学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
151 / 252

第151話

しおりを挟む
神坂冬樹かみさかふゆき 視点◆

家を出る支度をしていたら姉さんから裏サイトへの書き込みのお礼のメッセージが届いたけど、恍けて僕ではないと返信をしておいた。

とは言え、姉さんのことだから誤魔化されてはくれないと思うけど、見え透いたことでもぼやかしておくことに意味があると思う。


約束通り美波みなみを一人にしないために岸元きしもと家を訪問した。


「思ったより元気そうで良かったよ」


「うん、裏サイトの流れが変わったのもあって不安な気持ちが和らいだからかな。
 夏菜かなお姉ちゃんが言っていたけど、あの流れを変えた書き込みは冬樹がやってくれたんでしょ?」


「それは僕じゃないよ。姉さんからもメッセージで訊かれたけど、どうしてそう思ったの?」


「そういう書き込みをする動機と能力があるのは冬樹くらいだろうって夏菜お姉ちゃんが言ってて、わたしもそう思ったの」


「動機と能力かぁ・・・そういう風に言われるとたしかに僕も候補に上がっちゃうね」


「候補どころか、他にいないと思うよ」


「そうは言うけど、無存在の証明は難しいよ。全ての可能性を潰さないといけないんだから」


「・・・ふふっ、そういう小難しいことを言い出して誤魔化そうとするのは冬樹の癖だよね。
 冬樹が何を考えているのかはわからないけど、一応聞いて欲しいかな。
 あの書き込みをしてくれた人には感謝しているんだ。強力な牽制になったと思うし、次にまた同じ話題で盛り上がったとしてもその対処法がわかったわけだから気持ちは軽くなったんだよね」


「そっか、美波がそう思えているなら良かったよね」


「うん」


美波へ言った通り気が楽なったのなら良かったと思う。



僕らは自己採点でもう高卒認定試験は合格できているだろうと判断していて、大学受験に目標を変えている。僕は美晴みはるさんと同じ大学への進学を第一志望にしているけど、美波は今のままだとハードルが高いので志望大学すらまだ決めかねている状態で大学入学共通テスト対策を重点的に行いつつ学力向上を目指している。

まだ1年以上先の話だし今から頑張れば大丈夫だと思うけど、美波には心理的ハードルが高いらしい。

そもそも大学は勉強したいことがある人が行くべき場所だし、大学を決めて入学し卒業することを目的化するのは不純なので、美波が勉強したいと思うことがはっきりしないならとりあえず保留でもいいと思う・・・とは言え、僕の動機が美晴さんと同じ大学へ行きたいという不純なものだし人のことは言えないのだけど。



午後になって大学が終わった美晴さんがやってきた。


「美波、思ったより元気そうで良かったよ」


「心配掛けてごめん」


「良いのよ、そんなことは。姉が妹の心配をするのは当然のことでしょ」



軽く話をしてから美晴さんが教師役となって勉強をしているあいだに夕方になり姉さんが帰ってきた。


「美晴さん、わざわざありがとうございました。
 冬樹もありがとう」


「何言ってるの夏菜ちゃん、こちらこそ美波のために色々してくれてありがとうだよ」


「そうだよ、姉さん。僕らの分まで色々と動いてくれてありがとう」


「まぁ、私にとっても美波は妹みたいなものですし、当然ですよ。
 今日学校であったことを共有させてもらって良いですか?」



姉さんが学校であったことを共有するというので、お茶を用意してリビングに着いてから話を始めた。


「まず、仲村なかむらさんは3年でもう卒業まで僅かなので先生方と連携して自宅などで試験を受ければ卒業を認められることになった。そして、芳川よしかわさんについても通信制など他の高校への転校で便宜を図るということになった。いずれも学校側の方針としてで、当人にはこれから相談していくことになる。
 そしてお前たちについては、当初冬樹が認められていた高卒認定試験の合格を以って登校をしないでも見做しでの卒業を認める方向になった」


「姉さん、学校側に交渉して有利になる様に話をしてくれたんですよね?」


「事情を知っている者として少し話をさせてもらったが、私なんぞが決定に影響を与えるわけがないよ。お前と同じだ、冬樹」


「そういう事にしておくよ」


「しておくも何もそういう事だぞ」


「わかったよ、姉さん。でも、せっかくの話だけど僕は元のクラスへ復帰しようかと思うんだ」


「なんでそんな事を!」


美晴さんが常にない大声で問い質してきた。


「美晴さん、落ち着いて。
 僕の冤罪は知れ渡ったから嫌がらせをされる事はないだろうし、ハルも同じクラスになるし、それに僕の病気もだいぶ良くなってきているので現実と向き合っていく必要があるかなと思うんです」


「それでも反対だよ!」


美晴さんはまだ興奮気味な状況で異を唱えてきた。


「もちろん精神科の医師せんせいに相談してめられたらめますけど、いつまでも逃げるのはダメかなと思うんです」



◆岸元美波 視点◆

冬樹が元のクラスへ復帰しようと思っていると言った。

もっともらしい理由を挙げてきたけどこのタイミングで言い出したということは、恐らく冬樹が注目を集めることでわたし達へ向けられる下卑げびた悪意から守るためだと思う。

冬樹の今もやろうとしている他人を気遣う時にも『自分のために』というところは長年見てきた幼馴染みのそれだ。痴漢騒ぎ以降変わってしまっていた様に思うけど、以前の様な優しくてしたたかにわたし達を守ろうとしてくれる大好きだった冬樹に戻ってきていると感じる。

それを呼び戻しているのはたぶんお姉ちゃんなのだろうと思う。感謝の気持ちはあるけど、それ以上に嫉妬してしまう。騒ぎの時に外野だったから頃良いタイミングに無傷でやってきて濡れ手にあわで良いところを持って行っているようにも思ってしまう。

たしかにわたしも良くなかったところはあったし、そのせいで取り返しが付かない事もあった。そんなわたしと比べてお姉ちゃんはただ大学へ逃げていただけで何も失わずに冬樹を手に入れた・・・ズルい、ズルいよ・・・
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

処理中です...