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18話 あなたがいなくても
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街は暴徒化した住民や武力集団によって破壊されていた。
武装した兵士達は盾を構えて道路を塞ぐ。一人の兵士がスピーカーで呼びかける。
「破壊行動を止めなければこちらも攻撃を開始する。今すぐ投降しなさい。」
武装集団は兵士に向かって手榴弾を投げる。
兵士は陣形を崩して退避する。
大きな爆発と共に狂人が叫ぶ。
「祭りじゃぁ!暴れるだけ暴れさせてもらうぞぉッ!」
火炎瓶を次々に投げる暴徒と応戦する兵士。盾を持ち突進する兵士が警棒で暴徒を殴る。武装集団は銃を撃ってくる。兵士を撃ち抜き倒していく。兵士も銃を構えて撃ち始める。両者ともに銃撃戦が始まり、多くの負傷者と死亡者を出している。
手榴弾の爆発に巻き込まれた人々の血が雨になって降ってくる。一人の兵士は立ち尽くし、その光景を呆然と見ていた。
「俺は…こんなことするために兵士になったわけじゃない。」
兵士は横から突っ込んできた暴走車に轢かれた。
「本部から各地域へ……各地域の状況を教えてくれ……。」
三佐は本部から無線を飛ばした。
「こちら北地区……多数の負傷者を出しています。未だ鎮静化には至っていません。」
他の地域も同じような報告だった。
「…………これは困ったな。」
三佐は深く座り込み目を閉じて考えていた。
すると隣から話しかけられた。
「やはりアイツが関わっているのでしょうか?」
「………可能性はあるかもね。だが、そんなことは今はどうでもいい。1秒でも鎮静化を早める。そして武装集団を殲滅する。でなければ落ち着いて仕事も出来ない。」
三佐は山積みの資料に目を向ける。ため息をついてからまた席に座り資料を読んだ。
「色回収も落ち着いたら再開させるか……。」
シンは車で移動いていた。ずっとアカの悲惨な姿を思い出しては吐きそうになる。これは自分の力不足が原因だと強く自分を責める。自分で自分をどんどんと追い詰めていく。泥沼から手が出てきてシンを奥へ奥へ引きずる。
「……ン……シ……ン……シンッ!」
シンはようやくミロの声に反応した。
「たく……寝不足かぁ?こっちだって寝てねぇーんだよ!!ボーっとしてると車から蹴り落とすぞ!」
ミロは強い口調でシンに言葉をぶつける。
しかし、怒っているのではない。彼女なりの優しさなのだ。
シンは理解している。彼らは気を使っているのだと……。
アオも今回は黙っていた。
だからこそシンは力強く返事を返した。
「すみません!頑張ります!」
窓の外は荒れる街と暴れる住民。応戦する兵士。明らかな異常にシンは目を見開いてその光景を見届ける。
「あまり見るもんじゃない。止めておけシン。」
アオはシンをこちらに注目させる。
「相手はこの街の弱みにつけこんだ。国への怒りや普段のストレス。そして、個性を失ったことへの復讐か……。」
アオは淡々と喋る。
「個性……?どういう……。」
シンの質問はアオやミロには伝わらなかった。
車は急ブレーキをして停車した。
前の車からも降りてきた兵士が銃を持って戦い始めている。
「武装集団が先頭車を爆破させたようです。色持ちは別ルートから武装集団の本部へ行…」
話しかけてきた兵士は銃で撃たれた。
アオは急いでバックし別の道から進む。
「あの……あの兵士は助けられなかったんですか?すぐに治療すれば助かるかもしれない!戻るべきです!」
「お前は馬鹿なのか?あの場所は戦場だ。生きるか死ぬかの場所で選択を間違えれば死ぬんだよ!あの兵士みたいにな!分かるか?」
