようです」
その言葉通り直ぐに部屋をノックする音が聞こえてきて、「失礼します」という言葉と共に、アンナさんがワゴンを引きながら部屋に入ってきた。ワゴンの上には、沢山の料理が乗せられていた。
「これ……」
「さ、セラフィ様、席にお着き下さい」
テーブルの上に並べられたのは、湯気のたつ具沢山のスープ、柔らかく温かいパン、いい匂いのする茶色い塊だった。
「……食べて良いの?」
「?どうぞ、セラフィ様のお食事です」
アンナさんは首を捻ったけれど、こんなに豪華なご飯、本当に私が食べていいのか分からなかったの。
(だから、確認したかったの…勝手に食べて怒られるのは嫌だから…)
フォークに手を伸ばして最初に手を付けたのは、いい匂いのする茶色の塊だった。
この、茶色い塊はお肉だそうです。
柔らかくて口の中で溶けるように無くなりました!パンもスープも、温かくて美味しかったですっ!
「こんなに美味しいご飯……初めて」
セラフィは、無意識に言葉を呟いていた。
小さくか細い声は、しっかりと騎士達の耳に届いていた。
『おい、流石におかしくないか?貴族の令嬢なら、これ以上の美味いもん食ってるだろ…普通』
『えぇ、団長に報告した方が良いかも知れません』
ジークとフェリクスは、声を落として会話をしていた。セラフィは、食べる事に夢中になっていたので、2人の会話には気付かなかった。
「……あ、あのっ!」
「どうなさいましたか?セラフィ様」
私に優しい微笑みを向けてくれるのは、アンナさんと名乗った少しふくよかな年配のおば様だった。
私のお世話を担当する侍女だそうです。
「ここ、わたし、使っていいのですか?」
「セラフィ様、私に敬語は必要ありませんよ」
「私達にも必要ありませんので、普通に接して下さい。それから敬称もいりません、呼び捨てでお呼び下さい」
アンナさんが言うと、フェリクス様も続けて言った。
「で、でもっ、伯爵様が、ダメだって……」
「あなた様は、精霊妃候補様です。王族の次に、偉い御方なのです。当然、どの貴族よりも位は上なのですよ」
それは、伯爵より上と言ってるも当然の言葉だった。だが、セラフィには理解出来なかった。7歳で引き取られたが、教育は一切されてこなかったからだ。
「……」
「……セラフィ様……」
「アンナ殿、セラフィ様も疲れてるでしょうから、本日は早めに休ませては?」
「そう、ですね。セラフィ様、お食事の用意をして参りますから、お待ち下さいね」
「……はい」
呆れられちゃったかな……私が、あまりにもダメだから…。
アンナさんが部屋を出て行って、ここには私とジーク様とフェリクス様が残った。
「……」
「……」
ジーク様とフェリクス様は、扉の前に立っていて私の傍には寄ってこなかった。不審な人が、部屋に入ってこない様にするためだって言ってました。
……私なんかを襲う人がいるとは思えません。だから、護衛なんて必要ないと思うんだけど…。それより……私なんかより、力のある優れた人の護衛についた方が絶対にいいと思うんだけど…
「あの、フェリクス様…」
「フェリクスです。セラフィ様」
フェリクス様と呼んだら、なおされた。
「フェ、リクス?」
「はい、何でしょうか」
「フェ、リクスとジー、クは、私なんかより、優れた、力のある人の、護衛になった方が良いと思う……よ」
「「!!」」
私が、卵を抱き締めながら2人を見上げて言い切ると、2人は目を限界まで広げて驚いていた。
(ん?どうしたのかな…?)
「お嬢様…俺とフェリクスは、セラフィ様の専属護衛です。セラフィ様以外を守護する事はありえません」
「え…でも……」
「また、誰が力のある御方かは分かりません。セラフィ様が選ばれる事も、無いわけではありません」
「……でも」
「この話は、ここまでです。アンナ殿が来たようです」
その言葉通り直ぐに部屋をノックする音が聞こえてきて、「失礼します」という言葉と共に、アンナさんがワゴンを引きながら部屋に入ってきた。ワゴンの上には、沢山の料理が乗せられていた。
「これ……」
「さ、セラフィ様、席にお着き下さい」
テーブルの上に並べられたのは、湯気のたつ具沢山のスープ、柔らかく温かいパン、いい匂いのする茶色い塊だった。
「……食べて良いの?」
「?どうぞ、セラフィ様のお食事です」
アンナさんは首を捻ったけれど、こんなに豪華なご飯、本当に私が食べていいのか分からなかったの。
(だから、確認したかったの…勝手に食べて怒られるのは嫌だから…)
フォークに手を伸ばして最初に手を付けたのは、いい匂いのする茶色の塊だった。
この、茶色い塊はお肉だそうです。
柔らかくて口の中で溶けるように無くなりました!パンもスープも、温かくて美味しかったですっ!
「こんなに美味しいご飯……初めて」
セラフィは、無意識に言葉を呟いていた。
小さくか細い声は、しっかりと騎士達の耳に届いていた。
『おい、流石におかしくないか?貴族の令嬢なら、これ以上の美味いもん食ってるだろ…普通』
『えぇ、団長に報告した方が良いかも知れません』
ジークとフェリクスは、声を落として会話をしていた。セラフィは、食べる事に夢中になっていたので、2人の会話には気付かなかった。
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