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第38話
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◆高梨百合恵 視点◆
二之宮さんの目を誤魔化すために神坂君のマンションを出て、学校へ向かい校門をくぐろうとしたところで急に手首を掴まれた。
「百合恵!探したぞ!
俺や俺の家族をみんなブロックしてどういうつもりだ!」
「どうもこうもありません。一昨日申し上げた通り、わたしはこどもを産めていない責任を取って悠一さんと離婚します。
また、教師も辞めたくありませんので、教師を辞めさせたい悠一さんとはその点でも価値観が合わないですし、離婚をするのに納得できる理由ではありませんか?」
「落ち着いて、ちゃんと話し合おう!」
「話し合うのは良いですが、わたしが落ち着ける状態ではありませんので、顔を出すまで放っておいていただけませんか?」
「そうだよ!それも、なんだよ!
一昨日からどこへ行っているんだよ!
お前の実家に連絡したら、お義母さん達は何も知らなくて驚かれたぞ!」
「悠一さんには関係ないことですし、ちゃんと屋根のある家に泊まらせてもらっていますからお気になさらないでください」
「オレ達は夫婦だろ!関係あるに決まってる!」
「あの、すみません。ここは部活で登校している生徒の目もあるので言葉を荒らげるのはやめていただけませんか?」
悠一さんと言い争っていたら、神坂君のクラスの担任で数学教師の塚田先生が止めに入ってくださった。
「あ、すみません。妻が家に戻らなかったものですから焦ってしまって」
「そうなのですか。ご主人ならご存知かと思いますが、高梨先生は思慮深い方ですからそんなに心配なさらさずとも良いのではないですか?」
「でも・・・」
「先程も申しましたが、ここは生徒の目もありますのでお引取りいただけませんか?」
「ご迷惑おかけしました。失礼いたします」
悠一さんは塚田先生に頭を下げてそのまま去っていった。
「塚田先生、すみませんでした。個人的なことでご迷惑をおかけしてしまい」
「いえいえ、良いですよ。それより大変そうですね。良かったら相談に乗りますよ」
「そんな個人的なことですので・・・
それより、塚田先生は部活動の立ち上げについてどうすればよいかご存じですか?」
「部活ですか?所属する生徒5人以上と顧問の教師の名前を記入した部活動設立届を教頭先生に提出して、校長先生が承認されれば立ち上げはできたかと思います。部室は事前の根回しがあった方が良いですけど、どこでも良いなら空きはありますからどうにかなるかと思いますね。
もしかすると、生徒会長の承認も必要だったかも知れませんけど、このあたりは部費がかからないなら形式で承認されていたと思いますよ」
「そうなんですね。ありがとうございます」
「高梨先生が部活の立ち上げに関わられるのですか?」
「はい、生徒から相談を受けていて問題がないなら顧問を引き受けようかと考えていたのです」
「そうなんですか。何か困ったことがあったなんでも言ってくださいね。協力しますから」
塚田先生はそう言って先に校舎へ入っていかれた。
こう言っては失礼なのですけど、何かにつけてネットリした目線をわたしへ向けてくるから苦手なのよね・・・神坂君のクラスの担任だから接点が増えそうだけど、この点も気が重くなるわ。
二之宮さんの目を誤魔化すために神坂君のマンションを出て、学校へ向かい校門をくぐろうとしたところで急に手首を掴まれた。
「百合恵!探したぞ!
俺や俺の家族をみんなブロックしてどういうつもりだ!」
「どうもこうもありません。一昨日申し上げた通り、わたしはこどもを産めていない責任を取って悠一さんと離婚します。
また、教師も辞めたくありませんので、教師を辞めさせたい悠一さんとはその点でも価値観が合わないですし、離婚をするのに納得できる理由ではありませんか?」
「落ち着いて、ちゃんと話し合おう!」
「話し合うのは良いですが、わたしが落ち着ける状態ではありませんので、顔を出すまで放っておいていただけませんか?」
「そうだよ!それも、なんだよ!
一昨日からどこへ行っているんだよ!
お前の実家に連絡したら、お義母さん達は何も知らなくて驚かれたぞ!」
「悠一さんには関係ないことですし、ちゃんと屋根のある家に泊まらせてもらっていますからお気になさらないでください」
「オレ達は夫婦だろ!関係あるに決まってる!」
「あの、すみません。ここは部活で登校している生徒の目もあるので言葉を荒らげるのはやめていただけませんか?」
悠一さんと言い争っていたら、神坂君のクラスの担任で数学教師の塚田先生が止めに入ってくださった。
「あ、すみません。妻が家に戻らなかったものですから焦ってしまって」
「そうなのですか。ご主人ならご存知かと思いますが、高梨先生は思慮深い方ですからそんなに心配なさらさずとも良いのではないですか?」
「でも・・・」
「先程も申しましたが、ここは生徒の目もありますのでお引取りいただけませんか?」
「ご迷惑おかけしました。失礼いたします」
悠一さんは塚田先生に頭を下げてそのまま去っていった。
「塚田先生、すみませんでした。個人的なことでご迷惑をおかけしてしまい」
「いえいえ、良いですよ。それより大変そうですね。良かったら相談に乗りますよ」
「そんな個人的なことですので・・・
それより、塚田先生は部活動の立ち上げについてどうすればよいかご存じですか?」
「部活ですか?所属する生徒5人以上と顧問の教師の名前を記入した部活動設立届を教頭先生に提出して、校長先生が承認されれば立ち上げはできたかと思います。部室は事前の根回しがあった方が良いですけど、どこでも良いなら空きはありますからどうにかなるかと思いますね。
もしかすると、生徒会長の承認も必要だったかも知れませんけど、このあたりは部費がかからないなら形式で承認されていたと思いますよ」
「そうなんですね。ありがとうございます」
「高梨先生が部活の立ち上げに関わられるのですか?」
「はい、生徒から相談を受けていて問題がないなら顧問を引き受けようかと考えていたのです」
「そうなんですか。何か困ったことがあったなんでも言ってくださいね。協力しますから」
塚田先生はそう言って先に校舎へ入っていかれた。
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