学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
89 / 252

第89話

しおりを挟む
岸元美波きしもとみなみ 視点◆

病院へ行った翌日も朝から二之宮にのみやさんが岸元家うちまで来てふたりで勉強をしている。

春華はるかちゃんが学校へ行ってふたりきりになったこともあり、わたしも二之宮さんの家へ行くと言ったのだけど、二之宮さんは今ご家族と気不味い状況なので来て欲しくないとのこと。むしろ、岸元家うちへ来ることで家に居ないで済むので迷惑でないなら今後も通わせて欲しいとのことだ。

わたしとしても一緒に勉強してもらえるのは歓迎なので当面は岸元家うちで一緒に勉強する様になると思う。


既に定着しつつあるお昼ごはんの雑談のやり取り。


「岸元さん、何か機嫌が良さそうに見えますけど、良いことでもあったのですか?」


「あっ、うん・・・そうだけど・・・」


さすがに二之宮さんに近日中に冬樹ふゆきとビデオチャットする予定ができたと言うのは気が引けるので言葉を悩んでいたら・・・


「もしかして冬樹君に関係することですか?」


図星を指されてしまったのでさすがに誤魔化せないと思い正直に言うことにした。


「近いうちに、冬樹とビデオチャットをできることになったんだ・・・」


「良かったじゃないですか!」


「え?あ、ありがとう」


まさか満面の笑みで良かったと言ってもらえるとは思わなかったので返答に窮し吃ってしまった。

しかし、二之宮さんは気にした風もなく続ける。



「ビデオチャットということは春華さん達も一緒で、向こう側には美晴みはるさんもいらっしゃる感じでしょうか?」


「多分そうなると思う」


「ならチャンスですね!」


「チャンス?なんの?」


「役者が揃っているのだから岸元さんの正当な権利を主張するんですよ」


「正当な権利?」


「冬樹君を返してってお姉さんに言うんですよ!
 そもそも何もなかったら岸元さんが冬樹君とお付き合いをしていたんですよね?」


「それはそうなったと思うけど、二之宮さんはそれで良いの?」


「私はどうせ付き合える可能性なんかない浅い付き合いしかないんですから、仲良くなった岸元さんとお付き合いをしてくれた方がまだいいかなって思えるんですよ」


二之宮さんの話を聞いて『なるほど』と思った。

わたしが冬樹と付き合って、一部を二之宮さんに還元すればWin-Winになる。

彼氏になった冬樹も彼女のわたしの友達を無碍にはしないだろうし、これはみんなにとって良い話なのでは?

お姉ちゃんだって、元々わたしのために身を引くつもりで居たんだし、ちょっと前までに戻ると思えば悪くないと思う!


「そうだよね。お姉ちゃんも一緒だろうし、冬樹を返してって言ってみるよ。可愛い妹のお願いなんだからきっとお姉ちゃんも聞いてくれるよね」


「そうだと思いますよ。美晴さんとは何回かお会いしたことがありますけど、家族想いの優しい方だという印象ですよ」


「きっとうまくいくよね!
 そうしたら、二之宮さんもちゃんと冬樹に紹介するね」



◆二之宮凪沙なぎさ 視点◆

確証はないけど、冬樹と美晴さんは付き合っていると思って行動するべきだと思っていたところに思わぬチャンスが転がってきた。

岸元さんが冬樹とビデオチャットでやり取りするのだという。

理由はわからないけど、春華さん達とやり取りをしても問題が起きていないからステップをひとつ進んだ程度の判断かも知れないのであまり気にせず、とにかく岸元さんに引っ掻き回してもらうこと様に誘導するのが肝要だ。

案の定、私がする話から自分に都合の良い部分だけ摘み食いをしてシナリオを作り、それが現実味のあるものだと思い込んでいるようだ。

どう考えても、今の段階で冬樹が岸元さんに振り向くとは思えないし、美晴さんと付き合っているかそのすぐ手前くらいまで関係が進んでいると考える方が自然だ。そこへ岸元さんが『冬樹を返せ』と言えば、間違いなく荒れるはずだし、どんなに悪い結末になってもせいぜい岸元さんが美晴さんや神坂かみさか姉弟妹きょうだいに見限られるくらいで私のデメリットはない。

岸元さんを軸に関係が悪化すれば美晴さんとの関係も連動して悪化させ易いだろうし、更に言えば美晴さんや神坂姉弟妹きょうだいに見限られて孤立したら岸元さんは私へ依存をしてくるだろう。そうなったなら手駒にすれば良い。今後の対岸元美晴を考えた時にその妹が手駒にあるというのは便利だ・・・知能はともかく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...