五人の適合者

アオヤカ

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カゲ殲滅作戦

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「この戦いは人類が生き残る為の最後の戦いだ。」
帝国の至るところから放送が流れてくる。
「カゲの脅威にさらされた我々は一部の兵士に頼り過ぎていた。しかし、もうそんな必要はない。一人ひとりがカゲを倒す大きな力を手に入れた。…今…歴史が変わろうとしている。最後の戦いだ。今まで犠牲になった者たちの為にも大きな戦果を上げてくれ。健闘を祈る。」
兵士は叫び声を上げて戦いの幕が上がった。
最前線で戦っている者も無線でこの放送を聞いていた。
全ての兵士は叫ぶ。剣を持ち、槍を持ち……銃を持ち……………………斧を持ち………………………………弓を持って走る。
全てが特別な武器だ。
誰もがその力に自信を持っていた。
カゲはまるで柔らかいスポンジのように切れていく。貫かれている。
地面を駆ける、そこは広い大地。
兵士の死体とカゲの残りカスが地面を埋め尽くす。
戦いは非常に激しいものだった。
敵は塔から現れているため、そこまで進まなければならなかった。勢いで進んでいく兵士たちはとても勇敢だった。
宙に浮く車が硬い装甲を取り付けてカゲに突撃していく。
轢き殺されたカゲは粉々に消えていく。

アルムは靴紐を結んでいた。装甲車は止まり、扉が開く。黒い戦闘用の装備を身に着けて装甲車から降りる。
「クロ…行くぞ。」
クロはあくびをしていた。
「……わかってるよアルム。」
クロは首を回す。そして斧を展開する。
刃の間から激しく火が吹き出していた。
「先に天姫が索敵に行っている。…情報によれば進軍していたカゲは第一作戦部隊の一般兵士たちで掃討が完了している。」
クロは驚いていた。
「……バーナードさんのお陰だけど………流石に上手くいきすぎかな。」
アルムは頭を悩ませた。
作戦が開始されてからまだ3時間しか経っていないが塔まで残り2キロメートルの距離だ。
早すぎる…確か兄さんの防衛戦では1週間以上でやっと戦況が動いたらしい。
あいつらは何を考えやがる…。
アルムは目を閉じて冷静になった。
「今は考えるよりも動いたほうがいいな。俺達は遊軍だ。苦戦しているエリアに行くだけだ。」
アルムは銃声のする方に向かって進む。
近づいていくと兵士の雄叫びと悲鳴が聞こえる。
明らかにカゲの形状が変化している個体がいる。
「数字が1に近いやつかもしれない…注意しろ!」
その個体はクラゲのような見た目をしている。
複数のアシで攻撃を仕掛ける。先端には毒のような針がついているようだ。いくつか地面に刺さっているようだ。
あれはなんだ?
「近距離で戦えないのなら下がれッ!銃撃部隊で一掃する!」
指揮をとる人間が命令を出している。
集団で固まりながら銃を構えている。
クラゲのアシが地面で伸びるように動いて見える。
まさか…地面から攻撃するつもりかッ!
アルムは急いで叫ぶ。
「今すぐ散らばれッ!敵の攻撃が、地面から来るぞ!!」
アルムの叫びに反応できた兵士はすぐにその場から離れたが…反応の遅れた者がクラゲの餌食になる。地面から出てきたのは大きな口だった。一口で何十人も喰われた。
大量に口から血が溢れ出す。地面には音を立てて血が落ちてきた。
一瞬の出来事に兵士は固まる。
そして、悲鳴をまた上げた。
「うわわぁぁぁぁあ!!」
逃げ出す兵士も中にはいた。
上官らしき男が必死に叫ぶ。
「逃げるなぁ!お前らぁ帝国の恥さらしだぞ!」
上官の叫ぶ声にカゲが反応する。
アルムは力を込める。
黒い左手には白い帯が現れる。
「くっ……止まれぇ!」
アルムは力を地面に解き放つ。
液体のような影がクラゲを囲い込み、上官に襲いかかるアシを複数の人形で抑え込む。
「今のうちに作戦を整えてください!」
アルムは必死に抑え込む。
「…わかった。すまない。」
上官は一時撤退する。
「…クロッ!仕事だ!」
クロは飛び跳ねる。そして、クラゲに突っ込んでいく。
「…電力60%春雷ッ!」
斧から放たれた電撃に沿って急激に加速する。
クラゲの二本のアシを切り落とした。
クロは勢いでそのまま滑って地面に着地した。
「こいつは何本アシを持っているかわからない!俺がコイツを抑え込む!そのうちに本体を斬りつけろ!」
クロはうなずいた。
アルムは左腕に更に力を注いだ。
黒い左腕には更に白い帯が増えていく。
「ッ…人影」
黒い海が広がるようにカゲは渦を巻いてアルムの周りを別の空間に作り変えていく。
溶けかけた人形が何体も飛び出してくる。
どれも細い人形でそこまで強く見えない。
クラゲも地面に何本もアシを刺した。
まるでもぐら叩きのように顔が現れる。
アシに向かって溶ける人形がタックルをして突撃する。
しかし、アシからできた顔の鋭い牙で頭を食われたり、飲み込まれたりしている。
「クソッ…これならどうだ!」
アルムは影の渦を止める。
立ち上がり、呼吸する。
アルムはクロスのことを考えた。
ずっと最強の兵士として戦い続けた男の姿を思い出す。
どんなときだって最善を尽くして戦った彼は…俺やクロを信頼してくれた。託してくれた…だから…。
俺も覚悟を決めなければならないッ!
アルムは全身に力を込める。左腕まであった黒い影を全身に広げていく。全身にオーラを纏うその姿は影の王の威厳がある。品格がある。
黒い布…鋭い爪。鬼のような仮面をつけている。
適合武器を握り、ゆっくりと歩き出す。
クロはアルムの覚悟を肌で感じた。クロも前傾姿勢で斧を構えた。
「………一撃で仕留める。…ギア開放。」
斧は変形する。電撃が走る。
青い光がバチバチと音をたてる。
エネルギーが力に変換される。
一瞬、白い空間になったと同時に雷と共に消える。
空間操作で左から右へ…斜めに光輝く。
スピードは更に速くなる。
もっと…速く。回転を加え始める。
光のコマのように激しく回る。空間を転々と移動し、威力を高めていく。

アルムは指を弾いた。
クラゲの下から何重もの黒い縄がクラゲを縛る。黒い縄から黒炎が広がる。
アルムは走り出す。そして、剣を展開する。
「火力100%無限地獄ッ!」
アルムの後ろから地獄の扉が開かれる。
無限に繰り返すように扉は開いていく。奥から激しい熱と共にアルムの赤い剣に黒い炎が集められる。
その剣をフルスイングでクラゲにぶつける。
その瞬間にクロが最後の回転を加え終えていた。
空高く転移したクロは真下に向かって勢いよく雷が落ちるように斬りかかる。
そして、激しい爆発と共に土煙が広がっていく。
クラゲは跡形もなく消滅した。
ゲホゲホとむせながら二人は煙の中から姿を現した。
アルムは元の姿に戻っていた。
「次の場所に向かう前に…休憩するか…。」
アルムは地面に座り込んだ。
「………賛成。」
クロも同じように座り込んだ。

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