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妹が離婚を決意した理由
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「何よ!あの男!お父様は、あんな男にリリィを嫁がせたわけ?!」
「あれは、確かにないな。そう言えば……リリィから、何か渡されたんじゃなかったか?」
「そうだったわ!」
数枚の手紙……
これを読んだルリィが、泣き叫び、大激怒した……それはもう、手に負えないほどに…。
「お姉様……、この手紙を無事に渡す事が出来てホッとしております。
どうか、これから記すことを信じて下さいませ。証拠も抑えてりますから……
私は、見てしまったのです。
旦那様が……、母親であるナシア様と寝ている所を…!!
しかも……っ
お互いに裸で、挿入された状態でしたわ。
なぜ、私がこんな場面を見てしまったかと言うと……
その日の前日、お父様の呼び出しで実家に帰ってましたの。本当ならば、次の日の昼に帰る予定でしたが、父に追い出される形で、午前中に、ウェルダン侯爵家に帰ってきたのです。
帰って来たら使用人の態度が変でしたの。
あぁ、浮気か……と思って、寝室に向かいましたのよ。政略とは言え、堂々と浮気はどうかと思いますって!旦那様に問おうと思って……でも、まさか……相手が、お義母様だなんて!
近付いて、布団を剥ぎ取ったら、お義母様の上に旦那様が居て……入ってましたの。
すぐに起こして、どういう事ですか!?って問いただしたら……『お前が無表情過ぎて、気持ち悪いんだよ!』と言われましたの…。
お義母様も『貴方に女としての魅力が皆無なのだから、仕方ないの。抱く気にならないのですって?』と……
それでも、私は旦那様に好かれようと努力しましたわ。胸や容姿は変えられそうにありませんから、その他の事で……力になれるように。
でも、旦那様は……そんな私を嘲笑うかのように毎晩、お義母様を抱くようになりました。
…ある時は、私の目の前で……抱くのです……
バレたからか、もう、隠す事は無くなりました。そして、お義母様を抱けない日は、私を殴るようになりましたの……
もう、我慢が出来なくて……父に相談に行きましたが、父は私の言う事を何一つ、信じて下さいませんでした。
それどころか、旦那様と離婚したら、お前とは縁を切ると言われました。
もう、どうしたらいいのか、分かりませんの……
お姉様、リリィ最後の我儘です。
どうか、助けて頂けませんか?
お姉様を愛する、ジェスト様には申し訳ありませんが……国際問題になりかねないのも、承知しておりますが……
私に出来る事は何でも致します。
メイドでも、騎士でも、何でも致しますから!
どうか……」
途中から、涙と血で文字が霞んで消えかかっていたが、文字はそこで、完全に消えていた。
「リリィ……っ!!」
ルリィの瞳からは、涙が止めどなく流れ、ジェストに抱き締められるも止まることはなかった。
「私が、隣国でジェストと幸せな毎日を過ごしている間……あの子は!……こんな苦労をしてたなんてっ!!」
自分が許せない!
そう言って語気を荒らげ、旦那であるジェストの胸を叩く。
「しかも!お父様は、リリィの味方になるどころか、帰る場所を奪うなんて!もう!あんな男は父親じゃないわ!縁なんて、切ってやればいい!私も切るわ!
だいたい、両親が娘を間違う事ってある?!私とリリィを何度間違えたら気がすむのよ!リリィが笑わなくなったのだって、アイツらのせいなのに!
うう……ぅう、ごめん、ごめんね……リリィ」
沢山泣いて、沢山怒って、沢山八つ当たりをして、ようやくルリィは落ち着いた。
「……落ち着いたか?」
「ごめん……」
ルリィの頭を優しく撫でて、ジェストは額にキスを贈る。
「リリィも……連れて帰るか?」
「え?」
ジェストの言った事が一瞬理解出来なくて、顔を上げる。ジェストの顔は優しく、リリィにも優しさを分けてくれる。
「良い……の?あんなに、嫌ってたのに…」
「別に、嫌ってない……ただ、お前がリリィの事ばかり話すから……っ」
「じぇすとぉ……っ!!」
ルリィの頭を優しくポンポンと撫でて、「ん?」と聞いてくれる。
「……連れて帰る!」
「よしっ!じゃあ、作戦を練らないとな」
「で、も……ジェスト……国際問題になるかしら?やっぱり……」
ルリィは、妹の事になると我を忘れる傾向にあるが、それでも一国の王妃という立場を忘れた訳じゃない。
リリィを助けたいが、国際問題になるならば、手を出さない方がいいのは確か。
でも、それでも、と悩むルリィにジェストは、
「1度だけとは言え、リリィを助けると約束したからな、手は貸すさ。大事な嫁の妹だからな、嫉妬して酷い事を言った償いもあるし」
ルリィは小声で「ごめんなさい、ありがとう」と言った。ジェストは微笑んでルリィの頭を撫でて、そして2人は綿密に計画を練っていった。
「あれは、確かにないな。そう言えば……リリィから、何か渡されたんじゃなかったか?」
「そうだったわ!」
数枚の手紙……
これを読んだルリィが、泣き叫び、大激怒した……それはもう、手に負えないほどに…。
「お姉様……、この手紙を無事に渡す事が出来てホッとしております。
どうか、これから記すことを信じて下さいませ。証拠も抑えてりますから……
私は、見てしまったのです。
旦那様が……、母親であるナシア様と寝ている所を…!!
