五人の適合者

アオヤカ

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新たな選抜

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アルム達は2日目の休暇の朝を迎える。
クロスは汗を流しながら剣を振る。日が昇り始めている。汗は輝き、滴り落ちながら光を反射する。
アルムは、木刀を持ち歩いてくる。
「おはようございます。クロスさん。」
アルムの挨拶でクロスは剣を振るのを止めた。
「随分、早起きだな。」
クロスは木刀を肩に乗せて笑う。
「クロスさんほどではないですよ」
アルムは、笑うとさらに付け足して言う。
「稽古…よろしくお願いします。」
アルムは、木刀を構える。
「あぁ…肩慣らしにちょうどいいからな。…そういえば、手合わせはこれが初めてか。」
「そうですね。倒すつもりでやるので本気でやってください。」
クロスの木刀がアルムに向けられる。
アルムは剣を振る。クロスは反対方向に受け流す。
そのまま胴体を手で重心をずらされて、回転させられる。気がついた時には地面に転がっている。
「なッ…このッ!」 
アルムは何回も剣を振るが軽く受け流される。
剣だけでは倒すことはできない。ならば、足を使うしかない。アルムは足を引っ掛ける。クロスは足を剣で叩いた。
「いたッ!」
「変に足を出すな。隙だらけだ。」
クロスは攻撃を仕掛ける。横からの剣撃をくらう。剣で受け止めることができず、かなりのダメージを受けてしまった。アルムはぐらつきながらも剣を振る。しかし、その後も鋭い斬撃がアルムを襲い、ボコボコにされてしまった。
そして、最後に思いっきり強い突きで飛ばされる。地面と空を何度も繰り返し見た記憶があった。普通ならば死んでいてもおかしくないだろう。やはり、彼自身がかなり強い。戦闘経験も豊富で様々なパターンに対応することができるのだろう。アルムは起き上がるとまだ剣を構える。
クロスは構えるのをやめた。
「今日はこの程度で終わりだ。まだまだ攻撃に無駄な力が入っている。」
クロスはアルムに水を渡す。
「無駄な力ですか?」
アルムは受け取り、ごくごくと飲む。
「そうだな。…振るタイミングもそうだが、一瞬の力が必要になる。全ての動きに力を入れるのではなく。必要な瞬間を狙うんだ。まさに刹那と言っていいだろう。」
クロスは解説する間もアルムを観察している。
「……なるほど…。」
アルムは木刀を見る。
「アルム…わかってないだろ?」
クロスの言葉にビクッとする。
「あはは…ちょっと難しくて…。」
アルムは、苦笑いをすることしかできなかった。
「最初はそんなものだ。気にするな。」
クロスは汗を拭く。
「いつも思うけど二人共…朝早いよね…。」
建物から月姫が出てきた。
「剣技を磨くには朝から鍛えることが一番だと、俺は思うのだがな。」
月姫はキョトンとする。
「あ…。違う違う!私は尊敬してるんです!」
月姫は勘違いされてしまったことに焦り、すぐに弁解する。
クロスは笑う。
「悪いな。そこまで焦らなくていいだろう?」 
そんな会話の後ろから天姫が出てくる。
「おはようございます。楽しそうに話しているみたいですね!」
天姫は、朝からニコニコしている。いつもどおりだ。
「今日は私達も街の案内してくださいね!」
天姫がクロスにそう言う。
「そうだな。今日はもちろん案内するつもりだ。」
昨日はアルムにつきっぱなしだったので彼女たちを宿舎にお留守番させていたので、少し苦笑いする。
とても怒ってるのではないだろうかと…。
「じゃあ、早速行きましょう!」
天姫の掛け声で街に出かけていく。
昨日と異なり、少し、人々が騒がしい。
「クロスさん。何があるか知ってますか?」 
アルムは、尋ねる。
「選抜祭。新たな器を見極める祭典だな。」
クロスは街の飾りを見て言った。
「適合者のですよね。」
アルムは、また質問する。
「そうだな。斧の継承者が今日から一週間…選ばれるために推薦を獲得する。推薦も色々あってな。上級兵士から認めてもらうとか、称号を獲得するとかが一般的だが、一番いいのは上級兵士を倒すことだけどな。そして、その中でも現役の上級兵士を倒すと様々な称号を獲得できる。そして最終的に一番優れた継承者が選ばれることになっている。ちなみに俺のところにも一人来る予定だ。」
「えっ…今、休暇中ですよね?」
アルムは、疑問に思った。
「お前たちには迷惑はかけない。できる限り、俺一人でなんとかしよう。」
クロスは腕を組んでいる。
「まぁ…俺のところに来るやつなんてそうそう普通なやつじゃないだろうな。」
かなり離れたところから、ダッシュで走ってくる一人の少年。一般武装の斧を持っている。凄まじいスピードでクロスに向かって攻撃をしてきた。
「クロスさん!!」
アルムが叫ぶ!
クロスは模造刀で振り向きながら受け止める。
「お前が…俺のところにやってくるって言っていた。やつか…名前は確か…クロ・マークスだよな?」
クロと呼ばれる少年は一旦距離を取る。
「…………………クロ。…………………よろしく。」
静かに喋った少年はとても動きからは想像もできないくらい弱々しい声をしていた。
「………………あなたから称号を奪いに来たよ。」
「…………覚悟して。」
クロは斧を構える。
「安安と称号は与えないぞ。少年。」
二人は静かに周りの空気を巻き込んでいった。



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