ミロはシンの胸ぐらをつかむ。
「私達はあの人とは違う。全員を助けることはできねぇ。あの人は強いからできるんだ。私にもお前にもできねぇよ。それが戦場の生き方だ。戦いから目を背けた者から死ぬ。躊躇った奴が死ぬ。お前が今から向かう先は色集めの場所じゃねぇッ!!本物の殺し合いだ。この組織は綺麗事ばかりが仕事じゃない。きれいな世界は何かを犠牲にしなければ辿り着かない。新人は黙ってついてくればいい。何も考えるな。」
ミロはゆっくりと胸ぐらを離す。シンは下を向いて黙った。
しばらく車を走らせると敵の本拠地が見えてくる。
「ミロ……俺らだけだと……厳しいんじゃないか?」
本拠地前は無数の武装した人間がうろついていた。
ミロは首を鳴らす。そして、車から降りると笑みをこぼす。
「散々やられたんだ。今度は私達が壊す番だ……。反撃してやるよ。」
ミロは力を使う。種を投げて武装した人間の真下まで転がると指を鳴らす。
「私の力は色の刺激と成長を与える。」
種は爆発するように巨大な植物が生えて無数の人間を無力化していく。
「攻撃だッ!奴らを殺せ!!」
その声に反応した多くの人間がこちらに向かってくる。
銃声が鳴り響きシンの近くにも弾丸が飛んできた。
アオは力を使う。ミロやシンの周りには弾丸が届くことはない。速度も威力もほぼゼロになり、手で触れて地面に振り落とす。
「色持ちじゃねぇーと私らは殺せねぇぞッ!!ゴラぁ!」
ミロは種を投げて多数の人間を無力化させていく。
数は段々と減っていく。すると、物凄いスピードで距離を詰めてくるフードを被った人間がいる。ミロの頭に向かって右ストレートが飛んでくる。しかし、アオの力で多少速度が落ちた。
そこをミロが殴りかかりその人間は距離を取った。
「あの時よりは戦えてるんだな。」
フードをとると朱殷が顔を見せる。
「当たり前だ。俺たちに二度の敗北はない。今度は逃さない。捻り潰してやるよ。」
アオは戦闘の構えで待機する。朱殷も拳を構えた。
武装した兵士達は盾を構えて道路を塞ぐ。一人の兵士がスピーカーで呼びかける。
「破壊行動を止めなければこちらも攻撃を開始する。今すぐ投降しなさい。」
武装集団は兵士に向かって手榴弾を投げる。
兵士は陣形を崩して退避する。
大きな爆発と共に狂人が叫ぶ。
「祭りじゃぁ!暴れるだけ暴れさせてもらうぞぉッ!」
火炎瓶を次々に投げる暴徒と応戦する兵士。盾を持ち突進する兵士が警棒で暴徒を殴る。武装集団は銃を撃ってくる。兵士を撃ち抜き倒していく。兵士も銃を構えて撃ち始める。両者ともに銃撃戦が始まり、多くの負傷者と死亡者を出している。
手榴弾の爆発に巻き込まれた人々の血が雨になって降ってくる。一人の兵士は立ち尽くし、その光景を呆然と見ていた。
「俺は…こんなことするために兵士になったわけじゃない。」
兵士は横から突っ込んできた暴走車に轢かれた。
「本部から各地域へ……各地域の状況を教えてくれ……。」
三佐は本部から無線を飛ばした。
「こちら北地区……多数の負傷者を出しています。未だ鎮静化には至っていません。」
他の地域も同じような報告だった。
「…………これは困ったな。」
三佐は深く座り込み目を閉じて考えていた。
すると隣から話しかけられた。
「やはりアイツが関わっているのでしょうか?」
「………可能性はあるかもね。だが、そんなことは今はどうでもいい。1秒でも鎮静化を早める。そして武装集団を殲滅する。でなければ落ち着いて仕事も出来ない。」
三佐は山積みの資料に目を向ける。ため息をついてからまた席に座り資料を読んだ。
「色回収も落ち着いたら再開させるか……。」
シンは車で移動いていた。ずっとアカの悲惨な姿を思い出しては吐きそうになる。これは自分の力不足が原因だと強く自分を責める。自分で自分をどんどんと追い詰めていく。泥沼から手が出てきてシンを奥へ奥へ引きずる。
