ポーションが作れない錬金術師は、アトリエを追い出され家族を探す旅に出る

紫宛

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本編

第4話 透明ローブ

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シャマイムから出て、すぐの森に身を潜めた。
街から出れば、追いかけては来ないだろうから……でも、それでも早く離れた方がいいのだろうけど…少年……そう言えば名前知らないな。

「今更だけど…、あなたの名前は?」
「マルバ」

マルバくん。
ここに置いていけばきっと、今までよりもっと、酷い扱いをされる。私を庇ったせいで……

それならいっそ、一緒に行った方が……

「マルバくん。私ね、シャマイムを出なきゃ行けないの……それでね、隣国のハイディオス帝国に行こうと思う」

ハイディオス帝国は、異種族も過ごしやすい国だって、師匠に聞いたことがある。行くまでは簡単な道のりじゃないけど、ここに居ても地獄なら……少しでも生きやすい可能性のある方に掛けてみるのもいいと思うの。

調合……と言っても、私はポーションは作れないけど…でも、私が作る服やアクセサリーは、ちょっと特別だから。きっと切り抜けられる。

「……ボク……」

悲しげな目で、私を見つめるマルバくん。きっと、捨てられるって思われてるのかも……

「マルバくんが、残りたいなr……」
「ボクッ……ウガウガウーガ、ウガガ(一緒に行く!お願い)」

私の言葉が最後まで続くことなく、マルバくんが前のめりで「一緒に連れて行って」と懇願した。共通語ではなく魔人語で……

「ウガ、ウーガガ(ぼく、戦える)」
「ダメですよ。戦わなくても大丈夫なように、手を打ちますから」

魔物に、見つかりにくくなる服か飾りを作ればいい。子供を戦わせるなんて、絶対にダメ。


カイムは、自分もまだ12歳の、大人に守られる幼い子供だという事に気付いていなかった……アトリエに居た他の錬金術師達は、彼女を子供として接す事はなかったし…カイムの師匠であるアモルは、彼女が自分の事は自分で出来るように……敢えて手は出さず、自らで考え行動出来るよう見守った。

それ故に、彼女は自分もまだ子供だと言うことに一切気付かず……ただ、自分より小さい異種族の少年を、守ってあげたいと思っていた。

「ウガァ……(でも……)」
「大丈夫です、大丈夫ですよ。私を信じて下さい」

魔物から見えなくする服……確か前に作った事あります。本にレシピを書きました…

カイムは、空間倉庫インベントリを開き本を取りだした。空間倉庫インベントリは、アモルが教えた魔法。素材採取で多くの素材を持ち帰れるように、野宿する事になっても困らないように、錬金釜を持ち運べるように教えた魔法だった。魔力の量で広さは変わるが、沢山の物をしまえる便利な魔法。

「あ、あった……必要素材は……」

クリアストーンと、四葉のクローバー、綺麗な水……

「これなら全部、持ってたはず」

カイムは、地面に木の棒で錬成陣を描き、空間倉庫インベントリから釜を取り出したら錬成陣の上に置いた。更に空間倉庫インベントリから素材と魔力水の入った瓶も一緒に取りだした。

「直ぐ作るから待っててね。2人分だから、少し時間かかるけど…まだ街の近くだから魔物は出ないはずだよ、安心してね」
「ウン」

マルバは素直に頷いたが、カイムの傍を離れなかった。カイムの服の裾を握りしめ、一緒に釜の中を覗き込む。

カイムは、そんなマルバを邪険にせず、自身の胸より下にあるマルバの頭を人撫でし錬金に集中した。

紫色から、青色へ……青色から、透き通った透明な青へ変わる頃…カイムは、錬金釜に魔力を注入し眩い光が放たれた。

「出来たよ!」

そう言ったカイムの手には、本当にあるのか分からない透明なローブがあった……
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