しかも……っ
お互いに裸で、挿入された状態でしたわ。
なぜ、私がこんな場面を見てしまったかと言うと……
その日の前日、お父様の呼び出しで実家に帰ってましたの。本当ならば、次の日の昼に帰る予定でしたが、父に追い出される形で、午前中に、ウェルダン侯爵家に帰ってきたのです。
帰って来たら使用人の態度が変でしたの。
あぁ、浮気か……と思って、寝室に向かいましたのよ。政略とは言え、堂々と浮気はどうかと思いますって!旦那様に問おうと思って……でも、まさか……相手が、お義母様だなんて!
近付いて、布団を剥ぎ取ったら、お義母様の上に旦那様が居て……入ってましたの。
すぐに起こして、どういう事ですか!?って問いただしたら……『お前が無表情過ぎて、気持ち悪いんだよ!』と言われましたの…。
お義母様も『貴方に女としての魅力が皆無なのだから、仕方ないの。抱く気にならないのですって?』と……
それでも、私は旦那様に好かれようと努力しましたわ。胸や容姿は変えられそうにありませんから、その他の事で……力になれるように。
でも、旦那様は……そんな私を嘲笑うかのように毎晩、お義母様を抱くようになりました。
…ある時は、私の目の前で……抱くのです……
バレたからか、もう、隠す事は無くなりました。そして、お義母様を抱けない日は、私を殴るようになりましたの……
もう、我慢が出来なくて……父に相談に行きましたが、父は私の言う事を何一つ、信じて下さいませんでした。
それどころか、旦那様と離婚したら、お前とは縁を切ると言われました。
もう、どうしたらいいのか、分かりませんの……
お姉様、リリィ最後の我儘です。
どうか、助けて頂けませんか?
お姉様を愛する、ジェスト様には申し訳ありませんが……国際問題になりかねないのも、承知しておりますが……
私に出来る事は何でも致します。
メイドでも、騎士でも、何でも致しますから!
どうか……」
途中から、涙と血で文字が霞んで消えかかっていたが、文字はそこで、完全に消えていた。
「リリィ……っ!!」
ルリィの瞳からは、涙が止めどなく流れ、ジェストに抱き締められるも止まることはなかった。
「私が、隣国でジェストと幸せな毎日を過ごしている間……あの子は!……こんな苦労をしてたなんてっ!!」
自分が許せない!
そう言って語気を荒らげ、旦那であるジェストの胸を叩く。
「しかも!お父様は、リリィの味方になるどころか、帰る場所を奪うなんて!もう!あんな男は父親じゃないわ!縁なんて、切ってやればいい!私も切るわ!
だいたい、両親が娘を間違う事ってある?!私とリリィを何度間違えたら気がすむのよ!リリィが笑わなくなったのだって、アイツらのせいなのに!
うう……ぅう、ごめん、ごめんね……リリィ」
沢山泣いて、沢山怒って、沢山八つ当たりをして、ようやくルリィは落ち着いた。
「……落ち着いたか?」
「ごめん……」
ルリィの頭を優しく撫でて、ジェストは額にキスを贈る。
「リリィも……連れて帰るか?」
「え?」
ジェストの言った事が一瞬理解出来なくて、顔を上げる。ジェストの顔は優しく、リリィにも優しさを分けてくれる。
「良い……の?あんなに、嫌ってたのに…」
「別に、嫌ってない……ただ、お前がリリィの事ばかり話すから……っ」
「じぇすとぉ……っ!!」
ルリィの頭を優しくポンポンと撫でて、「ん?」と聞いてくれる。
「……連れて帰る!」
「よしっ!じゃあ、作戦を練らないとな」
「で、も……ジェスト……国際問題になるかしら?やっぱり……」
ルリィは、妹の事になると我を忘れる傾向にあるが、それでも一国の王妃という立場を忘れた訳じゃない。
リリィを助けたいが、国際問題になるならば、手を出さない方がいいのは確か。
でも、それでも、と悩むルリィにジェストは、
「1度だけとは言え、リリィを助けると約束したからな、手は貸すさ。大事な嫁の妹だからな、嫉妬して酷い事を言った償いもあるし」
ルリィは小声で「ごめんなさい、ありがとう」と言った。ジェストは微笑んでルリィの頭を撫でて、そして2人は綿密に計画を練っていった。
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