五人の適合者

アオヤカ

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計画の遂行…

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クロスは空を見ていた。まだ土煙がほんの少し残っていた。
力はもうない。
「負けたか…。」
クロスはアルム達の方を見る。とても残念そうにしていた。自分の不甲斐なさを感じると共に彼の強さをしみじみと味わった。地面を歩く音が近づいてくる。目線に彼の姿が現れる。
「…………いい戦いだった」
クロはクロスに手を差し出す。
「………いい戦いだな。」
クロスはその手を握って立ち上がる。
クロスの力を上回る能力を見せたクロは全人類最強となった。そして、クロスは闘技場を去る。その足はとても重そうだった。疲れだけではない。気持ちの問題もあるだろう。
アルムは席を静かに座る。その横には元気のない双子が座っている。
「…負けるなんて…。」
アルムはそうつぶやく。
「勝負はいつだってわからないものよ。あの…最強と呼ばれた男ですら、敗北はありえるんだってこと。」
月姫は立ち上がる。そして、アルムのおでこをパチンと指で弾く。
「いて…な…何をするんだ!」 
アルムは月姫のほうを見る。
「行くよ。クロスさんのところへ。」
月姫は天姫の手を引っ張り、アルムも引っ張る。

クロスは腕の痛みを感じていた。右手には黒い模様が出ていた。
「………感染してたのか。」
クロスは腕を布で隠す。そして、また歩き出す。
前からバーナードが近づいてくる。
「いい戦いだったなクロス。」
「あぁ。」
クロスは腕を隠す。
「…………感染してるのか?」
バーナードは鋭く見ていた。
「……そうみたいだな。」
「………………少し、来い。」
バーナードは闘技場のとある部屋にクロスを招き入れた。
「感染してるのなら、治療すればいい。だが、お前のそれは無理そうだな。…それは感染とは少し違う。いわゆる、限界を超えてしまった…みたいなものだ。特殊な布で進行を止めることはできる。だが、無理はするな。人には戻れなくなる。」
バーナードは文字の書かれた長い白い布をクロスに巻いていく。
「今のところは手にしか現れていないみたいだが、そのうち、全身がそれに覆われることになる。なんとしても、これ以上、高火力の技を使うなよ。」
クロスは手を見ている。
「なぁ。お前らは何を知っている?どうして、これを知っているんだ。」
バーナードはクロスの言葉を無視する。
「……」
バーナードはクロスに資料を渡した。
「お前が…欲しがっていた情報だ。」
クロスは資料を読んだ。
「これは…」
逃亡中の適合者の情報。槍の適合武器を持ち去り、行方不明になっていた人物。
「本当にあっているのか?」
「…嘘はついていない。だが、そこは何が起こるかわからない場所だ。行くなら、覚悟していかなければならないだろうな。」
クロスは固く拳を握る。
「あぁ。行くとも。俺はこのためにこの3年間を生き延びてきたんだ。」
バーナードは更に資料を渡す。
「私達が進めている計画だ。この計画には、全ての適合者が必要になる。残りは一人。槍のみだ。お前達が槍を取り返せ。」
クロスはギロッとバーナードを見る。
「なぜ、俺にそんなことを伝える?一部、この資料にはおかしい部分があるぞ。適合者を集めて何をするつもりだ。」
資料は所々、大事な部分が抜けている。全てを伝えるつもりがないらしい。
「お前も私も、駒でしかない。全ては人類の未来のために、この計画が失敗すれば私たちは終わる。そうすれば、神が新しい人類を創るのみだ。」
バーナードの目には何が映っているのか。
「何を言っているのかわからない。お前は何を知っているんだ?俺達をどうしたいんだ?」
バーナードは目を閉じる。
「私は告げる。命令を埋め込み、記憶を消去せよ。」
バーナードの言葉が…クロスに伝わる瞬間、クロスの意識は徐々に消える。
クロスは倒れる。
「お前は…何を…何を…し……た?」
クロスは完全に意識を失う。
「…物語は始まっているんだ。それはずっと昔からね。」


クロスは闘技場の外を歩いている。
「クロスさん!!」
闘技場の客席からアルム達の声が聞こえてくる。
「お前ら…。」
クロスは歩くのをやめて立ち止まる。
アルム達は必死に走ってきた様子だった。
「クロスさん。お疲れさまです。」
アルムは残念そうな顔をしていたが、心のこもった言葉だった。
「クロスさんは人類で二番目に強い人ですから大丈夫ですよ!」
月姫の前向きな言葉がクロスの沈んでいた気持ちを元通りにした。
「今度はクロスさんがリベンジですね!」 
天姫の次を見据える考え方を尊敬した。
クロスは後ろを向いて、涙を拭う。そして、3人の前を向き、口を動かす。
「ありがとうな。」
クロスは素直に感謝の言葉を伝えることができたのであった。
アルムは少し、手の布を気にした。
「その手はどうしたんですか?」
クロスは手を見る。
「…あぁ…。確か、怪我をしたんだった…な。気にするほどではないよ。」
クロスは笑顔で答える。
「そうですか。なら良かったです。」
アルムは少し心配に思った。
クロスは真剣な顔になる。
「バーナードから、新たな任務が伝えられた。逃亡中の適合者の居場所がわかったそうだ。…俺が探していた人物だ。この帝国からかなり北に行った場所が彼の居場所だ。」
アルムは質問する。
「あの…僕達はいいんですけど…クロスさんは大丈夫ですか?」
クロスが驚いた表情をする。
「心配するな。問題はない。それとだ。もう一人、同行するメンバーがいる。」
月姫と天姫が同時に叫んだ。
「えーー!」
そこには、先程クロスと死闘を繰り広げた最強の兵士…クロの姿があった。
「……………………よろしく。」
「今回はこの5人で任務を達成させるから、頼んだぞ。」
クロは恥ずかしそうにしながら、クロスの後ろに立っていた。
「…。まぁ…頑張りますか。クロスさんの為だしね。」
それは新しい旅の始まりだった。物語はこの先も変化していく。人類は進み続けるのだ。永遠に………。

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