「……ン……シ……ン……シンッ!」
シンはようやくミロの声に反応した。
「たく……寝不足かぁ?こっちだって寝てねぇーんだよ!!ボーっとしてると車から蹴り落とすぞ!」
ミロは強い口調でシンに言葉をぶつける。
しかし、怒っているのではない。彼女なりの優しさなのだ。
シンは理解している。彼らは気を使っているのだと……。
アオも今回は黙っていた。
だからこそシンは力強く返事を返した。
「すみません!頑張ります!」
窓の外は荒れる街と暴れる住民。応戦する兵士。明らかな異常にシンは目を見開いてその光景を見届ける。
「あまり見るもんじゃない。止めておけシン。」
アオはシンをこちらに注目させる。
「相手はこの街の弱みにつけこんだ。国への怒りや普段のストレス。そして、個性を失ったことへの復讐か……。」
アオは淡々と喋る。
「個性……?どういう……。」
シンの質問はアオやミロには伝わらなかった。
車は急ブレーキをして停車した。
前の車からも降りてきた兵士が銃を持って戦い始めている。
「武装集団が先頭車を爆破させたようです。色持ちは別ルートから武装集団の本部へ行…」
話しかけてきた兵士は銃で撃たれた。
アオは急いでバックし別の道から進む。
「あの……あの兵士は助けられなかったんですか?すぐに治療すれば助かるかもしれない!戻るべきです!」
「お前は馬鹿なのか?あの場所は戦場だ。生きるか死ぬかの場所で選択を間違えれば死ぬんだよ!あの兵士みたいにな!分かるか?」
ミロはシンの胸ぐらをつかむ。
「私達はあの人とは違う。全員を助けることはできねぇ。あの人は強いからできるんだ。私にもお前にもできねぇよ。それが戦場の生き方だ。戦いから目を背けた者から死ぬ。躊躇った奴が死ぬ。お前が今から向かう先は色集めの場所じゃねぇッ!!本物の殺し合いだ。この組織は綺麗事ばかりが仕事じゃない。きれいな世界は何かを犠牲にしなければ辿り着かない。新人は黙ってついてくればいい。何も考えるな。」
ミロはゆっくりと胸ぐらを離す。シンは下を向いて黙った。
しばらく車を走らせると敵の本拠地が見えてくる。
「ミロ……俺らだけだと……厳しいんじゃないか?」
本拠地前は無数の武装した人間がうろついていた。
ミロは首を鳴らす。そして、車から降りると笑みをこぼす。
「散々やられたんだ。今度は私達が壊す番だ……。反撃してやるよ。」
ミロは力を使う。種を投げて武装した人間の真下まで転がると指を鳴らす。
「私の力は色の刺激と成長を与える。」
種は爆発するように巨大な植物が生えて無数の人間を無力化していく。
「攻撃だッ!奴らを殺せ!!」
その声に反応した多くの人間がこちらに向かってくる。
銃声が鳴り響きシンの近くにも弾丸が飛んできた。
アオは力を使う。ミロやシンの周りには弾丸が届くことはない。速度も威力もほぼゼロになり、手で触れて地面に振り落とす。
「色持ちじゃねぇーと私らは殺せねぇぞッ!!ゴラぁ!」
ミロは種を投げて多数の人間を無力化させていく。
数は段々と減っていく。すると、物凄いスピードで距離を詰めてくるフードを被った人間がいる。ミロの頭に向かって右ストレートが飛んでくる。しかし、アオの力で多少速度が落ちた。
そこをミロが殴りかかりその人間は距離を取った。
「あの時よりは戦えてるんだな。」
フードをとると朱殷が顔を見せる。
「当たり前だ。俺たちに二度の敗北はない。今度は逃さない。捻り潰してやるよ。」
アオは戦闘の構えで待機する。朱殷も拳を構えた。
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